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「劇場」にまつわる勘違い

「演劇の仕事をしてる」(いまは少し離れてるけど)と言うと、だいたい「どこで公演してるの?」とか「どこの劇団で?」とか聞かれるんだけど劇団への質問はさておき、何だか世間的には劇場に対する勘違い思い違いは多い気がする。

劇場に聞かれても知らんがな

過去に公演で小屋入り期間中にまあよくあったこといきまーす。

◎ 劇場見学に来た人が明らかに受付テーブルに「小屋の見学に来たんですけど」と来る。
◎ 「今度この公演ここであるんですけどチケットください」団体違うそれ

劇場を使ってる人=この劇場の人となぜその理論が成立するのかさっぱりわからないけどどうやら世間的にはそう思い込んでる人が多いんだと思う。そうじゃなかったら会場に来ないじゃん。あと最近はライブイベントとかでも「会場への問い合わせは関係ないのでダメ」と書くようになったとこ多いと言う印象。

新国立劇場はあっても、「新国立劇場専属の劇団」はない

我が地元兵庫県では県立劇場がピッコロ劇団という公営の劇団あるけれどむしろこれがかなりのレアケース。新国立劇場に付随するバレエ団はあれども劇団はない。新国立劇場でやってる公演、あれ劇団四季とか宝塚的な公演違いますからね!むしろ常設劇場に付随する劇団形式をとってるのは宝塚しかり四季しかり新喜劇しかり民間の方が多いので露出度も含め小さいところもそうだと思われてるのかも…

大体の劇場は基本的に「レンタルスペース」です

駄菓子菓子現実はこれ。
日本のハコモノ行政によりハードはあるけどソフトは特にないところ多し。劇場側が「キュレーション」して企画を打っているところもあるけれど、基本はレンタルスペース。だからハードとソフトと運営が違うからソフトのことをハード側に聞かれても知らんがなだし逆もまたしかりなわけです。これ民営の劇場も公共劇場も共通だからね!劇団四季のことは四季劇場のスタッフさんに聞いたら多分なんとかしてくれるかもしれないけど、そのノリで池袋とか下北沢の劇場さんに「今度ここでやる公演」って問い合わせても「劇団の問い合わせ先こっちです」って言われるだけだからね!

「どこで公演してるの」と聞かれても

で、これを最初の話に戻すと、劇団同士演劇関係者同士で「どこで公演してるの?」と聞くとお互いの団体の体力とか動員力とか資金力とかを判断する基準になるんだけど、一般ピーポーから聞かれましても「いや別にどこでやってるかでオタクら何がわかるん?」なわけです。それで何を判断しようというのだ。だって「次公演あるんだ」「へぇ何処でやるの?」ならまだしも「劇団で活動してるんだ」「へえ、何処の劇場でやってるの?」って、違うもの。この場合劇場名もエリアも言ったところで何も伝わらない。「どういう作品やってるの?」ならまだわかる。

だって東京芸術劇場だろうと本多劇場だろうと紀伊國屋だろうと基本はレンタルスペースなのでぶっちゃけ予算とか採算とか度外視で課金すれば公演だけは打つことができるんですよ。もちろん企画書提出必要なところもあるのでただ課金すれば打てる訳ではないけどさ。

あと別に全ての団体が「拠点劇場ありきで公演をやってる訳ではない」というのは言いたい。劇場の持つ諸々を含めると「企画単位で劇場はふさわしい場所を選ぶべき」とわたしは思っている。なおかつ、有名な劇場で公演を打っていることがすなわち劇団の評価の全てではないと思う。
別に聞くのは良いけれど、劇場を聞いてそれが何の意味があるのか目的なのか逆に教えて欲しい。だってそもそも、根本的に劇場とは関係ないもの。

#演劇制作とわたし #コンテンツ会議 #演劇 #舞台 #制作 #コラム

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