見出し画像

テック企業広報流、事業へのTwitterの活かし方

こんにちは!Wix広報のYukariです。先日こんなツイートをしてみたら、「見たい!」っていう声が多かったのでまとめてみることにしました。

正直、これから書く内容は特に目新しいものではないかと思うのですが、「広報担当としてもっとTwitter活用したい!」って思っている方のヒントになれば幸いです。

ではまず、弊社の簡単な説明から。

会社名:Wix.com(外資系テック企業)
事業内容:SaaS型ウェブサイト制作プラットフォームの開発・提供。
社内体制:日本法人の広報担当は私のみ。PRの戦略立案、メディアリレーションズ以外にも、イベント企画から社内広報、危機管理まで幅広く担当。SaaSのサービスなので、一人一人に電話して販促するようないわゆる「営業」は不在。企業公式Twitterアカウントは別にあり(@WixJP

一般的に「広報」と言うと、「情報発信」がメインで語られることが多いと思います。でも、私は「広報=会社の玄関、中と外を繋ぐ存在」だと思っているので、「発信」だけでなく「受信」にもTwitterを活用しています。「発信編」「受信編」に分けてやっていることを書いてみたので、早速ご覧ください。

発信編

自社に関する情報発信

恐らく、一般的に「広報」の主な役割として知られている部分ですね。PR TIMESでプレスリリースを出した時の告知はもちろん、会社の小ネタ・ユーザーさん紹介なんかを発信するようにしています。この時注意したいのは、なるべくタイムラインに溶け込むような言葉遣いをすること。人がツイートを見るのは必ずしも仕事モードの時とは限らないので、どの時間帯に見てもスッと入り込めるような文章を心がけています。

でも、こういうド直球の宣伝ツイートをする時もあります。

RT・引用RTの活用

リツイート、引用リツイートは有用なコミュニケーション方法。ざっくりとですが、基準も決めています。

リツイートするもの
・Wixに関する良いツイート(例:サポートが神だった!進化がすごい!等)
・フォロワーさんの役に立ちそうなツイート(私の場合ですが、ウェブ制作やデザイン、マーケティングに関するツイートが多いです)
・会社の利害関係に影響しないような「いいね」と思ったツイート(この部分、意外と大事です)

引用リツイートするもの
・ツイートしてくれた人にお礼を伝えたい時
・ツイートしてくれた人と今後も繋がりたい時
・元ツイートに何か補足したい時
・RTしただけでは意図が伝わらなそうな時

引用RTやリプライをしているうちに、ツイート主さんと仲良くなって「一緒にイベントやりましょー!」という展開になったこともあるのでおすすめ。ただし、相手から全く反応ないのにやり続けるのはかえって迷惑になるのでやめましょう。

記者さんとのコミュニケーション

リモートワークが当たり前になって、編集部に電話してもなかなか繋がらないという声をよく聞きます。最近は、記者さんが実名でTwitterをやっていてDMを解放している場合もあるので活用しちゃいましょう。返事が来たらラッキー!くらいの気持ちでいると楽です。

あと、Twitterを毎日ちゃんと動かして定期的に会社の情報をツイートしていると、記者さんの目に留まって取材依頼が舞い込んでくることもあります。まさかTwitter経由で取材依頼が来るなんて思ってもなかったのですが、何度か憧れの媒体への掲載につながったので侮れません。

受信編

業界動向・ユーザー属性の把握

Wixに入社するまでウェブ業界は未知の世界でした。なので、Twitter始めた当初は業界のキーパーソンをとにかくフォロー。そこから流れてくるツイートやウェビナーへの参加を通じて業界への知識を深めていきました。

もちろん、ウェブ媒体や雑誌でもこうした動きを学ぶことはできますが、Twitterだとリアルな声が聞けますし、「あの会社とあの会社は仲良さそう!」とか「今はこんなネタが炎上してるのか…」みたいな予備知識が増えていくので両方見ておくと良いかも。そして気になったツイートは社内Slackで共有!

あとはWixの場合、直のユーザーさん(個人・プロの制作者)もTwitterをやっているので、その人たちが日々何を考え、感じ、生活しているのかを把握する意味でタイムラインを見ています。当たり前ですが、ユーザーはユーザーである前にひとりの人間で、そこには生活があることを忘れてはいけないですよね。

良いコメントで社員のモチベーション向上

プレスリリースを出したり、ウェビナーを開催したりした後は、必ずTwitterで反応を確認します。中でも目を引いたものは英訳して、本社へのレポートに含めるようにしています。Wixの製品開発者は本社にいるのですが、外国人なので日本のユーザーからの全てのフィードバックを得られるわけではありません。そんな中、「Twitterですごい褒めてくれてる人がいたよー!」って伝えるとめちゃくちゃ喜んでくれて開発へのモチベーションが一層高まるようなので、エンジニアにエンドユーザーからの良いコメントを伝えるのはおすすめです。

もう一つ、良いフィードバックを得る機会が少ないのがカスタマーケア(サポート)部門。サポートはユーザーの困りごとが集まる場所なので、必然的にマイナスのフィードバックが多くなってしまいます。そんな中、Wixのカスタマーケアへのお礼ツイートを定期的に目にするようになったので(いとありがたし)都度社内Slackで共有。担当者からは喜びの声が聞けて、日本のカスタマーケアチームの評価アップへも多少貢献できたようです。

さらにすごいのが、こうしたツイートを目にした業界団体の方から声がかかって「革新的なサポート体験を提供する企業アワード」にノミネート。2021年秋には「Support DX Award 2021」の受賞に至りました!

企業・製品に対するコメントの活用

ここまでは良いコメントをどう活用するか?というのを見てきましたが、中にはWixという会社に対するマイナスのコメントや、製品へのフィードバック、不具合の報告などを目にすることもあります。

こうしたコメントへ反応することはしませんが、スルーせずしっかり事業へ活かしています。たとえば、「世の中へ伝わってる会社のイメージが打ち出したいものと違うな」と感じた時は、プレスリリースやウェビナー、ツイートで発信するメッセージのトーンや内容を見直します。

製品へのフィードバックは内容が多岐にわたるのですが、すぐ直せるもの:「機能のこの部分が英語のままだった」「サポートセンターのこの記事がちょっとわかりづらい」などは社内Slackで担当者へ伝えて、できる限り修正してもらいます。すぐには直せないけど当該ツイートの数が多い=ニーズがある、という場合も社内Slackで担当者に伝えます。また、「サイトに繋がらない」というツイートを見つけた時は、一旦自分のPC環境で検証して、事象が確認できたらこれも社内Slackで担当者に共有します。

冒頭にも書きましたが、広報は「中と外を繋ぐ存在」だと思っています。できることは限られるとしても、社内のメンバーが適切な判断ができるよう、必要なタイミングで情報共有するよう心がけています。

さいごに

ここまで、広報担当としてTwitterをどう活用しているか?について書いてきましたが、最後にアカウント運用に際して気をつけていることを記して終えたいと思います。

実は、Wixは米国NASDAQに上場している企業です。上場企業の社員が何か発信する場合、それが株価に影響しないか?を十分考えてからツイートする必要があります。そこで決めている運用マイルールがこちらです。

・未公開情報(事業戦略、新機能、売上詳細、人事異動等)はツイートしない
・データ、数値の公開はすでに公になっているもののみ
・会社や仕事に対するリアルな不満は書かない
・他社や他人の批判、悪口は書かない(エアリプもダメです)
・世の中で炎上中の(炎上しそうな)ネタには一切触れない
・なるべくポジティブな発信、丁寧なリプを心がける
・負の感情のままツイートしない(一旦寝かして方向性を変える)

ここまで書いてきましたが、すべてのツイートが考え抜いたものか?っていうと全然そんなことはありません。むしろ無益なツイートの方が多いくらいです!企業に属する個人が社名・顔出しでTwitter運用することのメリットは、その人を通じて会社やサービスのファンを作れるところ。なので、基本ルールは守りつつまずは自分がTwitterを楽しんで輪を広げていくっていう気持ちが大事かなと思っています。

今回のnoteが誰かのTwitter運用の参考になれば嬉しいです。そしてよかったらTwitterのフォローもよろしくお願いします!