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こんな社会だったらいいな、を書こうとして筆が止まった。

今noteで#こんな社会だったらいいなというタグを使って募集が行われている。日頃社会に対してクソ~! と思うことが絶えない私としては、自分の主張をするチャンスもチャンス、大チャンスのはずなのだった。

思っていることは、たくさんあるはずだった。不満だって、たくさんある。

学校教育についても思うところがあるし、アルビノの子が生まれてきて親が右往左往するしかない状況もよくないと思うし、アルビノの人が現実を生きているって伝わっていないのも何だかなと思うし、アルビノの見た目でアルバイト落とされるのはクソだって思う。

それだけじゃない。この国はまだまだ女性差別が蔓延っているし、障害者だって、セクシャルマイノリティだって、差別されている。この間ジェンダーの本読んでて知ったんだけど、トランスジェンダーの人が戸籍の性別を変更する際の要件がひどい。気になる人は「トランスジェンダー 戸籍 変更」を調べてみてほしい。現実、ひどすぎて驚くから。

けどトランスジェンダーでもない、アライってほど詳しくもない、性自認ふわふわのアセクシャルでノンセクシャルの私がトランスジェンダーのことを語ってもぶっちゃけ現実味がない。当事者の本音に勝るものはそうそうないからね。

そんなわけで、筆が止まって、一旦下書きを削除して応募要項のフォローも外して、このコンテスト自体見送ろうかって考えた。でも、と思った。

当事者の本音に勝るものはないって言うなら、全国に5,000~6,000人しかいないらしいアルビノのその現状を訴えなくてどうするの? 黙っていたら黙殺される一方なんだよ? と私が私に囁いた。そう、私は戦闘民族である。何かに怒りを覚えても、感動しても、文字を書く。そういう風にできているらしい。

長い長い前置きを読んでくれてありがとう。筆が止まったけれど、結局アルビノ当事者として「こんな社会だったらいいな」を書いていく。

私のやりたいことともそれなりに被っているのだけど。

アルビノの情報を簡単に得られるように

アルビノの子が生まれて、そのまますぐにアルビノや白皮症という"疾患名"にたどりつけるケースは少ない。20年前の私の母は、病院巡りをした。今だって、遺伝子診断をしに病院を巡っているアルビノの子とその親御さんがいる。

アルビノはどういうものか、どうやってつきあっていけばいいのか……そんな不安に苛まれながら子育てしている人がいる。日本アルビニズムネットワーク(JAN)やアルビノ・ドーナツの会などいろんな人達による発信のおかげで昔よりはましになったのだろうなと思う。しかしまだ十分とは言えない。

せめて、生まれたときにアルビノという"疾患名"に出会える環境を整えてほしい。医師に広くそういう知識が広まってほしい。

アルビノという疾患名にさえたどりつければ、ネット上でいろんなことを発信している人がいるし、私も日焼け対策とか日常とか発信していくので。

見た目で落とされない社会へ

アルビノの人は弱視を伴うことが多く、それ故になれない職業というのも存在する。運転免許が必要とされる職業なんかはその代表だ。

求められている能力がないのだから仕方ない、とそこについては思う。

でも見た目を理由に落とされるのは全然納得がいかない。居酒屋の店員が金髪だったら酒が不味くなるのか? アパレルショップの店員やホテルのフロントスタッフが金髪だと服が売れなかったりホテルの客足が遠のいたりするのだろうか。 

企業の人事をやっていた人と話した経験もあるのだけど、「お客様が不快にならないように」という論理で採用の可否を決めているらしい。これもまたひどい話だ。

採用されても、「髪のこと言われても自分で何とかしてね(守ってあげないよ)」というようなことを言うところもあった。守ってくれないなら、労働者を守らないなら、会社は何のために組織としてあるんだろう。

履歴書を送って落とされたところについては「写真を見て落とされたのか……?」と疑いをもってしまう。何故なら見た目で落とされた経験がたくさんあるから。

見た目で落とされたのではないか、と疑念を抱かなくてすむような社会になってほしい。いっそ履歴書に写真を貼るのやめたらどうだろう。弱視のことはしっかり書くから。

多様な働き方のできる社会へ

今私は働けない。正確に言うと「外へ出てどこかに出勤して働き、経済的自立できるほどの額を稼ぎだせない」だ。

でも家のなかでなら、文章を書くことができる。エクセルで表を作ることもできる。データ入力だってできる。

しかし、外に出られないから、稼ぎが少ない。仕事は出勤しなくても成り立つものが増えたはずなのに、未だに出勤を絶対にしなくてはならないという企業が多い。

週5日働くのも無理だ。一日外に出たら疲れ果てて動けなくなってしまうから。

さて、時代は超高齢社会へと突入していく。そうなると、高齢者が増える。高齢者が増えるということはすなわちがん患者が増えるということだ。年を取るほど細胞はバグを起こしやすい。

今の状況ではがんになったときに選べる選択肢が週5日働くか、働くことを諦めるか、しかない。がんになって治療もしなければならないのに週5日出勤をして働くなんて無茶だ。

では働くことを諦めるか? がんになってお金が必要なのに? いくら保険や助成があるとしてもそれだけではきつい。在宅や時短勤務などがもっと普及してくれなくては困る。

週5日一日8時間の出勤ができなくても、働ける、経済的自立ができる、そういう社会になっていくべきだ。


少しでも過ごしやすい社会になりますように。




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