「いつになるかもわからない夢を語るのをやめなさい」

そう言われて、反射的にこう返しそうになった。

「夢があるからつらい今も耐えられる。私から夢を奪うな」

と。でもそれは言葉になることはなかった。考えこんでしまったから。

夢があるからつらい今を頑張れる。それは美しくも聞こえる。美しくて、綺麗で、尊いことのようにさえ思える。

でもそれって、夢を叶えたら次の夢ができて、また耐えるべきつらい今がやってくるってことじゃないだろうか。それだと終わりがない。そして、つらい今を生きなければならない。

夢を一度叶えてもまた今が褪せて次の夢を追うための次のつらい今がやってくる。そうして頑張り続けなければならないのだとしたら地獄だ。だってそれだと今はずっとつらいままだから。つらい今がずっと続いていく。

勿論短期的、中・長期的な目標を立てるのは大切だ。だけど、つらい今を続けていくのはどうやったって無理だ。夢だけじゃなくて、今の楽しみも必要なんだろう。

例えば、明日映画を観に行くとかそんなことが。でもお金ないからそんな楽しみもなかなか用意できないね。