アルビノなんだなあって見ててもらえた嬉しさ。
「ああ、アルビノなんだなあって、見てました」
それは、初めましての少し後。雁屋はアルビノなので、恒例の質問がよく飛んでくる。
「雁屋さんって、ハーフなんですか?」
「どこの国の人ですか?」
「雁屋さんそれ地毛ですか?」
眼症状以外は仕事に関係ないと思うけれどやはり気になるようで、何人かには聞かれるのだ。国籍を何の躊躇いもなく聞けるところは、日本だなあと思う。皆さん何気なく聞いてるかもしれないが、国籍は重要なアイデンティティである人が多いので間違えたら謝った方がいい。
「ハーフじゃないです」
と答えてふと隣の人に視線を合わせると私の答えに驚いていなかった。うんうん、と頷いていたのである。既にアルビノの話をした相手だったか、と思って聞いてみた(誰にアルビノの話をしたか忘れることがある)。
「アルビノの知り合いがいたので、ああ、雁屋さんもそうなんだなと思って見てました」
隣の人は最初から私がアルビノだと気づいていたのである。
何とも言えない嬉しさが胸に広がった。
その人はアルビノであることを自然に理解して髪の色や眼症状も折りこみ済みで一緒に働いていたのだ。説明するのは必要だからやるけども、それをしなくていい相手がいると、そうして理解されていると、嬉しくてたまらなくなる。
「ハーフですか?」と聞かれることなく、説明することなく、理解されている。その状態の何と心地よいことだろう。そういう人がこれからも増えればいいなと思ったのだった。
勿論アルビノをすべての人に知ってもらうことは無理がある。生きている人間であるアルビノの存在を知らせていけたらいい。
誰だって誰かの初めての経験になりうるのだ。
執筆のための資料代にさせていただきます。