日本を覆う黒いスーツ
先日、本当は自分がどんな服が着たいのかわからないという記事を書いたわたしですが、
https://note.mu/yukawapaseri/n/n1da9670e6284
アパレル業界の動向も多少は気になるもので、
オンワード、国内外600店舗閉鎖 ネット通販に投資
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO50506830S9A001C1MM8000
というニュースをぼんやりと眺めていました。
フォーエバー21の件は大した感慨もなかったのですが、オンワードはそこそこお世話になったメーカーさんなので、店舗が減ると地方では試着が難しくなるなあ、と寂しく思いました。(試着必須の体型です)
けれど、わたしの住む地方の百貨店の婦人服売り場はいつもお客さんが少なくて、確かに心配になる雰囲気はありました。
テナント料に見合った売り上げはあるのかなあと。まあ余計な心配ですけど。
だって最近そもそも、素敵なスーツを着てるお姉さん、見ないですよね。
みーんな、真っ黒。
リクルーターだけじゃなくて、新入社員も真っ黒だし、あれよあれよという間にいつのまにか中堅社員まで真っ黒。オンワードのターゲット層くらいまで真っ黒。
いつのまに?ですよ。
若者にお金がない、って事情はもちろんわかります。景気がいい筈の日本の大半が搾取されすぎて疲弊しきっていることも。通信費が大変なことも。
だけど、この真っ黒スーツの風潮は絶対若者だけの意思でできたものじゃないわけです。
その「無難な黒」を評価した上の世代の責任である、とわたしは思っています。
昔のドラマを見てると、会社の中がとても明るくて、男女問わず、きちんとした格好でありながら、黒一色ではないわけです。
平成も半ばから後半にになると、ドラマの中もあっという間に黒ばかり。むしろ制服のある会社のほうが明るく見えるという不思議な現象。
一番何でも似合って、お洒落にお金をかけてくれるキラキラ世代に、生活の大半を過ごすオフィスで真っ黒なスーツを着せて年をとらせてしまう。
そりゃあ、百貨店の婦人服売り場が空くわけだと思います。
全体主義は経済も停滞させるんだなあ、、
わたしが会社にいた頃は、黒は冠婚葬祭の時しか着ませんでした。もちろんダークスーツは必要ですが、それは深いネイビーとかチャコールグレーであって、決して黒ではないんです。
例えば外資の人は黒とか着るんだろうか、海外とやりとりする人はさすがに着ないような気がするけど。。
若い会社は社長がTシャツ着てたりしますけど、そういう会社への就活はTシャツ?ではないよね、たぶん。いやもちろん自由な服装の会社もあるはずなんだけど、そういう会社の女の子はオンワード着るかな、と思うと、そこはもっとカジュアルなブランドを選んでる気がして。
やっぱりオンワードのターゲットだった層が黒スーツになっちゃった気がする。
それはともかく、、
何だか最近、個性を表現できるのは選ばれたものの特権みたいになってないですか?
わたし結構真剣に、娘があの黒スーツを着ないで生きていけるようにならないものか時々考えてしまうんです。(反骨精神のない順応系の子だからたぶん抵抗なく着るけど。)
女性の先生のスーツが(ウチの子の小学校だけならいいんだけど)みんな黒だったのも気持ち悪かったです。男の先生はネイビーやグレーもいたのに、女の先生だけ真っ黒スーツ。毎日勉強する場所で、女は真っ黒スーツが定番、みたいなの毎日見せられたら、女の子たち黒を押し付けられることに抵抗なくなるだろうな、と思いました。
そこから始まってるんですよね。
でもその全体主義は巡り巡って経済の停滞に繋がってるんじゃないかな。
オフィス内でも、失礼のない範囲で自分に似合う色や形の服を着ることを歓迎するような雰囲気が社会全体になければ、若者がお洒落にかける費用はどんどん低下してしまうのではないかしら。
ただでさえ少ない休暇の、その限られた時にしか着ない私服を何着も買える人は少ないよ。
着るものに何のアイデンティティも持たず、着たい服すら分からないわたしですが、どうやら着たくない服はあるなあ、と思いました。
もちろん、それが好きな人は着たらいいけど、着たくない人には別の選択肢がある社会がいいなあ。
わたしは、女の子に黒いスーツを着せる会社には好印象は持ちません。むしろ抱くのは嫌悪感。
企業にとって無難な選択どころか、イメージダウンになってる可能性、あるんじゃないでしょうか。
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