新井浩文の大阪弁~「血と骨」を観て


Amazonプライムで無料視聴した映画三連発が、百円の恋・クヒオ大佐・血と骨。
偶然だが、どれ観ても新井浩文。どこを切っても金太郎というぐらいに新井浩文だった。
で、特に印象に残ったのが「血と骨」での彼の大阪弁。


関西弁のイントネーションというのは独特である。これは関西で生まれ育った人間しか習得できないといっても過言ではない。
しかも関西人は、関西以外の人間が関西弁をしゃべるのを異常にいやがる。少しでもイントネーションが違うと「キモイわっ!」と拒否反応を起こす。
特に大阪。人情味があるといいつつ排他的な土地柄なのだ。


この映画は戦前から戦後にかけての大阪・朝鮮人街が舞台である。当然、コテコテの大阪弁と朝鮮語がとびかう。
田畑智子・濱田マリ・北村一輝・國村隼・平岩紙などは関西出身なのでもちろん違和感のない大阪弁を使う。対して、たけしや鈴木京香は「あ...」だった。
しかし、この映画の醍醐味はたけしの怪演と鈴木京香の体当たり演技なので、イントネーションの違いなんて誤差の範囲ぐらいにしか感じない。が、驚いたのは新井浩文。


実に大阪弁が巧い。確か青森出身のはずだけど、あの難しい大阪弁のイントネーションを正確に操る。
ナレーションも彼が担当しているが、ネイティブと変わらないしゃべり方である。
「クヒオ大佐」で、ちょろっと英語をしゃべるシーンがあったが、その時も流暢な英語で驚いたものだ。きっと耳がいいのだろう。
美空ひばりが、英語を知らないのに実にきれいな発音で英語の歌を歌うように。タモリがデタラメな外国語をいかにもそれらしく聞こえるような喋り方をするように。
それは天性の才能なので、役者としてはこのうえない武器になるはずだった。それだけに今回の不祥事は非常に残念でならない。

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