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ワークショップを協働でデザインする学び:細部に宿る、エキスパートの哲学

ミミクリデザインで企画している学習プログラム「Workshop Spirit -“ワークショップの魂”を探る」の打ち合わせのために、ゲスト講師の中野民夫先生中原淳先生とミミクリ運営メンバーで最終打ち合わせをしました。

場所は、桜が満開の中野先生の研究室がある東京工業大学にて。

ワークショップの源流と、実践者としてのコアを探るためのこの学習プログラムは、企画者側としても「ワークショップの"スピリット"とは何か?」ということを考え続けなければならず、実践者、研究者として身が引き締まります。共同企画者である中野先生と中原先生は業界の第一人者であるエキスパートの方々ですから、なおさらです。

毎回の打ち合わせも学びにあふれています。ワークのアイスブレイクの問いひとつとっても、プログラムの細部の設計に対するコメントや意見に実践者としての哲学がにじみ出ていて、とても学びがあります。

たとえば一例を挙げると、中原先生はプログラムのイントロダクションパートをとても重要視していて、そこでいかに参加者の企画に対する深い理解と、学習活動へのイメージを形成するか、また用語の定義に対する共通理解をつくるか、などをとても重視されているなと感じました。中野先生は、徹底して参加者の心理的安全を担保するために、場の立て付けや、言葉の使い方にものすごく神経を使われていることを感じます。

森玲奈さんのワークショップ実践者の熟達研究においても、文化的背景の異なる他者と協働でワークショップをデザインする経験は、実践者としてのデザインの変容の契機になりうることが指摘されています。

実践観が異なるデザイナー同士の協働デザインのプロセスは、説明しなくても「これは大事だよね」と暗黙のうちに共有できる前提もありながらも、細部へのこだわりの違いから、合意形成までの時間もかかるため、必ずしも「楽」なことではありません。しかしながら、"自分のデザイン"に閉じずに他者と協働する機会は、自分のデザインに新たな視点を取り入れ、同時に自分の暗黙知をメタ認知的に相対化する契機になるため、意識的にそういう機会を作っていきたいと思いました。

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