「認知科学に基づいたコーチング」のインパクト
初めまして、小川祐輝です。
私は現在、Mindset Coaching Schoolでコーチングを学んでいます。
このスクールで重要視されているのは、コーチングの理論を学ぶことでなく、学んだ理論を徹底的に自己適用し切れた人でないとコーチになれないということです。
(自転車が乗れず理論だけ知っている人が乗り方を教えても、教わる側は自転車に乗れるようにはなりません。まずは自らが自転車に乗れるようになることが大切。)
私もコーチングを学び自己適用していく中で、
・仕事に対する考え方や行動・言動が大きく変化、
・趣味では今まで習ったことのないダンスを始め、2ヶ月でムーンウォーク世界大会に出場し入賞
など、明らかな自分の変化を実感し、コーチングのインパクトを感じています。
この記事を読み、
・認知科学に基づいたコーチングって何?
・コーチングを受けるとどうなるの?
をつかんでいただけたら幸いです。
◉コーチングとは?
コーチと聞いて思いつくのがスポーツの指導者では無いでしょうか。
コーチと言う言葉の由来は「人を目的地に運ぶ道具」からきているように、クライアントが到達したい目的地(ゴール)を設定し導くのがコーチの役割でありコーチングで行うことである言えます。
コーチングには共感・傾聴コーチングやカウンセリングに近いものがありますが、私が学んだコーチングは認知科学に基づいたコーチングで、共感・傾聴やカウンセリングはしません。
認知科学に基づいたコーチングとは
コーチングの祖であるルー・タイス氏が作りN A S Aや米国国防総省に公式に採用、また、フォーチュン500社の60%に採用されたプログラムが元となっています。科学的なアプローチをとっているので誰にでも適用でき、再現性があります。
このコーチングは潜在的能力を引き出し、人生を丸ごと変えてしまうものです。
◉認知科学とは?
認知科学とは、人間の心を「情報処理システム」であるとみなして人間の知の働きや性質を理解する学問です。
何か外部刺激があった時、無意識、意識を問わずあなたの脳と心が認識している「モノの見方」(以下、※ビリーフシステム)で情報処理が行われ反応が出てきます。
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用語解説 ビリーフシステム(認知科学では内部モデル)
あなたの脳と心が認識している「モノの見方」とは、意識的・無意識的に寄せ集められた価値観の集合体であり、これを「ビリーフシステム」と呼びます。
ノーベル物理学賞を受賞したアルベルト・アインシュタイン氏の言葉に、
という言葉がありますが、今まで生きてきた中で経験した様々なことがビリーフシステムに無意識レベルで書き込まれていると言うことです。
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例えば、営業で、上司に「今月中にあと10件の契約を取りましょう(外部刺激)」と言われたときに、
「楽勝だ。あと30件の契約はいける」というビリーフシステムがあるAさんは、当然のように行動を開始(反応)できますよね。
一方で、「厳しい。あと3件の契約が精一杯だ」というビリーフシステムがあるBさんはどうしても行動する気になれないとなります。
ではBさんの行動を変えるにはどうしたらよいのでしょうか?
一つは、外部刺激を変える方法です。
上司が叱咤激励等をしてBさんの行動を“一時的に”変えることは可能です。しかし、行動はするがパフォーマンスは低かったり、元に戻ってしまいます。
もう一つは、ビリーフシステムを書き換える方法です。Bさんのビリーフシステムを「できて当たり前」に書き換えることで“永続的に”行動が変わります。
このビリーフシステムの書き換えをコーチングで行います。そして、このビリーフシステムの書き換えをする最も有効な方法が「ゴール設定」であり、コーチとクライアントが一緒になって「到達したいゴール」を創っていきます。
◉ゴール設定について
コーチングでは、クライアントが到達したい目的地(ゴール)を設定します。
ゴール設定には以下の3つの条件があります。
順番に説明していきます。
1、現状の外であること
現状の外にゴールを設定すると言う原理原則が、ルー・タイス氏のコーチングが他のコーチングとは一線を画している点です。ここでは「現状」と「現状の外」を説明します。
「現状」とは、「現在の状態のままいけば十分に起こりうると予測される未来」のことです。
例えば、売上が50億円の会社の社長が倍の売上100億円にするというゴールを設定しても現状のゴールです。また、自分が所属している会社の社長になる等も現状です。ビリーフシステムを変更させなくても自我の更新がなくても何とか突破できる未来は全部「現状」です。
では「現状の外」とはどのようなものでしょうか。
「現状の延長線上にない未来」を「現状の外」と言います。
現状の外のゴールを設定するとクライアント目線では、
①自分で恐怖心が出てくる
②達成のプロセスが全く想像つかない
③周囲の人が止めてくる
ということが起こってきます。
2、have toでなくwant toであること
want to(〜したい)とは、自分の内側にある「本音の欲求」です。行動そのものが報酬で自分がやっていて楽しくてワクワクし、やり続けてしまうし、幸せです。
他人の評価など自分以外に全く影響を受けないものです。
一方で、have to (〜ねばならない)は、やりたいわけでも得意でもないがやらなくてはいけないと考えとっている行動です。他人の評価などが報酬であり、他人軸でやっていることです。
責任感などで何とか頑張っているものの、続かないし、続けても幸せではありません。
特に、「現状の外のゴール」は今までの知識や経験が全く役に立たない領域です。そのような領域でやり続けることができるのは、本音の欲求であるwant to以外ありません。
3、複数の領域(バランスホイールすべて)に設定すること
人生の全領域(=バランスホイール)にゴールを設定します。
バランスホイールには8つの領域がありそれぞれの定義がとても重要になってきますので下記で説明していきます。
なぜバランスよく複数の領域にゴールを設定するのか?
その理由の一つが、人生のバランスが崩れてしまうとゴールに遠ざかってしまうからです。
私も経験があるのですが、仕事に力を入れすぎて、家庭のことは後回しにしてしまい、家庭の問題が大きくなり仕事どころじゃなくなるといった経験があります。
他にも、健康をおろそかにしていて、身体を壊してしまったら仕事することができなくなってしまいゴールから遠ざかってしまうということもあります。
もう一つの理由が脳は意識的には同時に処理することが難しいですが、無意識的には同時並行して処理することが得意だからです。
例えば、自転車に乗れるようになるまではとても難しかったと思いますが、乗れるようになった後は、自転車乗りながら飲み物を飲みながら行き先を確認するというような同時処理を行うことができます。
つまり、無意識は量が多ければ多いほど、整合性を保とうとして脳が勝手に計算をして抽象化(全てのゴールを達成しようとする)してくれます。
これが無意識のカラクリと言われるものです。
※バランスホイールの各ゴールの中心には真のゴールがあります。真のゴールは戦争のない平和な世界など非常に抽象度が高いものです。バリエーションが違うところ、多様性の中でゴールを作ることで、それを全部包摂する真のゴールは何かを無意識で脳が計算するので、現状の外側のゴールに隠れた真のゴールが閃きやすくなります。
以上の3点を踏まえて「ゴール設定を」行なっていきます。
決断し、ゴール設定ができるとビリーフシステムが書き換わり、脳の使い方が劇的に変化します。
◉終わりに
ここまで読んでいただき誠にありがとうざいます。
最後にコーチングを自己適用していく中で思い出した、過去の自分の挑戦について話させていただきます。
間違いなく自分の人生が大きく変わった決断は、28歳の時に、これからの自分が命を賭けてやりたい仕事は何かということを考え、「仕事を辞め市議会議員に立候補する」と決断したことです。
家族や友人や市長に相談に行った時には政治家に必要だと言われている地盤も看板も鞄も全くなかったこともあり、「今はやめた方が良い。4年間勉強してから次の選挙で出馬しろ」と止められました。
しかし、落選してでも挑戦したいと考え、仕事をやめ挑戦することに決めました。
新たな未来を想像しワクワクしつつも寝る前にはどうしようもない恐怖感や不安感があり、子どもの時に治ったアトピーが再発するなど実感していないストレスも感じていました。
政治活動をし始めると、今まで見えなかった「当選するために何をしたらいいのか」が急に見えてきました(R A S が発火)。田舎ではなかなかやっていない街頭演説をしたり、自転車に旗を立てて回ったり、会う人全てに挨拶したり、ビラを配ったり思いつくことを全てやっていきました。
こうした行動をし続けると、自分の想像していなかった方が応援してくれたりと、応援してくれる人が少しずつ現れてきました。そして、人を新たに紹介してくれ、どんどん支援の輪が広がっていきました。
その結果として、新人の中で一位の得票数で当選することができました。
コーチングを自己適用する中で驚いたことは、人生が大きく変わったこの挑戦をコーチングの理論に当てはめた時に全て説明がついたということです。
つまりマインド(脳と心)のカラクリは再現性があるということなのです。
コーチングは人生を丸ごと変えてしまうものです。
私自身も自己適用し続けていきたいと考えていますし、
に対し、コーチングを通して人生の手伝いができればと考えています。
【コーチング問い合わせ】
コーチングに少しでも興味を持っていただいた方は、下記フォームまでお気軽にお問合せください。
https://docs.google.com/forms/d/15aIxw9KSpbh0HTX55OeESYX7cCTS5zyjJr_SekiEmqM/edit?ts=64f90d51&pli=1
◉その他の重要用語の解説
◆エフィカシー(自己効力感)
ゴールを達成するために最も必要なものが「エフィカシー」です。簡単にいうと、ゴールに対する“根拠のない自信”のことです。
正確には「ゴールを達成する自己能力に対する自己評価」と定義されます。
エフィカシーが高いかどうかは「実際にできる能力があるかどうか」ではなく、「自分にはできると信じているかどうか」です。
「現状の外のゴール」は今までの知識や経験が全く役に立たない領域です。そのような領域でやり続けることができるのは、本音の欲求であるwant toであり、エフィカシーが高いからであると言えます。
◆セルフ・エスティーム(自己肯定感)
エフィカシーと同じく「自信」なのですが、「現在の自分のポジション(肩書き)に対する自己評価」を意味しています。ここには、第三者評価も含まれています。
第三者評価とは無関係なエフィカシーとは、明確に異なる概念です。
◆RAS(Reticular Activating System=脳幹網様体賦活系)とは
「情報のフィルター」みたいなもので、その人にとって「重要な情報」だけが見えたり聞こえたりする機能がRASです。
人間の脳は、世界中の全ての情報を受け入れることは不可能です。故に、脳がパンクしないように、RASが重要なものだけを意識に上げ、重要でないものを無意識下にして、情報を振り分けているのです。
つまり、RASが変われば、あなたの視る世界も変わります。
例えば、妊娠したり出産した場合、街中にいる赤ちゃんがやたらと目が入ったり、ベンツを買うと決めると、やたらと道端を走っているベンツが目につくようになります。
◆スコトーマ
スコトーマとは、「心理的盲点」のことです。
RASが「重要ではない」と判断し死角になっている部分、目の前に存在していても見逃している部分(盲点)をスコトーマと言います。
つまり、スコトーマとは「現状の外側」のことであり、私たち人間の可能性は、このスコトーマの中に隠れていると言えます。
コーチングにおいては、スコトーマを外すことで、現状の外側へのゴール設定が可能になります。すると、重要関数が変化(=R A S が発火する)するので、自然とゴールへの道(情報)見えてきます。
◆セルフトーク
無意識に自分自身に語りかける言葉です。人は1日に数万回自分に語りかけていると言われています。この「セルフトーク」を変えることが、ゴール達成の鍵になります。
例えば、何か失敗した時、「しまった!」とセルフトークをしてしまいます。そうすると失敗した自分の映像が浮かび、ネガティブな心情になります。
一方で、同じ失敗した時に、「自分らしくない」とセルフトークに変えます。すると本来の失敗していない自分が映像に浮かび、ポジティブな心情になります。
ポジティブなセルフトークに変えることで、ゴールを達成している自分の映像(セルフイメージ)が作られ、臨場感が高まることで、ゴール達成のエフィカシー(根拠なき自信)が高まります。
ゴール設定前のコンフォートゾーン(以前の自分)に戻らないための大切なことです。
◆コンフォートゾーンとホメオスタシス
コンフォートゾーンとは簡単には「自分にとって居心地のいい空間」のことであると考えてください。「自分にとって居心地のいい空間」を未来側に移動させることが現状の外にゴールが設定できた状態となります。
認知科学では、情報空間(マインド=脳と心)で、ホメオスタシスと同様のことが起こることが分かり、コンフォートゾーンと呼んでいます。
ホメオスタシスとは恒常性維持機能といい、外部の環境が変化していたとしても、内部の環境(体温・血液量・血液成分など)を一定に維持できる機能のことです。
例えば、寒い場所でも暑い場所でも基礎体温を36度に保とうとしたり、運動して体温が上がった場合は、汗を出し体温を下げ基礎体温に戻すこと(ホメオスタシスのフィードバック)もこの機能であるといえます。
コンフォートゾーンには、「臨場感のある一つしかとれない」という特徴があります。
基礎体温が35度であり、37度であることが同時に取れないのと同様にコンフォートゾーンも二つ同時に取ることはできません。
現在の自分と未来の自分の二つのコンフォートゾーンがあった場合はより臨場感の強い方に引っ張られます(臨場感の高い現状に引っ張られやすいのでセルフトークなどを使う)。
臨場感というのは、
例えば、映画館で映画を見るときにスクリーンに光が当たっているだけなのに、映像が現実かのように没入し、感動して泣いたり、怖くなったりしますよね。
これが臨場感の高い状態です。
つまり、未来の自分に臨場感が弱ければ、現在の自分に引っ張られ、現状維持となってしまいます。
コーチングではこのコンフォートゾーンの特徴を利用します。
現状の外にゴール設定を行い、映画みたいにそこに臨場感を持たせることで、現状にあるコンフォートゾーンをゴール側のコンフォートゾーンにずらすということをします。
そうすることで、ホメオスタシスの現状側に戻ろうとする機能をゴール側に戻ろうとする機能に変えます。
例えば、私は以前タバコを吸っており、禁煙を百回くらいしようと思ってもできませんでした(=ホメオスタシスのフィードバック)。
しかし、政治家になるというゴールを決めた時、タバコを吸っていない自己イメージがコンフォートゾーンであったのでタバコを吸うことに居心地が悪くなり、禁煙できました笑
これが現状のビリーフシステムが書き換わり、ゴール側のビリーフシステムとなることで行動が変わってくるという仕組みになります。
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