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糸を編むように「ものがたり」は紡がれて

2019年10月27日(日)18:00から、銀座の森岡書店で開催された「森岡書店でコンテクストデザインを考える」に行きました。

登壇者はTakramのコンテクストデザイナー渡邉康太郎さんと、森岡書店の森岡督行さん。お2人のトークイベントです。

渡邉さんは数年前から「砂時計」の展示をされたかったそう。森岡書店はたった一冊だけの本を取り扱う書店。

この場所で、渡邉さんは砂時計を展示され、合わせて今回執筆された「コンテキストデザイン」を販売されました。この場所でしか買えない書籍。

今回のイベントは、展示と書籍販売の最終日に行われました。内容が多岐に渡るため、印象に残った話を残すことを目的にしています。

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左 : 渡邉康太郎さん 右 : 森岡督行さん 


コンテクストと砂時計

渡邉さんがPodcastなどでもお話されているコンテクストの意味について。

コンテクスト(context)。conは「共に」textは「編む」という意味のラテン語。テキスタイルやテキストの語源にもなっています。

1人ではなく「共に編む」。受け取り方によって様々な意味に。

デザイナーが作り手、使用者が受け手、の分別を超えるような意味に感じました。共創やオープンイノベーションのようなものより、1人1人が自らの解釈で物語の語り手になるような。

もちろん、誤読も生まれる。でも、それで良いというように受けとりました。一意の物語を上から下に流すのではなく、語りたくなるような物語。最近は、ナラティブという言葉でも物語の文脈を良く耳にするようになったと感じています。

渡邉さんは「コンテクストデザインとは」というnoteも書かれています。

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渡邉さんが実際に作られた砂時計が、お2人の間に置かれて会話は進みました。青と黄色の砂がゆっくり落ちます。青の砂の上に黄色の砂が重ねられ、美しいグラデーションが作られる。

渡邉さんが砂時計を作られた時の物語もnoteに書かれています。少し引用させて頂きます。

「私には今年小学校に上がる娘がいます。私が使うなら、この時計を娘にプレゼントしたい。最近、彼女の個室をつくりました。毎晩寝る前に、今日学校であったことを聞くときに砂時計をひっくり返したい。大人になるまで時計を傾けて話をする。成人するときにガラスを壊して指輪を取り出して、ひとつずつ、ふたりで使ってみたいです」
用途のない道具としてつくった砂時計だったが、つくったそばから、デザイナーが思いもしなかったあらたな用途が生まれたのだった。それも完成品を最初に見た人がそれを見出した。

意図はゆっくりとほどけ、しなやかな糸になり、編んでいくようなイメージを持ちました。

つくり手の意図を超え、まるで糸を編むように「ものがたり」は紡がれていくような。

今日のそのような感覚を感じました。

渡邉さんがお話をされていたアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの『人間の土地』の2匹のカゲロウのお話と、書籍の特装版につく、2本のしおりについて考えたこと。そして、森岡さんが話されていたことについて書きたいと考えています。

今日はここまで。素晴らしいイベントありがとうございました。この続きは後日このnoteに記載します。

カゲロウについてはTakramさんのPodcastでも詳しく触れられています。


また過去に、サン=テグジュペリの星の王子様について、ドミニク・チェンさんが「何回読んでも心に響く物語」として狐と王子の出会いの物語について語られています。

渡邉さんのPodcastで聴けます。砂時計にも繋がるので、ぜひどうぞ。

そのあとでぜひこちらの「ものがたり」を聴いてみて下さい。


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