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故郷では最初に生を飲む

この数日は、ほんとうに忙しかった。忙しすぎて全ての余白がなかった。あまり自分のことを大切にできていないような気がして、ようやく本日息をついている。

そんな本日、朝から青森に移動してきた。いまは、知人のご親族が開かれているお寿司屋さんで、ビールを手に筋子巻きを待っているところである。

そんな僕は、昨日までの数ヶ月間、ビールを飲んでいない。年末年始にアーユルヴェーダに行ってから、圧倒的にお酒の量が減り、飲んでもハイボールくらい。やめよう!と思ったのではなくて、自然とビールは飲まなくなった。

でも、青森に来てお寿司屋さんに入ったら、自然とビールを頼んでいることに、「生で」と自分の口から言葉が出た瞬間に気づいた。なんだろう。東北に来たら、地元のお店に入ったら、生を飲む。という感覚が自分にあるのだろうか。

けど、たしかにそういうなんとなくの感覚ってあるのかもしれない。
地場のお寿司屋さんで、ハイボールを頼むのは道を外れている気がする。ビールだ。

青森は故郷ではないけど、秋田の北部生まれの自分にとって、青森は文化の重なりがかなり多いと感じている。温泉もスキーも、青森に行っていた。そんな故郷の文化を感じるところで、その地場のお店で、僕はビールを頼む人間なのだ。ハイボールではない。

そういう人間なのだ。
と知った時、新しい自分に出会った気がした。
マスターが筋子を手に取る。これはついに僕の番のような気がして、そわそわしながらお腹が鳴る。

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