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#14 青年海外協力隊_日本遠征

2019年6月15日~27日までマダガスカル7人制ラグビー代表は、オリンピックホストタウンを締結した岐阜県郡上市に遠征しました。日程としては1週間ほど練習、最終日に郡上市企画のグローバルセブンス大会に参加しました。

振り返りすぎて長文になりますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

郡上到着まで

マダガスカルをお昼過ぎに出発、夜に成田国際空港に到着。一泊して国内線で中部国際空港でした。飛行機にもよりますが日本~マダガスカルは24時間程度掛かります。
大きな問題はありませんでしたが、文化の違い?を目の当たりにした場面がいろいろありましたので紹介させて頂きます。

ゴミ箱のテニスボール

一泊した後の成田空港でセントレアへの飛行機へ搭乗待ちのときでした。空港内に設置されているゴミ箱の中に、1人の選手がテニスボールを見つけたようです。何を思ったのかゴミ箱を開けて取ろうとします。案の定、行為を見かけた警備員が飛んできてお叱りを受けました。比較的綺麗なボールだったのでもったいないと思ったようですが、そこの行為だけ切り取れば不審者と疑われてもしょうがないなと思いました。

待合室にて

搭乗手続き後は待機時間があります。座って待つかと思いきや、フロアに座りトランプを始めてしまいました。日本人からすると異様な光景ですが、彼女たちからすると普通だったんでしょう。注意すべきかなと思いましたが、人も多くなかったので特に言わずでした。


空港待合室にて

練習について

練習は基本的に3部練習をしました。というのもマダガスカルで事業を行っている日系企業から支援は何が良いかいうことでカロリーメイト、プロテインなど補食をお願いしていました。朝食の前に補食が準備できたことで、朝食前のフィットネス、午前はスキル中心、午後はチーム練習中心にしました。
当然選手にとっては初めての経験で、二日目以降は見たこともない疲れ切った表情とテンションでした。そんな彼女たちを見て、現役を思い出したり。
その他にも、コロンビアと合同練習であったり、支援企業から指導者の派遣をして頂きました。というのも私自身FW出身のため、キックの指導が全く出来ませんでした。その課題に取り組むためお願いしました。やはり、今まで全く教えてもらったことがないようで、教えてもらうとすぐコツを掴んでいました。活動を通して思ったことですが、十分な指導を受けたりせず、練習道具も不足している中では、マダガスカル人は高いスキル?を持っていると感じることも。

例えばキックティーがないから代わりに靴にボールを置いてゴールキック練習をしてましたが、見事に成功。

グローバルセブンス大会

合宿終盤に郡上市主催のグローバルセブンス大会が開催されました。一緒に合宿していたコロンビアとは、別グループで勝ち抜けば決勝でコロンビアと対戦という流れでした。残念ながらグループ戦初戦を負けてしまい叶わず。敗戦の原因は緊張かと思うほど別のようなチーム。そして2戦目以降は緊張が解けたかのように本来の力を取り戻して連勝。結果は3位で終えることができました。2年半携わって感じたのが、選手の集中力にかなりの波があること、常に自分たちのラグビーをするというのが大きな課題だと感じました。

日本での生活

約1週間滞在しましたので、ここでも文化の違いを感じる場面がありました。そして郡上市には小学校訪問や相撲、郡上踊りの体験といった機会を作って頂きました。その辺りを紹介させて頂きます。

私生活

まず驚いたのが食生活でした。マダガスカル料理では、砂糖を使うことはほどんどありません。そのためすき焼きなどの甘い料理は全く口に合わず。ご飯に牛乳を掛けて食べたりしていました。あとは数名の選手は宗教的に豚がNGということでした。私にとって馴染みがないことなので、事前にホテルに伝え忘れたりといったこともありました。他にも客室に浴室はなく大浴場のみでしたが、選手は行くときはバスタオルを巻いて各自の部屋から行ってました。貸し切りだったため大きな問題にはなりませんでしたが、彼女たちとしても、経験がないのでわからないのはしょうがないかなとも思ったりしました。

異文化体験

郡上市の計らいで小学校での交流、郡上踊りと浴衣体験、相撲体験をさせて頂きました。小学校では子供たちと交流してましたが、さすがほとんどの選手が子供いるということで、言葉がわからないなりにも上手に交流しているなとは感じました。日本に選手12名で行きましたが、10人は子供がいます。年齢も18歳から40歳と幅広く、日本人の感覚からすると代表の年齢構成とは思えないと思います。携わった当初は、一般的なラグビーに限らずスポーツ強豪国の構成とは異なっていたので戸惑いました。一方で携わっていく中で、母親になっても選手としてのキャリアを続けれて、年齢を重ねても代表になる機会があることは、歓迎すべきことではないかと思いました。

相撲体験
小学校訪問
郡上踊り

アスリートと対談

遠征が実現したことで2名の方と対談させて頂きました。さらに選手にスパイク、練習着の支援もして頂きました。ありがとうございました。

高橋尚子さん

高橋尚子さんはJICAオフィシャルパートナーです。そして高橋選手は岐阜県出身、遠征先の郡上市ということで岐阜繋がりでマダガスカル訪問して頂きました。テレビで5分程度の特集も放送して頂きました。
走り方の指導をして頂き、オリンピックを目指すということを話して頂きました。話の中で、強く、上手になるためには他の選手より少しだけ多く練習することが大事だと話して頂きました。マダガスカルは自主練習をするという文化がないので、選手が変わるきっかけになるかなと思いましたが、真剣に聞いていたものの、練習後に自主練習をする選手はいませんでした。
そして、選手のボロボロのスパイクをみて、日本遠征の際に12名にスパイクを支援して頂きました。選手自身も大喜び、何人かの選手は試合用スパイクにしておりました。

スタジアムでの対談
1週間ぐらい滞在しましたが計4回ぐらい食事を共にしました

最後に放送された特集の中で、高橋さんが伝えてた一言が凄く印象に残りましたので紹介させて頂きます。というのもこの言葉を聞き、私自身がスポーツの良さ、オリンピックの価値を再認識して進学を決意したからです。
特集の最後に「皆さんオリンピックでは、誰が金メダルかに注目しているかと思います。一方でオリンピックを通じて困難に挑戦して乗り越えようとしている人々もいるので注目してほしい。」という感じのことをおっしゃてました。

スパイク提供

畠山健介さん

その他にも郡上市にてJICAに対談を企画して頂きました。
いろいろ話していく中で「私生活」について質問しました。
というも、マダガスカルでラグビーで生活が成り立たないのは明らかです。むしろ家庭、仕事の時間を削り、ラグビーをしています。コーチとして言えなかったですが、極端に言えばマダガスカルではラグビーより生活、つまりお金を稼ぐことや家族を優先すべきでないかと思うこともありました。さらに、ほとんどの選手が家庭を持ち、子供をいることは知っていたので、あまり選手の私生活には踏み込みませんでいませんでした。畠山さんからは、当時の日本代表のエディ監督は選手の家族まで気にかけ、選手としても嬉しいという話を聞きました。話を聞くまでは踏み込まなかったですが、コミュニケーションとして少しずつ聞くようにしました。

集合写真

参考までに当時の特集記事です
高橋尚子さんとの対談
畠山さんとの対談

支援の意味

今回の遠征を通じて、高橋さん、畠山さんを始めとして多くの練習着、ボールの支援を頂きました。そしてその支援を通じて、文化の違いをまた感じました。
畠山さんから選手12名へ練習着やボールを支援して頂きました。 個人的には練習着については選手個人へ、ボールについては回収して代表チームでの練習に使用しようと考えていました。 選手にボールを回収することを伝えると「このボールは私が貰った、代表チームでは使うことは出来ない。代表チームにはボールはあるけど、自分の所属しているチームにはボールがないから所属チームで使う。」と言った意見がありました。 個人的な感覚で言えば、今回についてはA選手が支援して貰ったのではなく、マダガスカル代表のA選手が支援して貰ったと思います。マダガスカル代表であったから支援があった訳だと感じています。私自身が関わりのないチームについては、ボランティアの存在する恩恵がないことも認識しています。

そして遠征を通じて、個人的に様々な方に練習着の寄付をお願いし集めました。というのも、ほとんどのマダガスカル選手は普通のTシャツで練習しています。 一方、今回日本遠征に参加した選手や代表選手は、選ばれたことによる連盟からの支給などで、マダガスカル国内一般的な選手と比較すると沢山の練習着を持っています。つまり、代表に選ばれたことのない選手は、代表選手と比較すると練習着を全く持っていません。 そのため、私は代表には選ばれたことはないが、頑張っている選手に練習着を渡そうと考えました。 そのことを遠征メンバーに伝えると、選手は納得していない様子でした

最後に

何気なく始まったやりとりから郡上遠征が実現し、私自身も含めて貴重な経験をすることができました。また私一人で実現し、完結できる機会でなかったと思います。改めてご支援ありがとうございました。

ちなみに恥ずかしながら私が現地語に難ありだったため、郡上市にマダガスカル人の通訳を用意して頂きました。この通訳の方も良い意味で強烈な方でした。日本人と20歳頃に結婚。以降、日本に住まわれています。たぶん40年ぐらいになるかと。そのため、既に考え方、価値観が日本人。チームと対面するまで、代表チームということで凄い期待していたようですが、蓋を開けるとコーチ、選手含めだらしない私生活、私の知らないところでチームにお叱りをしたこともあったようです。

今回は長くなりましたが、最後までお読み頂き、ありがとうございました。

出発前の大使館での壮行会

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