【思わぬ沼】映画刀剣乱舞の三日月宗近が美しすぎて生活に支障を来している

 実は審神者です。

 始めたのはリリース日からなのだが、諸事情で離れていた期間もあるため、歴の割に審神者レベルは然程ではない。包丁藤四郎まではいるが毛利藤四郎はいない、亀甲はいるが物吉と太鼓鐘はいない、岩融と巴形はいるが静形はいない、膝丸はいるが髭切はいない、山姥切長義はいるが祢々切丸はいない、そんな感じの本丸である。

 本題に入ろう。と言ってもタイトルのまんまである。

 映画刀剣乱舞の三日月宗近が美しすぎて生活に支障を来している。

 弊本丸にも一応三日月宗近は居る。日本号が実装された初めてのイベントで、周回を繰り返している最中にドロップした。
 私にとって三日月宗近とは、ビジュアルは好みだし、入手してから知った声や口調やキャラクターも苦手ではなく、つまりは「普通に好き」程度の認識のキャラであった。
 ただ、三日月難民だった約9ヶ月の間にもリツイートなどで流れてくる二次創作で彼を目にする機会は多く、なんとなく(今にして思えばフォロイーさんの好みもあったのだろうが)三日月の二次創作での扱いを見る度に、漏れ聞こえてくる公式のイメージとのギャップの大きさに「三日月宗近ってこんなキャラなの?」と戸惑うことが多かったように思う。(そういった二次創作を否定している訳ではなく、公式の三日月宗近をよく知らない私には違和感があったというだけである、念のため)

 刀ミュや刀ステが発表された後も、元々2.5次元や観劇に触れる機会がほとんどなかったこと、チケットの競争率が高いこと、解釈違いを恐れたこと、そして都会から遠い地の在住であることなど、様々な理由から私は賑わう界隈を遠巻きに見ていた。もっともどれほど悪条件が重なろうとも、好きな人は愛と情熱でそれらの障壁を乗り越えてしまうものだろうから、これはあくまで私の話だ。

 結局のところ、複数の悪条件が重なれば諦めてしまえる程度の関心だったのだと思う。これは別に対象が刀剣乱舞だからとか2.5次元だからという訳ではなく、何においても私は往々にしてそういう傾向がある。のめり込むと文字通り寝食を忘れて熱中するタイプ、更には箍が外れると躊躇いなく高額課金に走るタイプで、かと言って無尽蔵に注ぎ込めるほどの高給取りでもないので、「これ以上深みにハマると危険だ」「これ以上推しを増やすと生活が破綻する」と無意識にブレーキをかけているのだと思う。
 DMMの配信に間に合った時は、刀ステや刀ミュを見たこともある。俳優さん達は皆ビジュアルも立ち居振舞いも美しく、ストーリーに感動し、歌に聞き惚れ、殺陣の迫力に圧倒された。ただやはり私のパソコンでは画面が小さく、普段映画を見慣れている身には「舞台はやっぱり良くも悪くも映画とは違うな」と、どこか一歩引いて見てしまい、友人達が皆次々にどハマりしては興奮気味に語り合う傍らで、面白いとは思ったけれど今ひとつハマりきれない自分を申し訳なく思ったのを覚えている。

 映画刀剣乱舞を見に行ったのも、結局は「近所でも公開されたから」だ。私の住んでいる県の映画館事情は、映画好き、特に洋画好きにはあまりに厳しく、公開されても来ない映画もざらで、映画刀剣乱舞も正直半分諦めていた。来なかったら、公開中に都会に行く機会があれば時間を見つけて見られたらいいな、くらいは思っていたけれど、そのためだけに遠征はしなかっただろう。

 そんな自分に後ろめたさを感じながら迎えた映画公開初日、タイムラインには次から次へ「映画刀剣乱舞」関連のリツイートが流れてきた。そのどれもが、本当にどれもが、映画を絶賛するものだった。

 圧倒された。

 ネタバレ感想はふせったーのURLが付いて流れてくるので、それらをクリックしないまま片っ端からブックマークへ保存した。私は仕事の関係上、公開初日に映画を見に行くのが難しい。逸る気持ちで見に行ける日を待った。刀剣乱舞でなくても、元々ネタバレは絶対避けたい方だったから。

 初めて見た時はストーリーを追うので精一杯だったことと、近くの席の客二人が最初から最後まで(予告からエンドロールが終わるまで、本当に文字通り最初から最後まで!)延々ヒソヒソ話をしていて気が散りっぱなしだったので(ヒソヒソ話とは、自分達は静かにしていると思っているのは本人達だけで、実際周りには(話の内容まではわからなくとも)思っている以上に聞こえているものだ。摩擦音などは特に)、「すごく面白かった」「最低でもあと1回は見たいな、今度こそ静かに落ち着いて見られるといいな」と思ったくらいで終わった。

 2回目を見に行った時は、週末の夜という時間帯のためか、上映終了が決まってしまった後だったからか、客席はかなり埋まっていた。それでも皆、笑えるシーンで笑うくらいで、基本的には静かだった。隣の席の客のスマホが何度もバイブで鳴っていたのには閉口したが、少なくともストーリーはもうわかっているから、初回より落ち着いて見ることができた。刀剣男士たちの表情、声のトーン、殺陣の細部。

 あれ?
 三日月宗近って、こんなに美しかったっけ?
 いや、美しいのは知ってたけど、こんなに、こんなに美しかったっけ?
 こんなに……………………(ネタバレを含むため自重)。

 エンドロールが終わり、客席が明るくなっても、私はしばらくの間立ち上がれなかった。

 劇場の売店と帰りに寄った本屋で、映画刀剣乱舞の小説(ジュニア文庫版)、公式シナリオブック、オフィシャルガイドを買った。

 家に帰って反芻すればするほど、鈴木拡樹さん演じる三日月宗近の美しさが脳内に溢れて、うわーーーっ!!!となった。

 ネタバレをしたくはないので詳しくは語れないが、上映中に走り書きしたメモには何度となく「○○って言う三日月うつくしい」「○○する三日月うつくしい」「めっちゃきれい」という言葉が踊っている。最後の方は感極まりすぎてメモですら語彙力が焼失したようで「むり つらい」「○○のとこの三日月アア――――」などとただの悲鳴になっていた。メモの意味とは……。

 刀剣乱舞をプレイしていない友達に映画刀剣乱舞の話をしたら、「鈴木拡樹なら○○って舞台にも出てたよ」と教えてもらい、今度DVDを貸してもらえることになった。

 正直、私がいま片足を突っ込んでいる沼の名が「刀剣乱舞」なのか、「2.5次元刀剣乱舞」なのか、「三日月宗近」なのか、それとも「鈴木拡樹」なのか、私にもわかっていない。このままどっぷりハマるのかも、またハマりきれずにそっと遠巻きに眺める側に戻るのかも、まだわからない。
 それでも、現時点でただひとつ自信を持って言えるのは、「映画 刀剣乱舞」という作品が、今まで今ひとつハマれなかった2.5次元、そして三日月宗近というキャラクターの魅力を私に教えてくれたということだ。

 最寄の映画館の刀剣乱舞上映終了日まで、あと4日。
 せめて悔いのないよう、可能な限り通い詰めて、三日月宗近の美しさを脳裏に焼きつけたい。ブルーレイを予約する準備は出来ている。

 それではまた明日。

(追記:今回は言及しなかったけれど、他の刀剣男士もみんな好きです)