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食べられない日のカプレーゼ

夏は食欲がなくなる。
ただでさえ食が細いのに、それに輪をかけて食が細くなる。
お腹が空いたような気になったところで、大してものが食べられない。

「何食べようか」
飲食店を前に、聞かれた問いの答えに困る。
食べたいと思ったものだって、どうせ食べられない可能性の方が高いのだから。
食事をしない選択が選べるならば、それを選んだ方が楽なくらいだった。

入ったお店でメニューを眺めて、カプレーゼを見つける。
これなら、きっと問題なく美味しく食べられる。
トマトとチーズにオイルを垂らしたそれは、いつだって私の味方だ。

食べられない日のカプレーゼ。
ものを食べることが怖いくらいの日でも、美味しく食べられるカプレーゼ。
これなら、食べきれない恐怖も体に悪いものを取り込んでいる恐怖もなしに、夏の体にすっと入ってなんとか体を動かしておいてくれる。

暑い夏の日、食べられるようになるまでの助け舟。

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