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膝上5cmミニスカートと

駅ですれ違った女の子を二度見してしまった。
可愛いお洋服、ほっそりとした体つき、膝上5cmのミニスカート。
すらっとあどけなく笑うその子が、鞄につけていたキーホルダーはマタニティマークだった。
思いがけない組み合わせに、咄嗟にぱっと、もう一度見る。
違和感が消えないまま電車に乗って少しした時、あぁこれってアンコンシャスバイアスかもと思った。

アンコンシャスバイアスとは、無意識の偏見と訳される。
ぱっと見た馴染みのないものを、良くないものとは言わないまでも、物珍しいものというか知らないからこそ受け入れがたいというか、そういう感情が意識せずにいつの間にか湧き上がっている。
考える隙間すら入らないようなその瞬間に、意識もしていない事柄が勝手に思考をどこかに連れていく。
そうすることが正しいとか正しくないとか判断する余地すらないひと時に、判別しようとすることすら意識に上らないうちに。

例えば。
私が瞬時に二度見てしまったことは、彼女にとっては度々されていることで苦しかったかもしれない。
そのせいで傷つき悩んでいたかもしれない。
そういうことが一呼吸置いたら考えられても、アンコンシャスバイアスはあまりに無意識で、これがその言葉の意味するところだと気が付くことすら難しいのだろう。

自分が生きやすくなるためには、人からの視線や言葉にネガティブになりすぎないことが必要だ。
だけどそれと同じくらい、人への視線や言葉がネガティブなものになっていないか、気を付けることもとっても大切だ。
私がこうしてるから、ということは肯定的な考え方への証明や自信にもつながっていく。
やさしさの連鎖は、自分からつくっていけたらいい。

無意識の些細な行動に気を付けることは、意識が向かないからとても難しいことだけど、あっこれってもしかしてと思えるだけでも、行動に選択肢が出始める。
これは傷つけてしまう可能性があるよなとか、これは偏見になってしまうかもしれないことだとか、相手の置かれた状況に想像力を働かせて、一呼吸置いて考えてみることが、やさしい社会をつくっていく。

多様性が認められる時代だからこそ、私もあなたもそのままで大丈夫なのだということを、普段の生活から行動として取り入れていきたい。
思っているだけじゃ伝わらなくても、指先の行動として少しだけ表現できたらそれでいい。
承認の空気はなんだかきっと、ふんわりちょっと温かい。

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