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めんつゆ否定論者なら

(クドいですけど、笑)

ちょっと前にTwitterで、自称グルメな男子が「メンツユ使って料理を作る女なんて信じらんねー」なんて言っていた話題が流れていましたね。

市販の便利な食材や調味料、道具を使って料理するのは当然の話であって、めんつゆを使って料理をすることの何がいけないのか私には全く分からないのですが。。。

ちなみに、飲食店の調理場でも「プロ用の便利な調味料」「プロ用半調理品」「プロ用冷凍食品(処理された素材・半調理品)」は当たり前に使います。プロ用の便利な道具も使います。ホテルや結婚式場の宴会料理の多くはこれらを上手く使っています。

ともあれ、そこまでその男子が主張するなら・・・

昆布を利尻にするか、羅臼にするか、真昆布にするか・・その他、昆布の種類で出汁の味わいが変わりますし、さらに昆布の質や、どのように熟成なのかでも味が全然違い、価格も全然違いますし

昆布の出汁を水出しにするのか、水出しにしてから沸かすのか、どのタイミングで昆布を取り出すのか、特定の温度で特定の時間抽出、などのやり方をするのか・・・

旨味を殆ど出さない、昆布をお湯にくぐらせるだけのやり方にする・・・昆布の味は出さずに昆布のミネラル分だけを汁の味わいの奥行きをつけるために使いたいのか(海藻のミネラル分は、味に強い影響を与えます。例えば天日干しの天然わかめを汁物に入れると旨味が加わった訳ではないのに味が締まりが出て美味しくなることがあります)

その他、いろいろな抽出法があります

取った昆布出汁を、どの濃度で使うのか、他に合わせる出汁とのバランスはどうするのかも重要です

昆布出汁は、ものすごく濃く取って昆布出汁だけで使う場合もありますし、他の出汁の味わいの隙間を埋めるために補助的に極薄く使う場合もあります

取った昆布出汁と合わせる出汁は〇〇節系、だけではなく、鶏、その他鳥類、肉、魚、から抽出するのか

あるいは昆布と野菜や豆類や乾燥きのこなどの精進系だけで取るのか。。。

昆布とその他出汁を複数合わせるのか

昆布出汁は使わないのか

かつをぶしを使うのか、かつを節を使うなら、枯節を使うのか、若いのを使うのか、本節を使うのか亀節を使うのか(それがどのように加工され、熟成されているかで味も値段も全然違う)

まぐろ節でスッキリ仕上げるのか、鯖節やイワシ節で輪郭を立てて使うのか、トビウオやアジ、鯛などもあります。その他もあります

それを薄く削ってサッと抽出するのか、厚く削ってグツグツ煮出すのか

煮干し系なら頭と腹を取らずに水出しにするのか、取って水出しにするのか、それをさらに沸かして取るのか、グツグツ煮出して取るのか、その際に何か香味野菜を入れるのか・・・日本酒などの酒と合わせて香りを抑え、かつ違う香りを出すのか・・・

そして、昆布出汁を煮物に使うとして、昆布出汁のみと具材から出る味とのバランスだけで仕上げるのか、昆布出汁とその他出汁と合わせるのか、その合わせるバランスをどうするのか

調理中に後から出汁分を足すのか、水を足すのか、追いがつをなどするのか

などなど、あらゆる特性があって、料理する人の好みや作る料理によって千差万別。

蕎麦やうどん系、その他ある程度基本的割合が決まっているものは定形にしやすいですけどね。(基本形があるからこそ、完成度の高いオリジナリティを出しにくいとも言えます)

塩、しょうゆ、みりん、その他調味料にもあらゆるものがあって、それぞれにディープな世界があり、味がメーカーによって、全然違う。仕上がりがまるで変わる、というぐらいに変わります。

例えば同じ味醂でも「味が全く味が違う」ので、レシピをキチンと記すには「〇〇味醂」「△△しょうゆ」など、メーカーとブランドも明記されている必要があります。

料理は出汁だけで出来るわけではありませんから、使う具材によって相当な影響を受けますし、使う調味料でもかなり変わります。水はかなり影響します。塩でも影響します。もちろん調理法によっても変わります。また、食材のコンディションは常に変わりますから毎度微調整が必要です。

それと、非常に影響するのが「鍋の大きさや形状」です。それが適切でないと、全然味が変わってしまいます。

必要な加熱時間と加熱状態と熱の回り方にふさわしいサイズと形状の鍋が必要です。家庭料理の場合は、ここが疎かにされていて美味しくならないことが多いです。

めんつゆ禁止男子は、そういうことを全て分かっていて使いこなせた上でのコダワリなのかなあ、なんて思うのですが、恐らくそうではないと思います。

「なんかめんつゆとか使う女ってダメと思う」程度のイメージで言ってしまうのでしょうね。

家庭料理では、ポイントを押さえたそこそこ美味しい料理を手早く作る、というのが自然だと思うので「出汁は自分で引く原理主義者」は私にはちょっと分かりません。

自分の家で昆布やかつを節で出汁を引くことが自然に生活の一部になっている人は逆に、他人にめんつゆを使うなんて信じられない、なんて言わないですしね。

もちろん、ちょっとした手間をかければ、例えば引いたかつを出汁を二三日はそれほど劣化させずに保存出来ますので、慣れている人なら出汁を引くのは基礎があれば面倒でもありませんが、外仕事で不規則な時間の仕事の人であれば、なかなか面倒です。

そもそも、めんつゆをそのまま使って美味しくないとか言う人は、出汁をちゃんと使えているとは思えません。

「めんつゆを使って”いろいろ調整して”美味しく仕上げる」のであって「”めんつゆで味付け”をするのではない」わけですからね。

面倒くさい男子は嫌いだわ。笑


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