非常時に出る品位
人の本音は、何かしらの非常時・・・アクシデントの時、激昂した時、あるいは逆に、想像以上に物事が上手く行っている時などの、良くも悪くも「非常時」に出て来ますよね。
Amazonオーディブルで日本のプロ野球の本を聴いて知ったのですが、こんな話があって、なるほど、と思いました。
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昔の、とある日本のプロ野球の球団が、目星をつけた人気の学生選手を採ろうと、学生時代から「栄養費」と称して毎月かなりの金額を家族に与えていた。
学生の家族と球団は付き合いも長く、ほぼ、その球団に入るであろう状況になっていた。
が、その球団よりも遅く、他の球団も割り込んで来た。同じように「栄養費」を家族に支払った。
ただ、遅れを取っていた。
いよいよ契約、ということになり、両方の球団が具体的な条件や金額を出して来た。 どちらも条件や金額はほぼ同じ。
ただし、
【最初からその選手と関わっていた球団は「契約金から、今まで支払って来た栄養費を差し引いて支払う」という条件】
【後から来た球団は、契約金その他を提示した金額のまま全額支払う】
ということだった。
その学生選手と両親は、良く考えた上、
「栄養費を引かない、後から来た球団に入団を決めた」
そうです。
選択された、後から来た球団の方は、栄養費の経費が最初から関わっていた球団よりもかかっていないから契約金から経費を引かなかった、ということではなく、契約金は契約金、経費は経費、というただそれだけのことだったそうです。
もちろん、最初から関わり、長年栄養費を支払っていた球団の方は当然自球団と契約すると確信していましたから激怒し、選手と家族をなじり、かつ戸惑ったようです。
その話を聴き
その選手の選択、凄く分かるなあ。。。と私は思いました。
私の仕事でもそのようなことが起こるからです。
「物事の土壇場でそういうセコいことをする会社」は、関わるようになってからも「おかしな独自理論・頑なに信じる自分の正義」で(これはだいたい自分の方に都合の良い感情論が殆どです)今後そういうことを何度もするでしょうし、そういうことをする会社にとってはそれが当たり前で、あちらこちらで同じようなことをしているでしょう。
そういう会社だと、今後何か問題があっても、解決どころか話し合いをすること自体避けるだろうし、万事それではその会社の伸びしろが無さそうだし
【何よりもそういう行為は品位が無い】
ですものね。
そういう下品さに触れると仕事のやる気が削がれます。
そして「その会社のために貢献したい、というモチベーションは消える」ということになります。上記のプロ野球の例で言えばその会社は、品位の無いことをしたために「自分の会社のために頑張る優れた選手を失った」わけです。
経営的合理性というのは必要ですから、なんでも選手に有利にすることが正しい、という意味ではありません。それは逆におかしいし、場合によっては甘やかすことになり、せっかくの優秀な選手を潰すことにもなるでしょう。
が、その経営的合理性には適用の幅があって「これは当然そうすべき」から「ここはまあ、状況によってはいいよね」そして「これは・・リクツでは間違ってはいないけどセコいかな・・・」さらに「これは会社側の利益にしか視点が無いな・・下品だし酷い」まであり、その適用の方法によっては人や社会から信用を失います。しかし、それは一応リクツでは間違ってはいないのです。
そうはいっても、私は、リクツを超えた品位というものがあるような気がします。
また、そこでの正解はその都度変わってしまいます。だから、適用がむづかしい。だから、そのグレーゾーンでの適切さが、その人の品位になる。
その【リクツでは決められないグレーゾーンに品位がある】気がします。
「リクツでは間違っていないけども品の無いことをする。しかもそれが当たり前に行われている会社」そのようなところは万事、そういうノリということですから、そんなところに行きたくない。。。と思うのは自然だと思います。
私自身、お取引先、外注先は、そういうことで身を引いたところが沢山あります。
重要なのは、逆に「こちらが品の無いヤツだと思われて縁遠くなった人」もいるであろうということです。
そういうことは、相手から観ればまた違う景色が観えるからです。
自分だけが正しく生きているなんてことは、まずありませんから。
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