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絵を習うと失うものと、絵を習ったから描けるようになるものと

絵を習わないと描けない絵があるのと同様に、アカデミックな絵の技法や理論を学んで練習し身につけてしまうと、描けなくなってしまう絵があります。

しかし、余程の資質と才能を持っている人でない限り、技法や理論を習い身につけた方が、習わないで絵を描いているよりも、段違いに描きたいものが描けるようになります。

また、自分の絵画制作への強烈な欲求から高度な必然で身につけて行った知識や技法なら自分の感性を邪魔することはありません。

ただし「自分は好き勝手にやりたい、それがアートだ、だから技術や理論なんて自分には関係ない」という態度で技術や理論を放棄している場合は、路上詩人の書道イラストのようなものになってしまいます。

逆に、技術や理論を高度に身につけたのは良いけども、それに自負を持ってしまい「技術や理論に依存してしまったもの」は、工芸団体で良しとされる「工芸の奇形」のような独特の雰囲気を持つ、中身のない技術自慢のものが出来上がります。

技術や理論を身につけると失ってしまうものは、一度失うと、もう取り戻せない場合が殆どですが、しかしどうにか失わないでいられた場合は、昔の名品と同じ波長のものを作れる人になる場合が多いようです。


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