当たり前ですがプロは基礎が大切
プロの職人の基礎がなぜ大切かというと、仕事の精度と安定した結果のためはもちろんですが「スピードを得るため」というのもあります。
基礎がないと、リズミカルなスピードが無く、無駄なことに時間を費やし、仕事のキレがなくなり、視野が狭くなりミスが増え、仕事の仕上がりが悪くなります。
プロは、見習い期間の人以外は、一つの作業ばかりをするということはあまりなく、複数の作業を平行して行うことが多いものです。
だから細かく言えば、ひとつひとつの作業のスピードと正確さがあると、マルチタスクスキルも上がる、というわけです。
例えば、料理人ならば、当然いろいろな作業を並行して行います。そこで、強火で食材をソテーする必要があるものを、自分の基礎の身につけ方が悪く、手が遅いので焦げないように火を弱くしてごまかすようなことをしてしまうと、それはソテーではなく、違う料理になってしまいます。プロの仕事はスピードが絶対に必要なのです。
それと、手仕事を生業にしている場合、手が遅いと、無駄な手間の分、当然利益が減るわけです。
また、無駄な手間は、作業時のストレスになり自分のやる気も削いでしまいます。
効率良く、効果的な作業をし、その改善を日々行い無駄を無くしていく。
仕事にキチンと練り上げられた計画・設計がある場合は、途中までは仕事の効率を上げるとモノの質が上がるのですが、臨界点を超えて効率を優先すると、仕事の質は下がります。
もちろん、時短=効率 ではありません。しっかり時間をかけるポイントはそうしてやらないと、後から手間がかかり、総体的には非効率ということも良くあります。
また、その臨界点も常に変動するので常なる観察と対応が必要になります。
それもこれも「基礎が、自分の親しんだ道具となっているか?」ということが始まりです。
「基礎も仕事の道具」なのです。
ただ思考停止状態で反復練習をしてもそれは身につかず、自分が何を何のためにしているか、という自覚を持ちながらの反復練習と、その結果の確認の繰り返しが必要です。
なので、手仕事のプロというレベルで言えば、同じことをただ丁寧に繰り返して行うという「行為そのものが好き」な人はある意味、向いてないとも言えるのです。
(しかしそれは作業員としては向いています)
「地味な作業に長時間耐えられる適正は必要」だけども、手作業そのものが好きで「思考停止状態での手仕事の快楽を繰り返し味わいたい人」となると仕事にまつわる問題を抽出・改善出来ないのでダメなのです。
それと、手作業そのものが好きな人の仕事は「過剰に手が入っていて愚鈍」な傾向があります。
どうしても感覚停止状態・思考停止状態だと「より良い仕事=より手数の多い仕事」と手作業に頼ってしまうからです。必要のない手数は、モノの品質を曇らせるのです。
手仕事といっても、やはり初動の創作性が一番大切です。
これは別に作家的な仕事だけでなく、職人としても、手作業の洗練、ということにおいて創作性が必要なので、ただ無思考で手仕事をしているのではダメなのです。
マルチタスクスキルが必要だといっても、複雑で量が多い仕事の場合は「分割」してそのひとつひとつを集中してこなしていき、その部分部分が分離せずに全体としてはつながっている、という風に仕事を進める場合もあります。
それも、基本的な仕事の基礎があっての観察眼と設計力によって可能になります。
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