白いベリーショート

久しぶりに松本のおばちゃんに会った。
私が初めておばちゃんに会ったのは大学生の時、初めて頭のネジが飛んで、暫くいろんな幻覚や幻聴が見えて地に足がつかずフラフラして、訳がわからない言動をしていた時期に両親から連れていってもらったのが父の同級生の奥さんであるおばちゃんのところだった。

私は親が精神科に連れていってくれて、そこでカウンセリングしたり、薬を処方されるのかと思っていた。予想を反して長年仏教しているおばちゃんのところに連れて行かれて、うちの親って変わってるなと思った。

おばちゃんは正式な仏教の儀式をするための服を着て、真剣に向き合ってくれたけど、私はネジの飛んだ頭でちょっとふざけてそこで大袈裟に振る舞ったりたのを何となく覚えてます。

東京で緩んだネジもそのあと実家での生活をしばらくしたら、少しづつ締まってきて幻聴や幻覚も聞こえなくなり、自分の心が自分の身体に収まったので、もしかしたらおばちゃんのお祓いが効いたのかもしれないな。

今日、数年ぶりに会ったおばちゃんはニット帽を被っていたけど、突然帽子を脱いだらし白髪のベリショートでした。抗がん剤治療中で紙が全部なくなり、その後、白い髪が生えてきたらしく、おばちゃんに似合っていて素敵に見えました。

おばちゃんが殆どの人と違っていて、私が好きなところはすごく正直で、社交辞令やお世辞や余計なことをあまり言わないところ。でも隅に座って、ちゃんとみんなを見ているところ。体が小さいのに、話すときは大きな声で独特の話し方で自分の想いを伝えるところ。

母はおばちゃんと話し込んだりしないし、ずっとお茶やお菓子を出したり、しまいには庭で豆を摘んできたりしてた。母は話すことないのか少し苦手そうだけど私は松本のおばちゃんが好きです。

今、抗がん剤治療中でも髪が生えてきたのよ。というおばちゃんが変わらず元気そうで良かった。

おばちゃんに竈門神社に連れて行ってもらったこともあったな。山伏の衣装のおばちゃん、うちの娘は稚児装束を着て、知らない人達と山を歩いて護摩焚きしたりしたこともあったな。

今日、帰り際におばちゃんが名前呼んで笑って抱きしめてくれて嬉しかったな。

 #頭のネジ
 #好きな人

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?