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台湾的音楽 日本のフェスシーンでの台湾音楽 LEO王、雷擎、雲端司機

台湾の音楽を紹介するシリーズ。
9月30日と10月1日に軽井沢のRISING FIELD軽井沢で行われた、音楽を主体にした真新しい総合カルチャーフェス「EPOCHS」。私は、10月1日に行ってきました。

晴れると少し暑いけれど、爽やかな風が吹く心地の良い空間でした。

”スペシャ(スペースシャワー)が軽井沢で新しいフェスをするらしい”という話は、ちょっと聞いていたのですが、忙しさもありチェックしていなかったのですよね、実は。でも、開催1週間前くらいに、ふと思い出してサイトを見に行ったら、「あらま!」と思わず声を上げてしまうくらい、素敵なラインナップ。
10月1日は、大貫妙子、WONK、水曜日のカンパネラ、折坂悠太などと共に、台湾のアーティストが出演。

それが、ラッパーのLEO王、ネオソウル系のシンガーでドラマーの雷擎 L8CHING、グルーヴ感と浮遊感のある音楽を奏でる雲端司機 CLOUDRIVER の共演という、驚きのステージ。ぜひ見てみたい!と思い、ヘソクリを取り出して、いそいそと一人出かけてきました。

EPOCHSは、音楽だけではなくアートの展示やハンドメイドクラフトのワークショップも楽しめるフェスです。コーヒーやソーセージなど地元のお店も多く、自然の中でゆったりと過ごせる素敵な環境が整えられていました。

フードなどが楽しめる場所はマーケットのよう。日が暮れてからも温かい光に包まれていて綺麗でした。

台湾アーティストのステージは、3つ用意されたステージのうちのひとつ、ROOTSステージという林の中にあるステージ。タープが張られ、タープに沿って可愛らしい電球が飾られていますが、ステージの後ろには照明も設置されていて華やか。自然の中に溶け込みながらも存在感のある素敵な場所でした。

普段はソロ活動をしている、3アーティスト。この日は、バンドセットにして、それぞれの曲を披露する形式でステージを行います。

ドラムを雷擎 L8CHING、ギターは雲端司機 CLOUDRIVER、コーラスそしてラップはLEO王という構成に、ベーシスト、キーボード、DJが入る6人編成。きっと台湾でも、このような編成のステージを行うことは無いかもしれないな、と思いながらライブを心待ちにしていました。

楽曲によって照明の雰囲気も変わるのがステージの魅力。一番の前にいる人たちも座りながら、音に合わせてカラダを揺していました。

ライブは、雷擎 L8CHINGからスタート。
彼は”Dedicate to this mountain”(この山に捧げます)という言葉と共に、台湾アーティストLINIONとのコラボ曲「Mountain Dude」も披露してくれました。

グルーヴ感のあるドラムと、そこに乗るギターやベース、そして華やかなビートを刻むDJ。パシっと締まりのある音で的確なリズムを刻むドラムを披露しながら、まるで踊るかのように軽やかに歌う、雷擎 L8CHINGの圧倒的な技術。
彼の技術に驚きながらも、音楽にカラダを預けて揺れる。台湾の美しい山や会場周辺の景色に思いを馳せる、心地の良い時間が流れていました。

続いて、雲端司機 CLOUDRIVERの楽曲を披露。楽曲やMVからは、クールで何事にも動じないようなイメージがあったのですが、ステージにいる彼は物静かな青年といった感じ。

70年代な雰囲気もありつつ、浮遊感はサイケよりも、イマドキのチルに近い絶妙なバランスが、彼の魅力だなと思います。

雷擎 L8CHINGが、心地よく体温を上げてくれたところで、雲端司機 CLOUDRIVERは、体温をゆっくりと下げてリラックスをさせてくれる。音楽の雰囲気がグラデーションのように美しく変化していき、それがまた聴く人を心地よくさせていました。

彼らのステージは、曲が進むごとに観客が集まり、歓声や拍手も多くなる、まさにフェスの理想形そのものでした。
この後のステージに登場するのは、折坂悠太さん。彼を観るために、少し早めにこの場所に来たのかなと思われるお客さんも巻き込みながら、雷擎 L8CHING、雲端司機 CLOUDRIVER、LEO王のステージは続きます。

最後に登場したのが、ラッパーのLEO王。背が高くて、ステージで物凄く映える。ラップをしながら自由自在に動く彼から目が離せない、圧倒的な存在感を誇っていました。
張りのある声としっかりとした声量、ラップの緩急の付き方(リズム感ってことでしょうね)とラップの耳心地の良さ。言葉は分からずとも、彼のラップを聞くと、みんな歓声も手も上げたくなる。ステージの王者といった感じがありました。

さっきまでのチルな雰囲気は吹き飛び、アーティストも観客もテンションが一気に上昇し、会場は大盛り上がりに。初めて彼らを観たと思われる20代くらいの男女グループが、「知らないアーティストだけど、やばい、みんなかっこいい!」とお互いに感想を言いながらも、音に合わせてカラダを揺らしている姿が印象的でした。

気がつけば、ライブ開始時と比べ何倍もの観客がステージの周りにいて、みんなで彼らの音楽を楽しみ、およそ40分のライブは大盛況で終わりました。

まだ観たことがないアーティストにも出会えるのも、フェスの醍醐味だと思います。しかも今の時代、検索すればYouTubeやサブスクから、気に入ったアーティストの作品をたくさん聴くことができます。それに、似た傾向のアーティストや楽曲もレコメンドしてくれるので、アーティストの国や作品のリリース時期に関係なく「良いものは良い!」と思って楽しめるようになったなと思います。

少し前なら、フェスなどで観て気に入った海外アーティストがいても、日本でCDが流通しておらず、深掘りが難しかったかもしれませんが、いまは容易にできる。これは大きな変化だと思います。

配信は便利ですが、一方でCDやレコードも併せてリリースする台湾アーティストもいます。ジャケットにこだわりがあるもの多く、インディーズと呼ばれる界隈のアーティストの作品はどれも素敵です。

もはやCDやレコードは、音楽を再生させるツールというだけでなく、アーティストとリスナーとの思い出を繋ぐ役割も果たしているのではないかなと感じます。今日のライブが良かったからCDやレコードを買う。それを部屋に飾ることで、思い出が形として残せる。そんな気もします。

台湾の台湾師範大学近くにある白兎唱片は台湾だけでなく海外のレコード、CDも豊富です。

さて、話が少しフェスから離れてしまいましたが、EPOCHSは本当に心地の良いフェスでした。クラフトビールやコーヒーをゆっくり飲みながら、季節の移ろいと音楽を楽しむ。ステージもどれも美しい装飾で、そこで音楽をゆっくりのんびり聴く。私にとっては極楽のような場所でした。特に、川岸に設営されたDJブースがあるNAGISAステージ。川のせせらぎとテクノやハウスの打ち込みが不思議とマッチしていて心地よかったです。

びっくりのNAGISAステージ。最高でした。

こんな素敵な環境で、台湾アーティストのライブが見られたのは、とても嬉しかった。しかも夏に体調を崩しまくって、どこのフェスも行っていない私にとって、EPOCHSは今年初フェス。いい音楽体験でした。

EPOCHSは出演アーティストのプレイリストも公開しています。

また、本日紹介したアーティストに関する記事も、過去のものですが書いておりますので、チェックしてみてください。

CDのこれからのことが何となく分かるかもしれない、YOASOBIスタッフへのインタビューも貼っておきます。

台湾のことをおしゃべりするPodcastもやっておりますので、良かったらフォローしてやってください。

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