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【インスタ平均フォロワー数70万人】NYで話題のD2C店舗に実際に行ってみた

現在ニューヨーク在住の私。
極寒の冬がようやく終わり暖かくなってきたのをいいことに、NYで話題のD2C店舗巡りをしてきました。

D2Cとは…「Direct To Consumer」の略。卸や小売店を挟まず、メーカーが直で顧客と売買取引をするビジネス形態。ECのみで完結するケースが多く、初期投資が少なくすむのが特徴。

ニューヨークは、D2Cサービスが初めてのリアル店舗を出すときに選ばれることも多く、特にSOHOエリアには話題のD2Cサービスのリアル店舗が密集しています。今回は実際に下記6店舗を回ってみたので、「リアル店舗での体験」にフォーカスし、私の目線で気になった部分をまとめさせていただきます。

詳細や店舗内の様子は、インスタストーリーに動画含めアップしているので、そちらをご確認ください。(インスタアカウント:@yukiko.423
※ハイライト先頭に設定しています。フィードではありません!

①Glossier(コスメ)@glossier
②Birch box(コスメのサブスクサービス)@birchbox
③Warby Parker(メガネ)@warbyparker
④Away(スーツケース)@away
⑤Casper(マットレス)@casper
⑥Everlane(衣服)@everlane

①Glossier(コスメ)

先日新たに1億ドル(約110億円)の調達を発表したGlossier。VOGUE出身のEmily Weiss氏が25歳のときに立ち上げたコスメブランドです。

私は平日の3時ごろに店舗に足を運んだのですが、そのときにはすでに行列が。人気の高さが伺えます。

インスタで人気のコスメブランドなだけあって、内装がとても洗練されていておしゃれなのですが、気になったのは店舗の少し奥にある大きな洗面台。実際にメイクを全部落として、クレンジングから、スキンケア、メイクアップまで全てを体験できるようになっています。日本ですとフルメイクを店舗で落とす概念があまりないかもしれないのですが、こちらではかなりたくさんの人がメイクを落としてテスターにトライしていました。

スキンケアだけでもこれだけの品揃え。いろいろな人が入れ替わり顔を洗っているにも関わらず、とても綺麗。

もう1つ興味深かったのが、店舗内で待っている男性やお母様方の多さ。あらゆるところにベンチが配置されており、コスメに夢中な女性を待つ姿が印象的でした。公式か非公式かはわからないのですが、「Boyfriends at Glossier」という女性を待つ男性の姿にフォーカスしたインスタアカウントも存在(笑)

②Birch box(コスメのサブスクサービス)

Birch boxは月15ドルで自動的に家に5つのミニコスメが送られてくる、サブスクリプションサービス。気に入ったものはフルサイズのものを追加で購入でき、かつレビューを投稿することで、より自分用にパーソナライズされていきます。

以前はSOHOにリアル店舗があったのですが、そちらはいつの間にかなくなってしまい、現在はDuane ReadeやWalgreensなどのドラッグストアの中で展開されています。

こちらで印象的だったのが、プレゼント訴求を打ち出した店舗内装。本来はネット上で完結するサブスクサービス(毎月定期配送)なので、圧倒的に自分用に契約されている人が多いと思うのですが、可愛い箱とともに自分の好きな5つを詰め合わせられるサービスや、ネット上で人気なものが詰まったキット、受け取った人が決められた期間内Birch boxを使用できるギフトカードが目立ちました。

ミニサイズなのでトラベル用にもぴったり。5つ詰めて15ドルなので、ちょっとしたプレゼントにぴったりな価格設定。(箱が可愛いのがテンション上がる。)店舗にくる人の需要をよく掴んだ仕組みだなと感じました。

③Warby Parker(メガネ)

一見するとただのメガネ屋さんなのだけど、2015年に発表された「世界で最もイノベーティブな50社(THE WORLD’S 50 MOST INNOVATIVE COMPANIES)」のランキングでAppleやGoogleを抑えて、1位に輝いたことでも有名なWarby Parker。ブランディングに力を入れていることで有名なWarby Parkerの店舗で一番驚いたのがこちら。

店舗の真ん中に伸びる長い台。こちらには商品を全くおかず、ブランドヒストリーやフィロソフィーがずらっと書かれている。商品は両脇の壁沿いのみ。また、こちらの長い台の近くにはずっと店員さんがおり、「何か気になったら話しかけてね!」とにこやかに声をかけてくれます。

店舗で一番目立つところには売れ筋の商品や新シリーズを置くのが定石。マンハッタンSOHOのめちゃくちゃ高い土地を借りているであろう店舗の中で、これだけのスペースをとってブランドヒストリーやフィロソフィーを発信する姿勢に、Warby Parkerならではのコミュニケーション戦略を感じました。

また、個人的に驚いたのは、処方箋がアプリで作れること…!もちろん店舗でも視力検査できるのですが、「アプリでも店舗でもどっちでもいいよ、ふどっちも無料だよ」と言われたのが衝撃でした。今度試してみようと思います!

Warby Parkerは他にも、SNSで商品を買ったと発信した顧客に対し、YouTube上で個別にメッセージを送るというなんとも手間暇のかかる密なコミュニケーションを行なっており、こちらも注目です。(たくみ@NY2年目さんに教えていただきました!)

店内の様子もとても洗練されていて、おしゃれでした。

④Away(スーツケース)

「モノ」から「体験」への変化にフォーカスし、今や全米の16%のシェアを誇るスーツケースブランドAway。携帯電話を充電するためのリチウムイオン電池を搭載していたり、「HERE」という旅マガジンを発行していたり、ミレニアルに好かれるポイントを踏襲しているブランドです。

実は最初に店舗を前にしたときは、他の店舗と比較して特徴が薄く、「なんか普通だな〜」と思ってしまっていました。一歩足を踏み入れて驚いたのが商品の配置方法。

メインスペースに置いてあるのはこれだけ。そして主力のスーツケースは1サイズ1色のみの配置。メインの棚に限っては主力商品ではない。

そしてさらにびっくりしたのが、メインの製品が棚の上や壁の裏など、こんな風に目立たない場所に置かれている…!メインの棚の裏側のまったく目立たないところにカラーバリエーションを網羅した商品が置かれているのを見たときは、本当に驚きました(笑)

それもそのはず、Awayは接客がどの店舗よりも丁寧でした。しつこすぎず、聞きたいポイントはにこやかに丁寧に説明してくれる。とても心地よい接客。リアル店舗の強みの1つに「直接接客を受けられる」というのが1つあるかと思います。あえて商品は目立たないところに置き、お客様の興味を探りながら必要があれば裏から商品を取ってくる、そんな接客の導線を感じました。

こちらは冒頭に記述した旅マガジン「HERE」。

⑤Casper(マットレス)

ベッドのマットレスに特化し、すでに売上100億円以上を叩き出すCasper。オンラインでマットレスを買うという概念が日本にはあまりないと思うのですが、「100日間のトライアル」「折りたたみ式のコンパクトに配送」「ECに特化している分高品質低価格」で非常に有名なブランドです。アメリカ人の友達も声を揃えて「電車やPodcastで毎日広告見る!」と言うくらい認知度が高いようでした。

こちらの店舗は、徹底的に手触りや寝心地の体験にフォーカスしていました。他のD2Cショップに負けず劣らず、Casperの店舗もSOHOのど真ん中の家賃が異常に高い場所に位置しているのですが、店舗奥にはスペースを広々と使って、大きな家模型が4つ。中には、可愛い内装とともにベッドが並んでおり、人目を気にせず、自分の家の中と近い空間で、寝心地を確かめることができます。

また面白いのが、さらなる体験価値の向上として、マンハッタン内に「ドリーマリー」(The Dreamery)という店舗を2018年夏にオープンしました。こちらは25ドル払えば45分間、Casperのマットレス、シーツ、枕、ブランケット、スリープマスクがセットされたスリープポッドの中で仮眠をとることができる店舗。歯ブラシ、メイク落とし、パジャマ、目覚めのコーヒーなどもセット。「実際に寝てみる」という体験を通して、顧客に製品の良さを体感してもらえる仕組みです。「眠らない街ニューヨーク」で「お昼寝」がどれだけ流行るか、Casperの成長とともに注目です。

⑥Everlane(衣服)

Everlaneはサンフランシスコ発、自社で製造・販売するすべての商品の原価を公表している「透明性の高さ」を売りにした衣類ブランド。華やかなデザインではないものの、シンプルで上質、わかりやすい価格設定が人気を呼んでいます。ブランドスローガンは「Radical Transparency(徹底した透明性)」。そんな従来のアパレルの仕組みを覆すような潔さが、ミレニアルを中心に爆発的にウケています。

実はEverlaneには2回行っています。1回目は土曜のお昼に行ったのですが、とんでもない行列で15分待ったところで、まだ30分は軽く待ちそうだったので離脱。平日の昼間に2回目に行ってきました。待ち時間には可愛いお水が配られるという心遣いも。

Everlaneは店舗内装自体はいたって普通で、ユニクロやGAPを思わせるシンプルさだったのですが、工場に関する発信が各所に散りばめられているのが印象的でした。

こちらは世界中の工場それぞれにフォーカスした紹介カード。

こちらはロサンゼルスのTシャツ工場の「音」を聞き、工場の様子を疑似体験できるヘッドフォン。

他にも素材の紹介やその素材を使用している理由などが各所に展示されており、商品を見るだけでなくEverlaneのこだわりも感じ取ることができます。

6つの人気D2Cを回ってみて

業種問わずいろいろと回ってみたのですが、すべてに共通していたのが「そのブランドにとって、リアルで伝えたいものは何か」を考え抜いた店舗設計になっていたこと。Glossierなら手にとって試してもらうこと、Warby Parkerならブランドフィロソフィー、Casperならば実際の寝心地。

今までは、「店舗で一通り訴求して、それ以外をWEBで訴求しよう」という思考の流れで、いわば「WEBがおまけ」でした。しかし、D2Cの台頭により「基本はWEBで訴求して、店舗はまた別の訴求をしよう」と全く逆のコミュニケーション設計が受け入れられてきています。今回「ニューヨークで流行っているD2C 25ブランド」をいう記事を参考に回ってみたのですが、店舗があるのは半分足らず。WEBはおまけではなく、もはや店舗がおまけになってきている時代です。

家から一歩もでなくても良い商品を見つけ、購入をし、手元に届く今。実際にユーザーと対面することの価値とそこに込めた思いを改めて認識した訪問でした。

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