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オープンDの音色を追って 26

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 やっと朝夕は涼しくなってきたかもしれません。
 1973年8月25日、GAROが秋に向けて出した新曲が『ロマンス』でした。
 この曲は同年のレコード大賞大衆賞を受賞しました。
 そしてGAROはレコード大賞授賞式のあった帝国劇場からNHKホールへ移動し『学生街の喫茶店』で紅白歌合戦に出場。八面六臂の大活躍でした。

 ずっとトミーのギター談義を追っていますが、まだまだあります。
 これほどまでにギターが好きなトミー。
 ファンクラブの会報を読んで、当時のファンの人たちはどう思ったでしょう。
 ギター少年たちは喜び感心したと思います。
 しかし、ライヴで黄色い声をあげていた女の子たちの中には「もっとトミー自身のことについて書いて欲しい」という人もいたのではないでしょうか。
 ファンに向けた情報ではなく、同じギター好きの人に対する情報発信だと思います。
 前回は会報第11号から引用しました。
 その続きです。
 文中の表記は、原文のままです。

 エー、今月はぼくの好きなギターリストとその使用楽器について書いてみたいと思います。

【エリック・クラプトン】
・フェンダーストラトキャスター
 1950年代の製品。
 このギターの音は、彼の一枚目のソロアルバムから現在のアルバムまでで聴くことができます。
・レスポールスタンダード(サンバースト)オールド
 ソロアルバム以前のクリームの各アルバム。テレキャスターにオールドストラトキャスターのメイプルネックをつけたもの。
 ブライドンフェイス時代。
・ES335TDC (オールド)
 クリーム後期~ブラインドフェイス~現在(日本公演の時ステージにあった。)
・ファイヤーバード オリジナル
 クリーム後期~現在(日本公演の時にキーボードの人がひいていた。クラプトンから借りたのでしょう。)
・SGスタンダード(オールド)
 クリーム時代。クリームがNHKに出た時アンプの前にすわってひいていたペインティングをしたやつ。現在はトッド・ラングレンが所有しているようだ。
・フェンダーブロードキャスター
 アメリカ公演の写真で見られる。
・ギブソンエキスプローラー
 日本公演の時使っていた面白い形のギターでどうやらアメリカツアーの時に探したようであるこのギターは、1958年と1959年にギヴソンが作った試作ギターで非常に台数の少い珍品であるのだす。
 ボクもホチイ!!

【ジョー・ウォルシュ】
・ギブソンレスポールサンバースト(オールド)
 彼の持っているやつはなにしろとら木がすんばらしくでて本当にきれいなレスポールを持っている。
・フェンダーストラトキャスター1954年
 トレモロなしとトレモロありの二つも持っている。ズルイ、ズルイ。一台くれ!!
・フェンダーテレキャスター1950年代

【ジミー・ペイジ】
・レスポールスタンダード(もちろんオールド)
 彼はレスポールを3台位持っていて、2台がサンバーストで1台はチェリーのものを持っている。 1台は、ジョー・ウォルシュからもらったものらしい。
・フェンダーテレキャスター(オールド)
 彼はテレキャスターも非常にお気に入りらしく、スタジオ盤ではかなりテレキャスターでアドリブをひいている。
・ダン・エレクトロ
 彼はこのギターをスライド用に使っている。
・ギブソンWネックギター
 ボクの好きな曲「ステアウェイトゥヘヴン」で使い始めた12絃と6絃の組み合わさったもので、もちろん彼の持っているのは古いもので、マイクがレスポールスタンダードなどについている古いタイプのハムバッキングマイクである。

GAROファンクラブ会報第12号  TOMMYの作ったページ 1975年8月

 1975年ですからね。
 ネットもないのにこれだけ濃厚な情報をトミーはどうやって手に入れていたのでしょうか。
 輸入盤を買ってライナーノーツを読み込んだ?
 トミーには、映画『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』を観て、CSNのオープンDチューニングを解明したという逸話があります。
 これも1970年公開の映画です。
 ビデオレンタルどころか家庭用ビデオデッキもない時代です。
 観たければ映画館でフル尺184分を観るしかないのです。
 巻き戻しもスロー再生もできません。
 その環境でどうやって変則チューニングを見破ったのか。
 以下はマークの証言です。

 ある日 いいもの聴かせるから出てこない? と電話があり、有楽町のナベプロの前で待ち合わせました。(10代の頃から二人のデートはもっぱら銀座、麻布辺り(^^)しかも2台の愛車を連ねて(笑)無論先頭はトミー(笑)→若造が2台の車?…生意気だぞー!)
(中略)
 トミーが車の中で弾いたジャラーン!!!!!のオープンDチューニングの音。しかも12弦!
 車じゅうに響いた(と言っても軽だから狭い(笑))その響きはマークのこころを一瞬にして雨空~晴天に変えました。正に晴天のヘキレキでした。

 (はい座布団一枚取って)

 トミーはwood stockを何度も見て見つけたと言ってました…
 何回ぐらい見たんだろう?? 10回? 20回?
 いやいや「天才」トミーの事、恐らく2~3回でしょ。

 その先に 暗い部屋の変則チューニングが生まれる事になるのです。

MARKWORLD-blog(exガロ:マーク堀内護のブログ)2012年3月10日
「トミーと変則チューニングと」


『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』


 驚異的なトミーの眼力です。

 (つづく)

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