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製造業における機械学習/Deep learning/AI導入を「5つのD」で見てみる

機械学習やDeep learningなどのいわゆるAIが導入されている業界としてよく聞くのが「製造業」だと思います。

色んなニュースや記事を見てみると、様々な取り組みをされていますが、現場に足を運ぶと実導入の壁はいくつかあるようです。

1年ほど前に、所属している会社のBlogで書いた👇

というものをAIのビジネス導入の際に考えることが重要だと述べたのですが、1年経ってますますこの「5D」に当てはめた方が思考が整理されるということを実感しているので(手前味噌)、これを使って様々なサービスや業界の状況を整理してみたいと思います。

今回は事例も多い製造業でざっくりと記載できればと思います。

Define: 目的設計

この部分は製造業は非常にわかりやすいです。

今まで人が行なっていたこと

コンピュータに代替させましょう

省人化が進んでコスト削減が見込めます

ですね。

故障の予測や外観検査、装置の点検作業などが代替の対象となっているケースが多いようです。

たとえば、3人でやっている作業がAI導入によって1人で十分になった場合は、一人当たり50万円/月として、100万円/月の削減に繋がります。

AIのモデルやハードウェアの環境の減価償却の期間の相場はこれから均衡が取れていくと思うのですが、10年間だとしたら1億2,000万円まで投資ができることになります。(ハードウェアも込み)

現場での評価項目などを正確に定めて、こんな皮算用じゃない ROIを算出する必要がありますが、イメージとして考えていただけると。

あとよく聞くのは、「単純なコストダウンもそうだが、そもそも故障予測や外観検査に対する人材採用が非常に困難になっていて、コスト削減に見合った投資ではなくて、製品を安定出荷するために機械化は必須」ということです。

他にも色んなWhyがつけられると思いますが、
-コスト削減
-人材確保難を打開
らへんが大目的になりそうです。

Data: データ

機械学習にとって非常に重要なファクター、data。これは大きく二つの困りごと分かれるかと思っています。

1-データの取得ができていない状態
2-OKデータはあるが、NGデータがない状態

「1-データの取得ができていない状態」の場合、モデル学習させるのに適切なデータが取得できるかどうかが重要です。

振動センサーなどのデータであれば、予測が立てられる(教師が作れる)ようなデータを集められるのか

画像データであれば、撮像環境がキモとなるでしょう

よくあるのが、「データあることはあるが、使えない状態」です。データの取得方法だけでもっと書けると思うのですが、大事なのは「人が見ても判断ができるようなデータや画像を集めること」だと思います。

また、「2-OKデータはあるが、NGデータがない状態」の場合、データを工夫するというよりは、次の「Develop」で工夫する必要があります。正常データでの学習などの手法がチラホラ出てきているので、そういった手法を検討すると良いかもしれません。(上手く学習させるのかなり大変ですが)

Develop: モデル開発

ここもセンサーデータか画像かで大きく分かれると思います。

回帰問題として扱って、時系列のセンサーデータから故障予測なんてのがベタなところでしょうか。

また外観検査関連で画像が使われることも非常に多いです。

Classificationモデルを用いて、正常/異常を判断するようなモデルを構築することもあれば、下記のようなObject Detectionを用いて、不良箇所を検出する場合もあれば、

https://arxiv.org/pdf/1506.02640.pdf より

細かい箇所を検出する場合は、pixelごとに対象物を切り出すSegmentationを用いたり

https://arxiv.org/pdf/1511.00561.pdf より

正常画像のみでGANを学習させる手法もあったりします。

https://arxiv.org/pdf/1703.05921.pdf より

それぞれ向き不向きがあるのですが、留意していただきたいポイントしては、ここではDeep learningの手法をメインに紹介しましたが、画像解析=Deep learningではなく、従来から使われているComputer Visionで解決できることの方が山ほどあるということです。

製造業における自動化はかなり進んでいるので、従来技術については当たり前に実験しているという方が非常に多いのですが、たまにAI先行になっている人がいるため、一応

アルゴリズムに左右されることなく、最適なモデルを選定しましょう。

Deploy: 実装

さて、モデルができたところで次の壁としては、どんな環境で動作させるのかということです。

正確なことを伝えると、モデルが出来上がってから動作環境を考えるのは遅すぎます。事前に動作環境を検討した上で、データ収集やモデル開発に取り掛かりましょう。

製造業など工場で機械学習やDeep learningを動作させる際に問題となるのが、
-精度
-スピード
-セキュリティ

の3点かと思います。

精度はもちろん、現状より改善が見られないと導入する意味がありません。ここでの留意点としては、「人がゼロになる前提で考えずに、人との協働の中でどこまで改善ができるか」を考えるべきだということです。あくまで統計学的なアプローチで、完全100%の精度を求めるのは難しいです。

スピードについては、出荷数などがノルマの工場にとっては、機械で代替しても遅延を発生させないということが目的にあります。

セキュリティについては、工場内の機密情報が外部に漏れないようにしなければならないということです。

上記3点を踏まえると、
-精度からの観点では、モデルの計算量を削減せずに実行できるGPUやクラウドなどの比較的大規模計算資源があった方が良さそう
-スピードからの観点では、GPUやFPGAなどのエッジ側での処理が必要そう
-セキュリティの観点では、クラウドの利用は難しそう

という感じでしょうか。

あとは、コストや電力という部分がWANT条件でついてくると思いますが、そこが許すようであれば、ハイエンドのGPUが良いのではないかと思います。

コストや電力といった部分に制限があるようであれば、mobile GPUやFPGAなどを検討するのが良いかと思います。

Drive: 実運用

ここが一番大変だと思います。

-故障を余地したらどのようにアラートを出すのか
-不良箇所を検出した後、どのように軌道修正作業へと移るのか
-既存のPLCとどう連携するのか
-現場の担当者にエラー対応などをどのように処理してもらうか
-再学習のためのデータをどのように収集するか

他にもたくさんありそうです。もはや機械学習やDeep learningの範疇を超えていますが、現場で使われるためにはクリアしていかなければならない問題かと思います。

ここがきちんと設計できていないと、モデル開発しても何も利益を生まなくなる可能性があるため、機械学習プロジェクトを始める前にきちんと業務プロセスの整理を行なう必要があるかと思います。

まとめ

「製造業」という括りにしたため、非常にざっくりとしたまとめ方になってしまいましたが、現場への導入や利益を生むための機械学習やDeep learning導入に向けたヒントになっていると嬉しいです。

色々5つのDで書きましたが、製造業で導入を検討する際に重要なポイントは
「Data」

「Drive」
だと思います。

-果たしてデータが集まるのか
-データが集まってモデルができても、果たして現場で使えるのか

の2点かと思います。

具体的に相談したい方は私宛に連絡いただければ、事例含めて色々お話しますー。

「業界」というざっくりとしたのではなく、個別のサービスなどについても色々書いていけたらいいなと思っています。

おわり

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Yuki Mimuro

『LeapMind Inc.』でDeep Learningをビジネスにしております。採用人事とかPR/Marketingとか何でもやります。あと、Rock Band 『HATCH』 ギターとボーカルもやってます。犬と鳥と魚を飼ってます。一橋大学/西大和学園高等学校
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