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6.NCAAってどんなところ?普段どんな生活してるの? (後編)

皆さんこんにちは、三浦優希です。
ひとつ前の投稿では、私の所属しているNCAAという組織について説明をさせていただきました。今回は後編です!私がアメリカでいったいどんな生活をしているのかについてお話させていただきたいと思います。前回の投稿をまだお読みいただいていない方は、5.NCAAってどんなところ?普段どんな生活してるの? (前編)に目を通していただくと、より話が理解しやすいかと思います。
それでは今回もよろしくお願いします!

今日お伝えしたい内容は、

①私の通っている大学について
②何を勉強しているか
③一日のスケジュール
④英語での勉強方法

となっています。また長くなりそう・・(笑)

①私の通っている大学について

私は現在、アメリカはミシガン州スーセントマリー市にある、Lake Superior State University(レイクスピリア州立、以下LSSUと表記します)という大学に通っています。といっても、「ああ、そこね!」となる方は少ないと思うので、ざっくり位置を紹介します。

赤いピンで示してある場所が私の大学です。日本からは、およそ16時間の飛行機移動。乗り継ぎを含むと丸一日近くかかります。見ていただくと分かる通り、ミシガン州の一番端っこにあり、アメリカとカナダの国境に面しています。大学のすぐ横(車で2分ほど)に大きな橋があり、それを渡るとすぐカナダに入国できます。Lake Superior Stateという名前なので、Lake Superiorという州にある大学と思われがちですが、そうではありません。おそらく、「五大湖のひとつであるスペリオル湖の近くにある州立の大学」という意味で学校の名前が付けられているのだと思います。はっきり言って、かなりの田舎町ですが、自然あふれる素晴らしい場所です。

ちょうど大学全体を映した動画を見つけましたので、もしよかったらこちらからどうぞ!動画の後半に出てくるのが先ほど話したアメリカとカナダを結ぶ橋です。

LSSUは、ミシガン州では最も小さな大学で、全校生徒は約3000人の小さな学校です。青と黄色がテーマカラーとなっており、ニックネームはLakersです。ホームリンクはこんな感じ。なかなか立派です!

Lakersは大学アイスホッケーの古豪として知られ、90年代には三度の全米チャンピオンに輝き、今までに30名近くのNHL選手、300名以上のプロ選手を輩出しています。ただ、ここ数年は思うような結果が残せてはおらず、現在は決してD1ホッケーチームの中では強豪とは言えないのが現状です。
この話をすると、色んな人から「ではなぜこの学校に決めたの?」と聞かれることがあります。今まであまり口にすることはありませんでしたが、複数の他大学からも進学のオファーをもらっていた中で私がこの大学に入学を決めた理由をここでお話したいと思います。一つは、初めて見学したときに、町や学校の規模が程よい小ささでホッケーと勉強に集中できる環境だと感じたこと。そしてもう一つは、私に一番最初に声をかけてくれた大学で、アメリカジュニアリーグでなかなか思うように結果を出せていなかった私のことを、それでもずっと気にかけ信じ続けてくれたからです。「この大学に入学して、強豪復活を成し遂げるためにプレイしたい」と率直に思い、入学を決めました。そのほかにも、奨学金の内容や自分が学びたいと思っていた分野の科目があったことも進学を決める要素となりました。大学に進みホッケーをするうえで、勉強面というのは一番重要な部分になると分かっていたので、習得したい専攻がLSSUにあったことはとてもラッキーなことでした。

②何を勉強しているか

私が大学でずっと学びたかったこと、それはスポーツマネジメントです!昔からスポーツ界で働く人たちに憧れを持っており、自分もホッケー引退後にはどんな形であれスポーツにかかわる職業に就きたいと考えていました。社会に対してスポーツがどれだけの価値を生み出しているのか・生み出せるのかにとても興味を持っていました。
私の専攻科目の正式名称は、

Major: Kinesiology (Concentration: Sports and Fitness Management)
Minor: Sports Marketing

となっています。日本語に直すとしたら、主専攻が「運動機能学部スポーツマネジメント学科」、副専攻が「スポーツマーケティング」といったところでしょうか。LSSUにはSports ManagementというMajorはなく、Kinesiology(運動機能学)という分野の一つに、それが含まれる形となっています。”Concentration”というのは「集中・専念」といった意味で、要するに「KInesiologyの中のSports Managementを勉強していますよ」ということです。
Kinesiologyというのは、「どのように骨・筋肉が動くか」といった人体の運動機能を学ぶだけという風に思われがちです。もちろんそれは一つの大きな研究目的ですが、実はそれだけではなく、「文化・社会・健康・行動・生理・心理・認知などの様々な分野が交わっているダイナミックな領域」です。体のことを学ぶ一方で、人間が健康に過ごすにはどのような要素が必要なのか。スポーツが人にもたらすものは何か。リーダーシップとは何か。といったテーマのことを多く学びます。はっきり言って、めちゃくちゃ楽しいです!!まだまだ2年生になったばかりで内容もそこまで専門的ではありませんが、授業で教わるすべてのことは、現役選手としての自分、社会人としての自分にとって非常に参考になることばかりです。本当にこのMajorにしてよかったとおもっています。これから大学で何を学ぼうか迷っている中高生の皆さん、とっても面白いですよ!かなりおすすめです!

私はあまり日本の大学のことはよくわかりませんが、アメリカは日本のような学部制度ではなく、Major-Minor(メジャー・マイナー) 制度が取り入れられています。こちらは、学生の関心に合わせて主専攻(Major)と副専攻(Minor)を決めて、科目を自分の好きなように選択するシステムです。必ずマイナーを取る必要はありません。私のように、似たような二つの分野を選ぶこともできれば、「音楽」と「政治」といったように全くかけ離れた2つのジャンルを選択することも可能です。日本との大きな違いとしては、入学の際に学部を決めてそこを受験するという形ではなく、大学入学後に自由に自分の好きな専攻を選べることが挙げられると思います。もし入学する段階でまだ自分が何を学びたいかはっきりしていないときは、無理して決める必要もなく、”Undecided"という形で最初の2年でいろいろな分野を学び、その後に自分の興味のあるMajorを選択するということも可能です。非常に柔軟なシステムだと思っています。

③一日のスケジュール

では、そんな私の一日・一週間のスケジュールをここで紹介したいと思います。

というのが大体の流れです。簡単に言えば、「午前中に授業を受けて、午後は練習、夜に帰宅したら勉強タイム」といった感じです。私たちのチームは練習が午後にあるため、その時間の講義は原則取ることができません。したがって、午前中もしくは夜間(18時~21時頃)の授業が多くなります。多くの単位を一気に取りたくても、なかなかそうはできないということですね。大体の選手は1セメスターに14~16単位を取得するのが一般的です。

私の今学期の時間割がこちら!夜間クラスはありません。

現在は5つのコースを取っており、合計16単位です。それぞれの授業は、
・Kinesiology(Majorの内のひとつ)
・Arts(美術)
・Business(ビジネス)
・Sociology(社会学)
・Math(数学)

となっています。今期は、Major科目は1コースだけで、ほかの4つはGeneral Education Requirements(一般教養として、専攻以外のほかに単位を取得しなければいけない科目)となっています。今のところ特に大きな問題もなく勉強を進めることができています。

続いて、一週間のホッケースケジュールとしては
月~木:練習
金・土:試合
日曜日:オフ

が基本です。アウェイの試合であれば、前日の木曜日に移動したりします。LSSUが所属するリーグにはアラスカ州(カナダの上の方)のチームとの試合もあるので、そういう時は週の初めにフライトして現地で調整というパターンもあります。特にアウェイでの試合の時は、授業を休まざるを得ません。そのため、あらかじめ先生たちに自分がホッケーチームの一員であることを伝える必要があります。もちろんそれを理由にただ休んでいいわけもなく、先生によっては埋め合わせの授業やテスト、課題を出すことがあります。遠征先でも勉強時間というのはチームで数時間確保されています。いくら試合があったとしても、決してそれを勉強ができない理由にしないところは徹底されていると思います。

④英語での勉強方法

ここで、私の勉強方法について少し紹介したいと思います。あらかじめ言っておきますが、私の英語レベルはまだまだかなり低いです。1対1での会話に関してはそこまで大きな問題がありませんが、大人数向けのトークを理解することやそれに自分が参加するというのは結構大変です。授業中全く知らない単語がたくさん出てくるし、一回の授業で教科書15ページ分くらいのかなり速いペースで講義は進んでいくので、内容から置いて行かれることもかなり多いです。教科書に書いてある英語のReadingもかなり苦手です。それでも、たいていのテストでは8割ほどの成績をとることができています。
海外の学校で成績を取るためには、「とにかく先生とコミュニケーションをとったり、授業では一番前に座って発言しよう!」といった内容をよくネットなどで見かけます。それらももちろん大事だと思うのですが、私が一番心がけていることは、

・同じ授業を取っている友達を多く作りノートの写真を撮りまくる
・それを自分なりにまとめて、とにかく覚える

という作戦です。テストで出てくる内容は、いくら範囲が広くても授業で出てきた内容が基本となります。パワーポイントや板書を基に授業を進めるタイプの先生はまだましですが、中にはトークだけというスタイルの教師もいます。今の私では「先生が口にしたことを文字に直して記録する」という作業は全然できないため、そういう時はひたすら友達に「ちょっとノートの写真撮らせて!」と言っています。みんな私が日本人で英語がまだまだ苦手であることを知っているので、快く見せてくれます。そこからは自分次第です。そのノートをうまくまとめて、自分が見やすいようにしてあとはひたすら暗記作業です。幸運なことに「覚えること」に関しては昔から割と得意でした。オレンジペンでキーとなるところを書いて、その上に赤い下敷きを敷き、オレンジ色で書いた部分を見えない状態にして口に出して書きながら覚えるという中学生のころからやっている幼稚な方法をいまだに取っています。(笑)

これをやるとほとんどの教科で8割、良いときは9割取れます。特に選択肢問題の時はかなり楽に感じます。自分の中では、とにかく「ノートまとめ」さえできたら勝ちみたいなところがあります。文章でこたえなければいけないときは、とにかく聞かれていることについて知っていることを拙い英語で書きまくります。「数打ちゃあたる」方式ですね。とはいっても、やっぱりまだまだ英語での読み書きは本当にわからないことが多いです。勉強中はグーグル翻訳は欠かせません。翻訳しても全く意味がわからないときは諦めます。教科書は、そのトピックの書き出しの1,2文に注目しています。「たいていのキーワードは最初に書かれていることが多いから」と先生に教えてもらってからそうしています。良いか悪いかは別にして、私はこの方法で何とか成績をクリアしています!(笑)「英語がみんなよりできない分、彼らより長く多く勉強しないと!」と心がけています。

最後に

これまで前編後編含めて長々と書いてきましたが、大学スポーツの魅力は「応援」というところにあると思います。全員「大学への愛」というのはとっても強いです。先生、生徒含む学校のみんながホッケーチームのことをとっても気にかけてくれているので、試合の次の日なんかは「ナイスゲーム!」とか多くの人に言ってもらえたりします。これは結構嬉しいですね。小さい学校ということもありますが、たいていの人がホッケーチームのメンバーのことを知ってくれています。町の人もとってもやさしくて、声をかけられることも結構あります。リンクの観客席にはStudent section(生徒専用の席)があって、生徒のみんなが狂ったように熱い応援をしてくれます。
街のみんなが大学に誇りを持っているし、スポーツチームはその町の象徴となっています。自分の大学のロゴや名前が入った服を着ることは当たり前です。一つの文化として、地域と大学スポーツが密着しているという点が「NCAAがすごい」といわれる所以だと私は感じています。

「日本版NCAA」の創立や、日本の大学スポーツのシステムの見直しなどが話題となっているこの時期に、運よくアメリカのNCAAで現役学生アスリートとして経験を積むことができる今の自分は本当に恵まれていると思います。今後も、多くのことをこの現場で吸収して、いつか自分の知識・体験を日本に還元できたらと考えています。

とにかく、自分が今大変貴重な場にいるということをしっかりと自覚し、一日一日を有意義に楽しく過ごしていきたいと思います。

今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

三浦優希




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