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11. 試合メンバーを外れてから一発目のチーム練習

10月30日
前回の続きです。


今日は、試合メンバーから外れた遠征後の一回目のチーム練習だった。

張り出された練習セットの組み合わせを見てみると、自分は5セット目。わかってる。大丈夫。ここからだと自分に言い聞かせて防具を着た。

ミーティングを終えいよいよ氷上へ。
今日は、とにかく監督に言われた"Tenacity"(執念)を意識した。

練習は約1時間。ウォーミングアップのシュートドリルに始まり、コーナーでの1対1、2対2や全面での5対5が主な練習内容だった。

プレイが止まるたびに、氷上で何度も何度も"Tenacity"と呟き続けた。

ゴール前では必ずストップする。リバウンドを何度も叩く。シュートブロックにいく。バックチェックを誰よりもする。フォアチェックはとにかくハードに行き、怖がらず先に身体を入れる。コーナーで足を止めずパックを守って動き続ける。パックを取られてもしつこく身体を使って敵を追い続ける。

なにかスキルの面を変えようと努力したわけではない。とにかく今自分ができることを全身全霊を込めてやりきった。魂を見せた。

こんなシーンがあった。ラッシュ攻撃の練習でディフェンスと1対1の状況になった。パックをもらう前から、相手のことは見ていた。パスをもらった瞬間に敵ディフェンスが前に詰めて来ていたので、パックを敵の背後に投げてそこから足を使ってスピードにのり、思い切り身体を当てに行って競り合った。そこでの戦いに勝利し、その後味方にいい形でパスをつなげることができた。

今までの自分であれば、足を止めてなんとなくの感情でパックを追っていただけで終わっていただろう。ただ今日は違った。とにかくこのまま自分でプレイして、なんとか目の前の敵に競り勝ち、チャンスを作ってやるという絶対的な意思があった。

他の人にとっては、こんなものはただの練習中の一コマに過ぎないだろう。それでも、自分にとっては、この瞬間はひとつの成長の証だった。「コーチが求めるのはこういうことだろ!」という確信があった。まさしくチーム・監督の求めるものを体現できた瞬間だった。

練習を終えた後、驚くことがあった。
なんとコーチの方から自分に話しかけて来たのだ。

「今日の練習は自分でどう思った?」と聞かれた。「あなたに言われた"Tenacity"を意識してとにかくヘビーにプレイすることを心がけました。先週よりいい練習ができたと思います。」と答えたところ、「何を言ってるんだ。今シーズンの練習の中で1番のパフォーマンスだったぞ!」と言われた。コーチは続けた。「さっきのラッシュの時のプレイも素晴らしかった!ああいうプレイが見たかったんだ。」

素直に嬉しかった。たった一つ自分の中の意識を変えるだけで、プレイも変わるし評価も変わる!必ずだれかは見てくれている。確信した!
覚悟を持った想いは行動となって現れるし、必ず相手の目・心に届くんだ。それはそれはおもしろいほどに伝わる。また一つ学ぶことができた。

それと同時に、今までの自分の練習態度がどれだけ甘かったのかということを再確認した。今日の練習が終わった後、正直ヘトヘトになるほど身体は疲れていた。体が重い。でも、これくらい普段から毎日やらなきゃダメなんだ。それが今の自分がこのレベルで評価をもらうため・試合に出るための絶対条件だ。今までの自分との決別の時。もう一度強い覚悟を決めよう。

そして一番大事なこと。今日が良かったからと言って、安心してはいけない。これで試合に出れるようになったわけではない。まだまだ、「ある日の練習で割と良い調子だった」という評価をもらったに過ぎない。一番大事なのは明日の練習だ。今日と同じ、いやそれ以上の強い覚悟を持ってプレイをすることが絶対条件。続ける。続けるぞ。
明日また不甲斐ない練習で終われば、今日のパフォーマンスは「まぐれ」で終わる。今日の自分を「必然」にするぞ。できる。絶対できる!

まだレギュラーセットのメンバーには入れてないけど、少し前進したことは確かだ。まだまだやれる。もっともっとやれる!

こんなに素晴らしい経験ができる環境にいる。なんて自分は恵まれているんだ。

返り咲く。必ずチームに絶対必要な選手になってやる。

まだまだ挑戦は続く。

逆境にくじけるな、自分。

三浦優希

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