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56. お願い

皆様こんにちは。三浦優希です。今回は、「海外組」としての目線からのお話となります。それではよろしくお願いいたします。

3月終盤になり、海外でプレイする日本人選手のほとんどがもうじきシーズンを終えることになります。仮にもう少し先になったとしても、多くの選手たちは夏休みの期間に日本に一時帰国することが多いと思います。

そして、そういった選手たちは日本に滞在中の期間、氷に乗れる機会を探して高校や大学、クラブチームの練習にビジターとして乗せてもらうことがあります。

どうか、そういった選手たちを「海外でやっているのにあいつ大したことないじゃん」と見ないであげてください。彼らは「上手くなるために海外に挑戦」しているのであり、全ての選手が「上手いから海外に行く」わけではありません。まだまだ彼らは、上達の過程を少しずつ経ている段階です。そこを理解してあげてください。これが私からのお願いです。

オフシーズンの氷上練習の是非や、そのレベルについての議論はまたいつかの機会にするとした上で、お話を続けさせていただきます。

大変ありがたいことに、私は一時帰国のたびにいろいろなチームの練習に参加させていただいてきました。今でもそうです。本当に、そのチームのコーチや選手の方々をはじめ、多くの方のご理解のおかげで氷上で練習する時間を確保させていただくことができています。

私は、どんな練習であれ、見ている(もしくは一緒にプレイしている)周りの皆さんに「やっぱり三浦優希はすごいな。」と思わせるくらいのパフォーマンスを常に発揮しなければいけないと考えています。なぜなら、私は日本代表のユニフォームに袖を通した人間であり、NCAA D1でプレイする選手であり、もう大人だからです。別に自分のことを奢っているわけでも自慢したいわけでも全くなく、そういった環境に身を置いて挑戦を続けている(続けさせてもらうことができている)自分には、周りの予想や期待に応える責任があります。練習中であれ、控室であれ、たとえその場所がリンクではなかったとしても、「海外で挑戦を続ける選手」としての自覚を常に持ち、それを態度で示す必要があると考えています。それが僕の一つのプロ意識です。
逆を言えば、もし私がひどいパフォーマンスだったり、「全然たいしたことないじゃん」と思われた方は素直に言っていただいて構いません。それは自らの実力不足であり、準備不足であり、真摯に受け止めるべき言葉であると思っています。

ただ、子どもは別です。ここ最近は中学生や高校生、早ければ小学生の段階で海を渡る選手たちが増えています。彼らはまだまだ若いです。どうか、そういった選手たちを冷ややかな目で見ないであげてください。先ほども言いましたが、彼らは「上手くなるために海外に出ている」のであって、「海外でやっているからうまい」わけではありません。もちろん、「海外でやってる選手が練習に乗るらしいぞ」となると、確実にハードルは上がるものです。それはある程度仕方のないことだと思いますが、彼らはまだまだ成長の歩みを始めたばかりです。海外組の選手のほとんどは十代の段階で今までの環境から飛び出し、目標を達成するために、自分のことを誰も知らない異国の地で一人戦っています。そんな彼らの背景をどうかご想像していただけたらと思います。きっと中には、海外生活が長く日本語が上手に話せなかったり、敬語がうまく使えない子もいるかと思います。そういった選手たちに対して、ムッとされてしまうこともあるかもしれませんが、寛大な心で接していただけたら幸いです。

もちろん、彼らの態度も、練習環境を与えてくださるチームの方々に対してリスペクトを持ったものでなくてはいけません。稀に、「俺は海外でやっているんだ!だからあんたらよりすごいんだぞ。」的な言動をとる、いわゆる「海外かぶれ」をした選手がいるかもしれません。これは決してあってはいけないことです。まだまだ、私の声が届く範囲は大きいものではないかもしれませんが、少しでも若い海外挑戦中の選手たちの指南役として、そういった部分でのあるべき姿というものを伝えていければと思っています。それも私の一つの仕事です。

最後に補足として・・
私の周りには、子どもに限らず、大学からアイスホッケーを初めて海外に渡った人、長年やってきた仕事を辞めて海外にアイスホッケー留学を始めた方々もいらっしゃいます。ものすごい決断だと思います。どうか、そういった方々と練習をする機会がありましたら、ご理解をしていただけたら幸いです。上手い下手に関わらず、一人のアイスホッケー選手として接していただきたいです。

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以上が私からのささやかなお願いとなります。突然のわがままをお許しください。

私の経験上、ビジターとして乗る選手は実は意外と緊張していることが多いです。笑 特に初めて乗るチームの練習なんかは、ドキドキしている選手は少なくないと思います。中には不愛想な子もいるかもしれませんが、きっとそれはシャイなだけです。どの選手も、話しかけられたら嬉しいし、新たな友達が増えることを心の中で求めていることだろうと思います。

というわけで皆さん、今後そういった選手(そして僕)と練習などをする機会があったら、たくさんしゃべりかけてみてください!笑 きっと大喜びします。皆さんと一緒にアイスホッケーを楽しめる日を心待ちにしています。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。

三浦優希


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