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41. 一番手っ取り早い上達方法

皆さんこんにちは!三浦優希です。
もう新年を迎えてから一か月が経とうとしていますね。皆様いかがお過ごしでしょうか。さて今回は、タイトルの通り僕が思う「一番手っ取り早い上達方法」をお話させていただきたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

世の中には、「これをやれば上手くなる!」「これを毎日10分やるだけで驚きの効果が!」といったようなセールス文句があちらこちらに溢れていますが、スポーツ、ことアイスホッケーに関してはそんな簡単に上手くいくものは基本的にないと思っています。もちろん、普段やっていないことに初めて挑戦したり、毎日小さな努力をコツコツと積み重ねていくこと自体はとても大切なことだとは思いますが、例えばそれをずっとやっているからと言って、毎試合どんな相手からも3点取れるようにはなるかというと、そうではないでしょう。

上手くなるために、「それ相当の時間をかけて練習をする」ことの大切さは自明の理ですが、それ以上に大切なことが僕はあると思っています。

それは、「本物に触れること」です。
僕の思う、上達する最も近道な方法とは、これです。

なぜこのように考えるようになったのか。自分の経験を基に経緯を述べさせていただきたいと思います。


僕にとって、最初の本物は父でした。小さい頃から現役プロ選手として活躍する姿を母に連れられて見に行ったり(あまり当時の記憶はありませんが笑)、家でアイスホッケーのビデオを見たりするというのはごくごく当たり前の日常でした。物心がついてからも、毎日一緒に滑ったり、学校おわりに1対1で半べそをかきながら練習を指導してもらっており、いつのまにか「自分はアイスホッケー選手になる。」「海外でプレイしたい」と自然に思うようになっていました。

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そしてもう一つ、自分にとって大きな要因となったのは、何歳も年上の人たちと練習をすることが日常的に起きていたことでした。前にも少し書きましたが、ありがたいことに小学生や中学生の時から、地元リンクで練習している高校や大学、社会人チームの練習に何度も何度も乗せてもらっていました。今思うと、1時間半の枠を3回連続で滑ったりと「それはやりすぎだろ」と思うことも多いのですが、自分よりも上手な選手たち、当時の僕からしたら「大人」と本気で勝負できる環境というのが、身近にあったことは本当に恵まれていたと思っています。

そして僕は高校生になり、新たな「本物」に出会います。それが、チェコ・クラドノに渡った時に偶然関わることができた、Tomas Plekanec(トーマス・プレカネツ)選手でした。プレカネツ選手は、NHLチームの名門モントリオール・カナディアンズで通算1000試合以上の出場経験があり、またチェコ代表選手(時にキャプテン)としても活躍し続けた、世界屈指のトッププレイヤーです。彼は、今シーズンの途中にNHLでのキャリアに終止符を打ち、現在はチェコ国内リーグでプレイしています。

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(Photo:NHL.cz)

彼と初めて会ったのは、早実の留学制度を利用して2週間チェコに渡った時でした。ジュニアチームに参加していた時、練習が終わると同時に、突然プレカネツ選手が下半身は防具を付け上半身はパーカーという姿で氷上に上がってきました。胸にはカナディアンズのロゴが。「やば!!!!マジじゃん!!本物が目の前にいる!!!」と完全にアイドルを追うファンさながらの反応をしている自分がいました。彼が練習に乗りに来てくれた理由は、ジュニアチームの選手にフェイスオフ(ホッケーで笛が鳴った後にプレイを再開するときに行うもの。バスケで言うジャンプボール)を直接教えてくれるからだという事でした。当時の私は、世界最高峰リーグでバリバリに活躍する選手の方法を目の前で見れるということに本当に感激しており、それだけでテンションはマックスだったのですが、ここでさらにサプライズが。なんと、当時の監督が、「優希、フェイスオフ勝負してみな」と言ってくれたのです。「ふぁっ!?!?まじか!!!」なんて思っているうちに本当に自分が相手をさせていただけることになり、フェイスオフスポットに立ちました。フェイスオフスポットで彼の正面に立った時、改めてその大きなオーラに圧倒されました。そしていざ勝負の時間が。僕は元々センターフォワードをやっていたのでそれなりに経験はしていたのですが、全く役に立たず。スティックを置いた瞬間に、彼が上手く抑えてきて「ちょっと待ってスティック動かせないんだけど!」という感じでなんとかそれから抜け出そうとしてるときにパックは落とされ、あっけなくパックを取られました。純粋に、「全然違え・・。」って感じていました。結局合計3回やらせてもらえたのですが、2本目は勝たせてもらうこと(完全な出来レース)ができ、3本目にもう一度本気を出され(本人にとっては本気なわけないけど)あっさり取られるという結果に終わりました。

この時僕は初めて、「世界レベルの選手」と初めて触れ合いました。この時に自分に起こった感覚を言葉に表すとすれば、頭がビリビリして、今いる場所からバン!!と急に高い位置に移動して、頭の中の景色が一気に変わるような感じでした。彼の見ている風景を少しシェアさせてもらえたのかもしれません。これが自分にとって人生最大の本物に触れた瞬間でした。

このほかにも、チェコ出身でアイスホッケー界の英雄ヤロミール・ヤーガー選手の個人練習や、その他NHLで活躍するプレイヤーたちの練習の様子をフェンス越しにずっと見ることができたり、その一年後にはそんな彼らと一緒に自分が練習をしたりと、日本にいたときには考えることもできなかった経験を多くすることができました。ヤーガーやプレカネツと2体2のドリルをやったり、ベンチで隣に座ったり、練習メニューで後ろに並んだ時には、当たり前に彼らにパスを出したりするんです。自分の真横に世界最高峰プレイヤーがいて、話しかけてきたりするんです。そんな普通であればどう考えても「非日常」の出来事がバンバン起こっていくんです。脳や体への刺激は常にマックスです。そうなっていくと、本当に自分の神経が研ぎ澄まされていくというか、そういう人たちと一緒にいるだけで自分の「当たり前」のレベル、景色、温度、空気、基準、目線とかがどんどん上がっていきました。経験すれば分かるのですが、「今俺どんどん変わっていってる」というのが手に取るように分かります。例えると、ゲームで言うところの主人公にくっついているだけで経験値がもらえるようなキャラみたいなイメージです。


繰り返しますが、僕の考える上達する最高の方法は「本物に触れること」です。僕のように、一緒に練習ができたり、目の前に来てくれるというのは稀かもしれません。それでも、当時の僕もチェコに行く際に、まさか自分がこんなNHL軍団と練習ができるだなんて思ってもいなかったし、想像できるわけがありませんでした。普通に考えたらあり得ないから。でも、行くことによってそれは想像しうることに変わったし、実現することもできました。環境を変えたり、会うことが難しければ、見に行くだけでも絶対に効果はあると思います。スポーツで言えば、ケータイの画面で見るのと、練習・試合会場に行って彼らのその姿を自分の目を通して見るというのは感じるものが絶対に違います。それに対してお金を使う事は、僕は立派な自己投資だと思います。もちろん、その人に会ったり、見るだけで急に自分が上手くなるわけではありません。その後の自分の努力は絶対に必要になります。ただ、そこで頑張るときの明確な指標やイメージ、スタンダードというものが上達の「ブースター」になると思っています。

自分の「想像できる世界の幅・深さを広げてくれる」のが本物の存在だと確信しています。

その人と同じ時間を共有すること。
その人と同じ空気を吸う事。
その人と同じ目線に立つこと。

こういった出来事が、自分の基準を変えるきっかけになると信じています。

僕が日本滞在中に、小さな子どもたちや、高校・大学に入ってからホッケーを始めた方々などと、都合のつく限り一緒に氷に乗らせてもらう理由はここにあります。自分はプロでもないし、まだまだ何にも成し遂げていない普通の人間だけど、自分の経験を必要としてる人や、役に立てることは必ずあるはずです。少しでも自分の見てきた景色を伝え、その行為がそういった方々の目標達成に貢献できるのであれば、喜んで尽くしたいと思います。なぜなら、自分は今までそうして多くの先人たちに育ててもらってきたからです。中には、「時間がもったいないから自分の練習をしたほうがいい」という意見も耳にするのですが、僕はそうは思いません。自分が経験したあの感覚を、一人でも多くの人に味わってもらいたいから。

というわけで、皆さん。
こんな僕で良ければいつでも喜んでお手伝いしますからねー!
お気軽にお声掛けくださいね!笑

今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。


P.S
もし気になる方がいれば、先ほど書いたプレカネツ選手との激レアフェイスオフ動画を公開するつもりです!見たい人はいるかなあ?興味のある方はぜひ教えてくださいね!

三浦優希

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追記
下記URLが、実際にプレカネツ選手とフェイスオフをさせていただいた時の映像になります。


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