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見知らぬじじいと殴りあいの喧嘩をした38歳のあの日

育児ストレス。
それは本当に恐ろしいものである。
なぜなら普段なら考えられないような
とんでもない自分を引き出させるからである。

というのも、わたし
娘が五歳、息子が六歳のときに
道端で見知らぬじじいと
拳を交えた喧嘩をした事があるのである。

ことの発端は
子供たちが騒がしすぎることに
疲れはて
歩いて20分ほどのTSUTAYAに
散歩がてらあるいていたときに
じじいに怒鳴り付けられたことに由来する。

車が二車線ずつ走るような
大きな道路の歩道を歩いていたときのこと。

向こうからくる
自転車に乗ったサンドイッチマンみたいな体の
サングラスをかけたじじいが
「※&*¥$=¥??〒!!!」
と怒鳴ってきたのである。

言葉が不明瞭で
なにを言っているか分からないが
とにかく、どけと言われているらしかった。

だがここは歩道。
歩く道と書いて歩道。

自転車より歩いている人間が
優先されるべき道。

加えて表面張力ギリギリにまで
たまったストレス状態のわたし。

じじいの刺激一滴で
わたしのコップの憎悪が
一気にふき出した。

「あらまぁ。
道を歩いているだけで
どうしてわたしは
怒鳴られなければならないのかしら
おじいさん❤」
(映像の乱れにより一時思い出補正をかけています)

余計なことを言わなければいいのに
わたしも一歩も引けずに怒鳴り返していた。

するとじじいは自転車から降りて
わたしにまた不明瞭な言葉を投げつける。
それを受けてさらに怒鳴り返すわたし。

そのラリーが何往復か続いたのち
なんとじじいが私に平手打ちをかましてきた。

と、父さんにも殴られたことないのに。。。

スマホを持ち歩いていたら
警察に通報するのに
そのときに限って持ってない。。

呆然とたちつくし
ショックで泣き崩れ、、

るのはか弱き女子のすること。

女のあいうえおにおいて 
か弱さ
かわいげ

などのカ行が搭載されていない私は
じじいの両肩を掴んで
警察に付き出す前に
車道に付き出そうとしていた。

されど勿論ビクともしない。

そして、やられた分の倍は返さないと
気が済まないわたし。

おもむろに拳を握りしめ
渾身の一撃、と念をこめ
ジジイの三角筋を本気のグーで殴り付けた。

じゃんけんなら敗けだが
中年の女とガタイのいいジジイ。

パワーバランスは五分と五分!!

どっちかが倒れるまでやってやらぁ!!

というモードである。

いまどき中学生のヤンキーでも
もう少し分別がある。
四十を目前にした専業主婦のすることでは
本来ない。

だが、わたしは怒れる鬼神となり
跋扈(ばっこ)する化け物を退治せん、
とばかりに息巻いていた。

いずこいずこ、悪鬼はいずこ!

ジジイを見据え首をねらうわたし。

だがよもや女に殴り返されるなんて
夢にも思っていなかったのか
気がつけば彼奴は
チワワのように震えながら
わたしを見つめていた。

な、泣いてる。。。?

一瞬にして冷静になるわたし。

実際考えてみても
弱ったじいさんを、
痛め付けることはできない。

だがしかし
振り上げた拳をどこに下ろしたらいいか
分からない。

その瞬間、
私はおもむろに全ての怒りを足に集中させ
自転車をけとばし

「育児ストレスが溜まってる
お母様に喧嘩売るなら死ぬ気で
かかってこんかい!!」

とその場を去るも
そんな騒動を起こしてしまう
自分の未熟さに
涙が出てきて
悪友にことの顛末をLINEし
慰めてもらおうとしたら

「ジジイは生きてるのか」

と返された。

わ、わたしの心配は?

その日の夜
帰ってきたイーオットにも話をすると

「お前と結婚してから
事件しか起きない。

毎日がフェスティバルだ。」

と言いはなった。

。。。心中お察し申し上げます。




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