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コミュニケーション力 (後編)

前回は、ポツダムに渡って最初の頃のお話をさせて頂きました。

ノンバーバルコミュニケーション(非言語によるコミュニケーション)は、まだドイツ語が理解できず話せなかった私にとっては、かなり重要なコミュニケーションの手段の一つでした。

ただ、「言語」ができても肝心のコミュニケーションが取れなかったら意味がないですし、言語も非言語も、コミュニケーションをとるための一つの手段だということなのです。

まぁ私も上手くコミュニケーションが取れていたのかどうかは、本当のところわかりませんが・・・

それでも、ドイツに渡って2ヶ月くらいでドイツ語でのインタビューを無理矢理受けさせられたり(Yukiはもう喋れるから大丈夫と言われ・・・)

1年くらいでドイツの番組にも特集されました。

語学学校に通ってわかったのは、やっぱり私は根っからの引きこもり体質だということ。

人と話したり人前で話すのは小さい頃から苦手で、2004年に高校生で代表デビューしてテレビカメラの前で話をさせられたときなんて、もう公開処刑を受けているような気分でした・・・

想いは持っているけど、それを言葉にして伝えられない。

それを自分の中で言語化して処理しきれないから、感情となって表に溢れ出す。

そんな自分が恥ずかしくて、悔しくて、「人前で話す」「人と話す」という、とてつもなく嫌なこと、ストレスのかかることと向きあうようになりました。

今でも上手く伝えられないことは多々ありますし、選んだ言葉が自分の意図した本質とはかけ離れて伝えられてしまうことも沢山あります。

母国語の日本語でもそんな状態なので、日本語の勉強・表現の仕方もまだまだ学ばなければならないと思っていますが。

最近は、ドイツ語でインタビューを受ける機会は減りましたが、英語でのインタビューの機会が前回のW杯前あたりから増えた感じがします。

とにかく伝えるのに必死で、文法とか選んでるワードとか多分ハチャメチャなんですけどね、、、苦笑

前回のW杯では、全試合後のミックスゾーンで必ず英語で受け答えがありました。

言葉のボキャブラリーがなさ過ぎて萎えましたが(笑)、それでもインタビューで使いそうな単語の予習をしたりはしてました。

海外メディアに対して、しっかりと英語で受け答えできたらカッコいい!っていうのが最初の動機のひとつだったんですけど、あとはやっぱり日本が国際的に認められるためには、選手として自分ができることといったら、そういうところかなぁと。

何度も繰り返し言いますが、言語を取得することが目的になるのではなく、言語を取得して何をしたいのか、何を実現したいのか、というところまで考えた言語取得が重要で、言語取得はあくまでもその先にある目的の一つの手段だということ。

目的が手段になっていたら、モチベーションは長続きしませんしね。

その辺りを考えると、ピッチの中では言語を話せた方が優位に働きますし、非言語だけでは次のステップを目指そうとする時に限界が訪れます。

前のチームメイトにオランダ人がたのですが、彼女はオランダ語、ベルギー語、英語、ドイツ語を巧みに操ります。

すげ〜っていつも感心しちゃってました(笑)

今は監督もチームメイトも英語圏の人なので、英語が必須です。

監督が選手に意見を求める機会が多いので、自分の意見も積極的に言うようにしています。

相手の受信力の感度が低い場合は言葉で補わなければなりませんし、逆に感度の高い相手だと言葉は少なくともある程度行動から感じ取ってくれます。

みなさんの中にも、言葉がなくても分かり合える人っていると思います。

目に見えない力をなんとなくでも信じている人、そういったエネルギーを感じ取って生きている人、そういった人たちとの関係は心地よく、プラスのエネルギーが常に流れている感じがします。

口から出た言葉が持つエネルギー、自分自身から放たれているエネルギー、形のない無機質なモノには、大切なモノが沢山詰まっています。

だからこそ、人間性っていうのが本当に大事になってくるんですよね。日々の生活がピッチにそのまま現れるから。

今そこにあるリアルを感じて生きることを大切にしていきたいですね。


そんなこんなで。

ポツダムで過ごした3年半は、私にとって本当に濃密な時間でした。ここで学んだことは今でも生かされているなと感じることがたくさんあります。

最後のシーズンにはキャプテンを任されたりなんかもしたり・・・


今はTOEFLを受験して100点以上取ることを目標に勉強してます。


道のりは険しく長いな。。


日本語でも英語でも、コミュニケーションで大切なことは、言葉そのものではないということ。

みんなが協力しあって生きていける社会へ。愛と共感力で、豊かな世界を創っていきたい。サッカーが私にもたらしてくれた恩恵を、今度は世界に還元していきたいです。