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自分が役に立てる・必要とされる旅

旅(外)に出た理由を振り返ってみる
で、今までの旅のスタイルを振り返ってみた。

振り返ってみたものの、そんなに大した理由はなかった。大きく変わったのは、あれだけ海外、海外!と騒いでいた海外熱がす~~~っと覚めて、あれだけ、つまんない、やることない、行くとこないと言って、出て行った地元秋田愛に目覚めたということ。

秋田だけでなく、日本の古き良きものを残したい、伝えたいと思うようになり、ライターの仕事でも、海外取材よりも、高級ホテルでおしゃれ女子会よりも、地元で頑張っている人たちへのインタビューに力を入れるようになってきた。

地道に頑張っている人たちが大切にしているのがお友達ネットワーク。いいものは取り入れ、自分がいいと感じたものは共有する。素敵だ~。と感動しつつも、私はというと、テイクしてもらってばかりでギブできてないのがつらい・・・

と思っていたらば、こんな特に取り柄もない私でも、旅をしながら、ご飯を食べさせてもらって、素敵な宿も提供してもらって、ちゃんとお役に立てる場所があることが発覚したのだ。

離島ツアーでの出会い

まずは、人との出会いから。

沖縄をはじめ、いろいろ問題になっている尖閣諸島や北方領土、竹島などなど、日本にはたくさんの離島がある。隣国から、ここは俺たちのもんじゃーーー!と勝手に言われ、優しい日本人は、おろおろして、手をこまねいているうちに取られてしまう。離島は、生活のしづらさやインフラ整備が整わないなどの理由により、無人島になっている島も少なくない。そこで、日本政府が打ち出したのが、離島への国内ツアー。

住むのは難しくても、旅先として人気が出たら、活性化するし、日本の国土としても認知されるしいいのでは?とのことで数年前からあの手この手で離島活性化を行っている。その一環で、メディア関係者向けの離島プレスツアーが開催され、そのプレスに参加したことで、ありとあらゆる業種の人たちと知り合いになった。

どこかの国や国内の県単位の観光プレスツアーと違い、今回は国が主導のプレスツアー。さまざまな業種が入り乱れ、経験値が高いだけでなく、個性豊かすぎて、興味深い人たちが盛りだくさんだった。

飛行機移動やご飯のとき、情報、名刺交換をしまくった時に出会った一人が、ビストロを経営したこともあり、今は全国のおいしいものを発信するフードコーディネーターのおじさま。

全国津々浦々のおいしいもの、これから走りだそうと頑張っている人たちを応援する素敵活動をしている人だ。

進化し続けるオキオリーブガーデン


そのおじさまがいろいろお手伝いをしている中の一つが、香川県高松市にあるオキオリーブガーデン。

証券マンだった澳さんが、脱サラして高松に土地を購入し、オリーブの木を1500本植えて広大なオリーブ畑を作ったのだ。オリーブ農園に本腰をいれてまだ5年目という短さなのに、2018年に開催された「第六回JOOP (Japan Olive Oil Prize)」国際オリーブオイルコンテスト」で、国別最優秀賞を受賞する快挙!

受賞した理由は、人一倍手間暇をかけていること。オリーブの実を一粒ずつ手摘みし、収穫後4時間以内に搾油する独自のこだわりで、おいしいオリーブオイルを作っている。(通常は72時間以内)
手作業にこだわったオリーブオイルであれば、さぞかし従業員も多いのかと思いきや、特に雇ってないのだそう。

オリーブ栽培だけでなく、古民家を改装したオキオリーブゲストハウス、オリーブ畑の頂上にあるオキオリーブガーデンカフェと手広く事業を広げる澳さん。カフェで働くアルバイトの子はいれど、農作業をやる人手は雇ってないとはどういうこと?


農作業を手伝ったお礼は三食昼寝付き


フードコーディネーターのおじさまは、オキオリーブにほれ込み、いろんな企画を催している。今回参加したのは、オキオリーブガーデンツアー。

このツアーは、オキオリーブガーデンを見に行こうというだけでなく、農作業のお手伝いをしたら、お宿とご飯代は、園主が持ちますよというツアー。

「日本はもとより、世界各国から、お手伝いに来てくれるから、なんとかやっていける」と澳さん。

最初は、オキオリーブガーデンを見てみたい、おいしいオリーブオイルを使った料理が食べたい、フードコーディネーターのおじさまセレクトのワインやシャンパンが飲みたいなど、お手伝いというより、おいしいご飯を食べたいがために参加を決めた。

オリーブの収穫期は10~11月のため、今回お伺いした6月はもっぱらオリーブの木の周りにある雑草をひたすら抜く作業。正直いうと、農作業は秋田の実家でかなりやっているし、特に楽しみでもなんでもなかった。

が、行ってみると、そんな考えは一転、一心不乱に草を抜きまくっていた。

なぜ、心変わりしたのか。

やはりその場で奮闘している澳さんの人柄が大きい。オリーブについての豆知識、小ネタを教えてくれたり、おいしいオリーブ料理を食べさせてくれたり。そうなると、このおいしいオリーブオイルをまた頂くためには、頑張って働かにゃ~となるのだ。

さらに、一緒に農作業した仲間と飲む一杯のおいしいことといったら。参加したときは、知り合いが2人しかいなかったものの、一緒に農作業を共にしたことで絆が深まり、帰るころには、もう仲良し。たった1泊2日なのに、まるでそこで働いているかのように、オキオリーブガーデンについて熱く語れるほどになってしまっていた。

モノ消費からコト消費へ


中国人観光客が、モノ消費からコト消費へ変わったとよくニュースでいわれている。爆買いは一通り満足した、世界遺産も見に行った、次は日本のさまざまな体験をしたい!とお茶やお花、登山など活動的になってきている。

私自身もそうだ。
旅行に行けば、大量に自分用、友達用にお土産を買い、絶景をみて写真を撮って大満足。今でも、行きたい旅先は、おいしいものが食べられる、素敵なホテルに泊まれる、絶景が見たいという気持ちもある。

だが、今回、オキオリーブガーデンツアーに参加し、おいしいオリーブオイルを作るという澳さんの野望に、少しだけれども関わったことで、オキオリーブガーデンの歴史にほんのちょっとだけ加わったような、役に立ったようなそんな気分を味わった。

実は、草刈機で張り切って、草刈りをしていたときに誤ってオリーブの木を傷つけてしまうという失態を犯してしまっている。
それでも澳さんは
「オリーブの木は丈夫だからこんなことじゃ死なないよ。」

とオリーブの木をポンポンと叩いて、大丈夫だよな?とオリーブの木に話しかけているようにも見えた。

失敗を犯したことで、もう必要とされてないんじゃないか・・・と落ち込んだものの、
「10月は収穫時期だから、また大きくなったオリーブ見に来て、いっぱい収穫してよ!三食昼寝付きでお待ちしてます」

と言ってくれた。

自分が役に立てる、必要としてくれている場所がある。これって本当に大切なこと。仕事でも家庭でも自分が必要とされていると実感することで、充足感、喜び、働き甲斐が得られるのだ。

あのご飯をまた食べに行きたい、あの絶景をもう一度見たい!というのが若かりし頃の旅の目的。
あの人に会いたい!自分が必要とされているところに行きたい!役に立ちたい!というのが、今の私の旅の目的になった。

思い込みでもなんでも、自分が必要とされている、ちょっとでも役に立てるオキオリーブガーデンに、この秋、オリーブの収穫をしにまた旅する予定だ。高松で出会ったオキオリーブガーデンを愛する人たちとともに。

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