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イメージギャップNO1バンド「安全地帯」

安全地帯ライブにいった理由

「甲子園で安全地帯のライブあるんだけれど、行かない?」

昼休みに、突然、会社の先輩から誘われた。
私は、一度も安全地帯が好きという話もしてなければ、先輩が安全地帯のファンというのも寝耳に水。

「う~ん、”ワインレッドの心”と”悲しみにさよなら”くらいしか知らないからな~」
とやんわりと断り気味の回答をしたつもりだったのであるが、

「いやいやいや、聞いたら絶対にわかる曲ばっかりだから!生で玉置浩二の歌聞いたらやばいから!」

と、ゴリゴリ押してくる。
基本的にライブの雰囲気が大好物で、ファンでなくてもお誘いがあれば、ホイホイついていく私だけれども、安全地帯・・・と躊躇していたら、

「チケット代いらないから!」の一言でお誘いにのることにした。

なんでも、一緒にいく予定だったお友達が、急にいけなくなり、チケット代は払うからとのこと。

無料であれば、他にも行く人はいるけれども、どーしても私と行きたいらしい。

「だって、高校野球みて泣いてるでしょ!その聖地、甲子園でのライブだよ!あんたなら、玉置さんの歌聞いて泣くはず」

という理由からだそう。高校球児のあの熱い戦いと玉置浩二の歌声を同じにするとは!とこのときは、鼻で笑っていたが、最後は先輩の予言どおりになるとは今の時点では想像だにしなかった。

ライブに行く前の安全地帯のイメージ


・夜のヒットスタジオでみたアイシャドーバリバリの玉置浩二
・ワインレッドの心の♪あの~消えそうに燃えそうなワインレッドの♪
の「あの」の意味がわからなくて、ずっとモヤモヤしている
・大好きな薬師丸ひろ子と離婚した
・その他、女性関係もろもろの週刊誌ネタ系

どうしても、週刊誌やワイドショーなどのスキャンダラスなイメージが先行して、歌のイメージがわかない。そうなる前にも、夜のヒットスタジオなどの音楽番組で歌を聞いたはずなのに、紫色っぽいダブルのスーツと濃いアイシャドーの見た目のインパクトが強すぎて、歌っている姿が思い出せない。

さらに、名曲「ワインレッドの心」は、歌詞の中にあるような、大人の情感なんてわからないころに聞いたから、まったくもって心に突き刺さらなかった。

見た目でだいぶ拒否反応を示したせいで、名曲すらうろ覚えだったため、ライブ前の予習として、先輩から3年前に発売されたベストアルバムを借りた。

ライブの半分以上はこのアルバムから歌うはずと自信満々。

ライブ開催→ニューアルバムの歌を中心に歌う→アルバム購入につなげる

という図式が成り立っていたため、アルバムも出してないのに、あの広い甲子園でライブなんて埋まるのか?と思っていた矢先、ラジオで

「安全地帯 IN 甲子園球場 “さよならゲーム”絶賛発売中!」

とDJがのりのりで宣伝してた。やはり・・・
先輩の友達がチケット代あきらめたのもここかと納得。

さて、早速、アルバムを聞いてみると

伸びがあって透明感のある声、心の奥底にずど~んとストレートに入ってくる歌詞、わけもわからずセンチメンタルな気分になる、メロウなナンバー。

年齢を重ね、恋愛の吸いも甘いも経験したあとだからこそ、言葉一つ一つに重みがある歌詞と玉置浩二の美しい歌声が、心に響いてきている気がする。失敗だらけの恋愛をしてきた過去の思い出が走馬灯のようによみがえる・・・

と、はたと現実に戻される。

あれ?安全地帯ってこんなに心にズド~ンとくる歌いっぱいあったけ?
あれ?この歌、CMか何かで聞いたことがある!
あれ?結構、ノリノリの気分アゲアゲの曲もあるじゃん!

と1曲1曲聞くたびに、あれ?がいっぱい。

俄然、ライブ当日が楽しみになってきた!

世間のイメージとのギャップがありすぎる玉置浩二の底力 前半


ガラガラなのかなという不安は外れ、4万人の大入り御礼!

ニューシングルを発売したのは、かな~り昔とは思えない集客ぶり。
年齢層を見ると、やや高めで往年のファンが全国から駆け付けたとみた。

13時開場15時スタートのため、日差しがさんさんと照り付ける中、今か今かと安全地帯の登場を待つ。

キャーーーという声とともにメンバー登場!顔や年齢は、まああれでも、やぱりキャーーーってなるのね・・・とこの時はまだ、遠目に見守る。


アリーナ席は全員立ち上がり、すでにボルテージUP。
反対に私が座るスタンド側は、皆さん、ゆったりと座って、あら、来たわね~と大人な雰囲気。

最初の数曲は、アリーナの盛り上がりを眺め、借りたアルバムに入ってない曲だな~と部屋でラジオでも楽しむように聞いていた。

そののんびりムードを一変させたのが、6曲目の熱視線!

アップテンポな曲のイントロが流れ、ステージから火柱がドンドコ上がり、熱気ムンムン、思わずいい気持ちになって脱いじゃいたくなるほど!

炎で熱くて、脱ぎたくなったわけじゃない!あの甘い声で、激しく、せかすように

♪抱きしめて 揺れる瞳に
熱い視線つらぬいて
いますぐに あなたのままで
燃える恋に身を投げて♪

なんて平然と歌ってしまうんですよ!女を一瞬で悩殺するセクシーボイス!恐ろしい破壊力!

その余韻のまま

♪好きさ~しびれるほど~(←ささやくように)
好きさ~忘れられない~(←もだえ狂うように)♪

なんて、歌われちゃった日にゃ~、私、7曲目にして、玉置浩二の女になりました。だって、好きさ~ってこんなに言われことないんだもん。好きさ~の、さ~の伸ばし方もいやらしいのなんの。

そこから先がまたなんとも言えないエロティックな時間の始まり。
声のボリュームを落として、ささやくように、時折、はぁ~なんていう吐息なんだか、ため息なんだかわからないものを絶妙に挿入して歌う「恋の予感」

♪なぜ、なぜ、あなたは
キレイになりたいの
その目を誰もが
見つめてくれないの♪

なぜとなぜの間に、吐息を入れちゃいながら歌うもんだから、もう女性ホルモンのバランスが崩壊~~~。

声の伸びが尋常じゃないからか、玉置浩二が自分の耳元でささやいているかのような錯覚に陥り、

なぜって、あんたに好きになってもらいたいからだよ~!

と恋の予感を通り越して、恋の終わりのような気分になり、五輪真弓の歌が頭をかけめぐる。

♪恋人よ~そばにいて
凍える私のそばにいてよ~♪

だって、4万人がここにいるんですよ。まあ、1/3は男子でしょうけれども、男子でも恋しちゃうはず。敵が4万人もいるとなれば、五輪真弓にならざるを得ない。

次なる蒼い瞳のエリスでは、

♪どんなに悲しいことも わたしに伝えて
あなたの瞳のエリス みつめかえして♪

と前半は力強く、後半は語り掛けるように歌い上げるもんだから、
特に最近、悲しいことがないにも関わらず、せつない気持ちになった。

ライブ前半最後は、これ以上ない切ないメロディーのFriend
♪もう Friend
こころから Friend
みつめても Friend
悲しくなる♪

最初のFriendは、叫ぶように、中盤はせつなく、最後はささやくように抑揚をつけたFriend。
Friendって何?
どうしたいのFriend?

脳の奥深く、体の隅々まで浸透した玉置浩二の歌声、吐息、ささやき・・・
ぼ~っとしちゃって、陶酔感が半端ない。

まだ、前半なんですけれど、いい意味でメンタル崩壊中。

夕暮れと玉置浩二の歌声のシンクロで高揚感マックス 後半

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もはやここまでくると、歌を知っている知らないなんてのはどうでもいい。
玉置浩二の天使の歌声を聞いているだけで、ふわふわした気分になり、
まるで、玉置浩二が私のためだけに歌っているかのような錯覚さえ起こり始めた。

それくらい、声がどこまでも通るのだ。

ちょうど日も傾き、空がオレンジ色に染まるころ、後半戦スタートの「夕暮れ」のイントロが流れる。図ったか!というくらい絶妙なタイミング。

そして、玉置浩二がギターを手にして、哀愁ただようイントロが流れたその歌こそ名曲「ワインレッドの心」

♪あの~消えそうに燃えそうなワインレッドの♪

の「あの」がわからなくてモヤモヤしていた、私はそこにはいない。

CDで聞いていたワインレッドの心よりも、より感情に訴えるようなそんな歌い方。

ワインレッドの心が燃え上がりつつも、消さないといけない、抑えないといけない大人の禁断の恋。どうしたらいいかわからない恋心をたとえてるのかなと思いながら、耳を傾けた。

「あの」はいろんな意味を込めて「あの」なんだろうなと、十分大人になった私はなんとなく「あの」を理解した。

それにしても、叫んだり、ささやいたり、吐息をいれたりしているのに、歌詞が全部耳にす~っと入ってくる。はっきり聞き取れるのだ。
歌詞の意味を分かったうえで、情感たっぷりの歌声にのせられて、私の耳に届くんだから、感情移入するなと言われても無理なこと。

すごい破壊力だよ玉置浩二!

観客を盛り上げることも忘れない。
真夜中すぎの恋で、再び盛り上げた後は、なんと、ダイヤモンド1周ならぬ甲子園球場の外周をギター片手に走り回ったのだ!
いやいやいや、まだ次の曲もあるのに、お年も召しているのに大丈夫???と体の心配をしたのもなんのその。安室奈美恵ちゃんもびっくりのロングランをしたあとの「じれったい」では、息を乱すことなく歌い上げた。

私だったら、肩で息して、しばらくステージに座って休ませてもらっているところだ。

そして、陽が沈み、空が最後の光を放った瞬間「悲しみにさようなら」のイントロスタート。

♪泣かないでひとりで~ ほほえんでみつめて
あなたのそばにいるから♪

せつなくも優しいメロディーに、玉置浩二のやさしい声音がのせられていく。黄金色に染まった客席からも歌声が自然と沸き上がり、大合唱。

最後のフレーズ

♪悲しみにさよなら ラララララララララ~♪

で、なんと、なんと、ポロリと涙がこぼれてしまった!

一人ぼっちで悩んだこともないし、今も、特に泣くほどのつらい恋もしてない。

自分で気づいてない何かがあり、玉置浩二の歌声がわたしの心の琴線に触れたんじゃないかと思う。

右隣に座っていた先輩も、ハンカチを目頭にあてながら、大合唱。
さらに、左隣の女性も、指で涙をぬぐっていた。


最後のひとりぼっちのエールでは、ライトがポツリポツリと灯り始める。
いつものライブならば、ペンライトを購入し、常に点滅させて、キャーキャー騒いているところであるが、今回は、座って、ゆっくりじっくり歌を聞いている。

よ~く見てみると、ペンライトではなく、スマフォのLEDライトを振っている。なんてエコなライブなんだ!

気づいた観客たちが、一人また一人とライトをつけ、スマフォ片手に左右に振り、いつのまにかスタンドは、星が輝く夜空になった。

アンコール時には、甲子園球場らしく真っ白いジェット風船が球場を埋め尽くし、夢のような雰囲気に。


メンバー紹介をして、「ありがとう!」という一言を残して、さよならゲームは試合終了。

MCなしで、23曲、途中、ランニングもはさみながらも、一気に歌い上げるとはあっぱれ!

あっという間の2時間だった。

玉置浩二が忘れられない


いつものライブでは、
「キャーーーー●●(←推しの名前)」を叫んだり、
ジャンプしたり、ちょっとしたヘドバン(←あまりやると疲れるからうなずく程度のもの)をしたり、グッズ買うために、早く行って、ライブ前の高揚感を楽しんだりするから、ライブが終わると心身ともにぐったり。

なのに、安全地帯のライブでは、アンコールでちょっと立った以外はずっと座って、あの魅惑ボイスにうっとりと耳を傾けていただけだから、正直、まったく疲れてなかった。続いていたのは、胸の高鳴りだけ。

歌詞がわかるくらい、クリアに歌ってくれたおかげで、歌の世界観にもどっぷりはまれた。音楽を本当の意味で楽しめたライブだった。

こんな素晴らしいライブをタダだから行こうなんて決めた私、最低だ!この素晴らしいパフォーマンスにあった対価を払うべきだ!と先輩に直談判し、支払おうとしたら、ここまで感動し、興奮し、玉置浩二の良さに気づいてくれたから、いらないと。いやいや、それじゃ、あたしの気が収まらないと、せめて、打ち上げはおごらせてくれと、飲み屋に直行!

ライブでいろいろ気になっていたことを、先輩に聞いてみた。

甲子園球場にはためいた旗にV
ステージのど真ん中にもV
そして、最後にドラムスティックでV

「V」って何?と引っかかっていた。

なんと、安全地帯の標識が「V」だそう。

そもそも、安全地帯の標識って見る機会がなかったから知らなかった!

そして、ドラムスティックのVは、ドラムの田中 裕二さんが病気で今回のツアーに参加できなかったから、お前も一緒だよという意味を込めて「V」を作ったんじゃないかと。

そうか、もう、皆さん、いい年齢になってきたからそういうこともあるなと納得。

衣装チェンジもしたよね!と嬉しそうに言われたものの、実は全く気付いてなかった!

いつもは眼鏡かけて、推しのイケメンの顔をガン見する私であるが、今回は眼鏡も持ってこず、玉置浩二の天使の歌声のせいで?おかげで?余韻に浸るべく、ほぼ、目をつぶって聞いていた。

左隣の女性なんて、オペラグラスで覗いていたのに、そういえばほとんど玉置浩二の顔見てないかも。

いや、この際イケメンじゃなかろうと関係ない。あの天使の声は七難隠す!いや、アイシャドーのイメージが強すぎて、きちんと顔を見てないだけで、意外とイケメンなのかも。あ~だんだん、私の玉置浩二のイメージが崩壊していく・・・

30年以上も前の歌「ワインレッドの心」を、ここまで感動と興奮の渦に巻き込む、玉置浩二の魅惑ボイス。

ライブで生玉置の歌を聞いたら、間違いなく恋に落ちる!前に座っていた男の人でさえ、なんとなく陶酔している感じだった。
それにしても、イメージとライブでの歌声のギャップが激しすぎるバンドは、安全地帯以外にいるだろうか。

すべての人の心の琴線に触れるであろう玉置浩二の歌声。

CDで聞くよりも生歌のほうが断然いい!事実、借りたCDを聞いてた時は、いいメロディーね~くらいにしか思っていなかったから。可能なら、日本遺産に登録したいくらい本当に、こころの奥底から感動した歌声だった。

笑っちゃうくらい今更だけれども、玉置浩二の天使の歌声を一人でも多くの人に届けるべく、推して推しまくり、吹聴しまくる!と決意を新たに、noteにまとめてみた。

ライブとはなんぞや、歌とはなんぞやを玉置浩二に教えられた夜だった。

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