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自分で自分の絵を解説するとはこれいかに(笑)?

はじめに
こんにちは、雪町です。今回は珍しく自分の描いた絵を解説します。昨日投稿したこちらの絵です。

最近謎絵を展開してばっかりだったのと、フォロワーさんの何人かからも世界観を聞かれたのでせっかくですしやってみます。実は前に出したイラスト集でもちゃんとした解説はやっていなかったので初めてまともに自分の絵を語ることになりますかね(恥ずかしい)。
今は次のイラスト集に向けてどんどん作業を消化している状況ですが今回の絵は、本の中で最初のページを飾るイラストです。イラスト集のネタバレはあまりできないので詳細は話せませんが、今回の絵のタイトルは「Blue Monday」で既に描く前から決まっていました。そしてさらにクリアしなければいけない制約が見たことないもの、経験したことないものを描くという点、サブカル的な要素のオマージュを取り入れるという点です。(この辺の理由は全部イラスト集で話すので今はそういうものだと思って許してください)

構想を練っていく
[Blue Monday]は文字通り憂鬱な月曜日ですが、わかりやすく(そのまま)月曜日が憂鬱な様子を主題に描いたほうがよさそうです。そういうシチュエーションで考えたときに月曜朝に起きて1週間が始まるのかと憂いている様子が典型的(だと思う)なのでそれを採用します。明快な主題が決まったので、次に経験していないものを描く、サブカル的なオマージュを取り入れるという点を解決していきます。主題から考えて部屋の絵を描くので生活感が重要になってきます、その中で体験したことないものを考えたときに一番手っ取り早いのが近未来的な、SF的な生活かなと思い、それを出発点にしたいと思います(自分自身近未来的なものを描いたことがなかったのでそういう意味でもうってつけだと思います)。また、サブカル的なオマージュについてはのちのハウスミュージックやテクノなどに大きな影響を与えることとなるNew Orderの同名曲「Blue Monday」から引っ張ります。(New OrderはBlue Mondayで時代に先駆けロックにデジタルサウンドを取り入れてヒットさせたということもあって近未来感みたいなのとかとの結び付きもいいかなというノリ。)
改めて整理します

① Blue Monday(憂鬱な月曜日)に沿った絵を描く
② 近未来的、表現と生活感を同時に出してみる
③ New OrderのBlue Mondayを中心としたサブカル的オマージュ

ようやく提起が終わったので次の節からいよいよ絵について解説していきます。

解説
そんなわけで完成した絵を改めて見てみましょう。

上で上げた3つの点について順に説明しますね。まず1点目:
1.BlueMonday(憂鬱な月曜日) に沿った絵
寝起きに泣いているというのは見てわかると思いますが、朝だけどさわやかさだけでなく憂鬱さを出す配色を考えて塗りました。いつものような深い青や鮮やかな緑を使っていたらエモーショナルな雰囲気が出ないので、インスタなどのいわゆるエモい写真フィルターの挙動をなぞりつつ青を中心にそれっぽい配色にたどり着きました(普段使わない色域なので非常に苦労した)。New OrderのBlue Mondayもある意味楽しいのか悲しいのかはっきりしないメロディーなのでこんな感じのぼやぼやした配色はぴったりかなと思います。あと女の子の寝ぐせとか地味に難しかったですね。

2.近未来的・SF的表現
ここからは完全にお遊びに入っていきます。近未来的な居住区域でイメージできるものと言えば投影された文字や映像ですよね(威圧)! そんなわけで壁に文字を、空間に魚を投影しました。壁の文字はNew Orderの発売した日付とBallet Mechaniqueという曲の歌詞を引用しています。

↑壁に貼り付けた文字の元。

Ballet Mechaniqueはテクノポップの生みの親、日本が世界に誇るテクノバンド、YMOでおなじみ坂本龍一さんのソロアルバム「未来派野郎」に収録されている曲です。アルバム名に未来が入っているのもぴったりかなとか思っています笑(めちゃくちゃいい曲なのでぜひ聴いたことない人はぜひ、、、!)。私に見たことのないものを見せてという英語の歌詞からスタートするので引用するならちょうどいいだろうと思ってこれにしました(サブカル的なオマージュも込められるしね)。歌詞の所々が[DEMO]で置き換わっていますが置き換わったアルファベットを並べ替えれば[Blue Monday]になります。(しょうもないことに凝ってしまった)
また、部屋の生活感=そのキャラクターが過ごしてきた年月です。壁に投影されている日にちも3月なので少なくとも新生活の始まる4月からおよそ1年はたっているわけです。そんなわけでこの女の子は月曜に(限らずですが)何回も涙を流してきたわけです。流した涙は川となり、そこを魚が泳ぐという寸法です(しょうもない)。もう一つ言うと、うお座の神話では怪物と出会った女神が川へ飛び込み魚に連れられ逃げるというものがありますが、ある意味現実から逃避することを誘ってくれる象徴みたいな意味合いも込めて魚を泳がせています。リアルな魚でもよかったんですけど、どうしてもオブジェクトや光をさえぎってしまうので近未来的な要素もこみこみで電気チックな魚にしています。見てくれだけなら蝶とか鳥とかを飛ばすのがいいんですが基本的には死者の霊魂の象徴なので込めるメッセージとしては適切でないかなとか思ったりもします。あとめちゃくちゃ余談ですが今回レンズフレアはエイブラムス監督でおなじみの横一線、アナモルフィックレンズフレアを用いています。アナモルフィックレンズは本来1:2.39の画角となる特殊なレンズなので、このイラストの画角でこのフレアが入るのはありえないですが、SF感を誇張するためあえて入れてみました。

3.サブカル的オマージュ
もうド直球に[Blue Monday]の1983年ver、1988年verのジャケットを置いています(笑)。

↑1983年発売(左)、1988年発売(右)のアルバムジャケット(絵の中に忍ばせてあるから探してみてね)


さらにこちらはNew Orderが1983年にリリースした権力の美学というアルバムのジャケット裏表面です。

『権力の美学』ではバラの絵が表のジャケットに使われていて、この絵に使われている色彩を使って作られた円形のカラーチャートが裏ジャケットのデザインです。そしてこのカラーチャートを使ってアルファベットと色を対応付けられるのです。Blue Mondayの表面もカラーコードを読み取ればFAC73 BLUE MONDAY ANDと書かれてあることが分かります。Twitterには以下の3枚を投下しましたが実はこれも同じように絵に使われている色からカラーチャートを作成し、これを用いてイラストに付けているカラーコードをアルファベットに変換すれば「Blue Monday」、「Pink Sunday」という風に絵のタイトルが読み取れます。(こんなしょうもないことに凝るならその時間を使って絵を描けと言われそうですが)

最後に
おおまかにはこんな感じでしょうか、もうちょっとスマートに文章をまとめたかったですがお許しください。めちゃくちゃざっくり要約すると、自分のバックグラウンドからおふざけやりたい放題アウトプットして絵に畳んだらこうなった、ですかね(笑)。
とはいえNew OrderがBlue Mondayでヒットを飛ばし、一躍シーンをリードしていくように、それをオマージュするからには今までの自分の絵を乗り越えて新しさ、完成度を担保し、ヒットさせねば!と特段気合いを入れながら描いたのもまた事実です。まあでもシンプルに画力・構成力がまだまだだなと思うので精進していきたいですね、下手な奴が今みたいに自分の下手な絵のついて長々と語ることほどダサいこともないわけで(笑)。以上、話がそれましたがBlue Mondayの説明でした、最後まで読んでくださりありがとうございました。