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推し…

最近の強力な推しになりつつある、BFL/Masham (発音はマサム、に近いようですが便宜上マシャム、でいくことにします)について、ツラツラと書いてみたくなりました。
いつものように、染めながら、編みながらの作業なので、誤字脱字がいつもよりヒド目かもしれません。すんません。

マシャムは、イギリスのヨークシャにあるマシャムという地域(町でいいかも)で飼育されている羊なんですねぇ。
品種としては、Dalesbread の雌とTeeswater の、ちょっと珍しい交雑種ということです。

糸としての特徴などは正直、分からないので染めてとしての印象などや、なんで推しなのか、みたいな感じで書いていこうかな、と思います。

まず、テクスチャ。
BFL単体とあまり変わらないように思います。
が、私が扱っているのは防縮加工されたBFLなので、それと比べてあまり変わらないということは、BFL単体よりも滑らかかな?
とはいえ、毛そのものの細さ(ミクロン)にもよるので、いやはやなんとも…

色。これ大事。
これが推しになった原因、いや理由のひとつ。
なんともイイ感じのグレイッシュ・ブラウンです。
語彙が少なすぎて、伝えられません(´;ω;`)
えっとですね、グレイッシュ・ブラウンなんですが、たま~に黒っぽい長めの羊毛がひそんでたりするのと、元々がBFLとの混紡なのと、かてて加えて毛足の短い羊毛がなんちゅーか英語でいうところのhalo(なんか、訳すと後光とか出てきますが、そんな感じ)で、テクスチャだけでなく、色も柔らかみを帯びるんですねぇ。
そして、うっすらと濃淡があって、これは編むと顕著になります。

こういう、生地自体の色が濃い(ほとんどがグレーやそんな色だと思うけど)糸だと、染めたときの色がとてもニュアンスや陰影のある何とも言えない色になることがあります。
まぁ、染料の色にもよるけど。
濃い色よりも、薄めから中間の濃さの方が、生地糸自体の色の差を感じられると思います。

染めてとしては、とても良い経験になると思いました。
いつもは、白に近い生地糸を染めているので、予想がつきやすいのですね。
(あ、もちろんテストダイといって、発色、濃淡、混色したときの色などは一応確認したり、色見本も作ったり、作らなかったり…アレ?…)
でも、地の色がグレーだとこんな感じになるだろうなぁ、と思ってはいましたが、実際に染めてみると、私はちょっと感動しましたね。
多分、染料の色もぴったりだったのかも。
少し茶色がかった、こっくりしたイエロー。
黄土色、よりも少し黄色。
なーんだ、からし色じゃん、っていうのはナシで。

それが、グレー(グレイッシュ・ブラウン)がかるんです。
少し濃いグレーのところは、もっとくすんだ色になる。
色は不思議です。
ある人はからし色といい、ある人は黄土色といい、枯葉色という人もいる。
自分の中にある、カラーパレットで色を認識するんですかね。
で、そのカラーパレットは、記憶とか言語表現なんかで違いがでるんでしょうかね。
面白い。
その「差」自体が面白い。
アンミカ先生は「白って、200色あんねん」って言ってたし。

「新茶」って色は無いけれど、その新茶で思い浮かべる色はある。
それを考えると、色の世界は無限です。
無限の領域に足を踏み入れるって、面白くない?
あ、脱線しました、すんません。

マシャム、です。
そもそもなんでこの糸を仕入れたか。
営業戦略として、(ウソ。戦略は大げさ)というか、好きってこともあってRavelryで、流行りのパターンや糸を調べたりしてますが、そこで見つけて、直接サプライヤーに連絡してみたり、マシャムの地域的、歴史的なアレコレや、地域の環境を守りつつ、小規模な羊毛農家をビジネスとして成立させる取り組みにちょっと、というかとても惹かれたことが理由。
日本ではできない、というかやろうという仕組みや取り組みは…無いか無いに等しい。

一番すごい、と思ったのは、このマシャム、紡績される前のフリースをどこの牧場のものか追跡できるそうな。(トレーサビリティ、ですね)
しかも、完全地域密着型の生産で、羊の飼育から糸になって出荷するまで、たった80キロの範囲でやってる。(サステナビリティ、ですね)
80キロっつったら、札幌ー小樽を国道で往復したくらいの距離!
せまっ!!(分かりづらくてごめんなさいね)
まぁ、狭い範囲です。

糸が素晴らしいのはもちろんのこと、地域的な歴史と環境を守りつつ、いかに小規模経営の牧羊農家をビジネスとして成立させるか。
そんなところにも、推しとなる理由があったのでした。

で、今、その推しを染めています。



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