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Netflixのフードドキュメンタリーが美味しすぎる

今年から一人暮らしを始めたことにより、今まで以上にNetflixの視聴時間が増えました。自炊をするようにもなり、食への関心も高まりました。最近では帰宅後にNetflixを観ながら夜ご飯を食べてばかりの日々。今やNetflixは、自分にとって食と同じくらい生活から切り離せないものになっています。その中でも個人的に美味しかったNetflixオリジナル番組3作品をまとめました。

・普段の料理がグンと美味しくなる 『美味しい料理の4大要素』
・その場所でしか生まれない料理がある 『アグリー・デリシャス 極上の"食"物語』
・旅行前に見ておきたい 『腹ぺこフィルのグルメ旅』

美味しい料理の4大要素

2018年/ 1シーズン / 全4話 / 1話約40分程度

料理のさしすせそってありますよね。それよりももっと大きな枠組み、食においての世界共通の要素、法則について巡る番組です。原題は『Salt, Fat, Acid, Heat』と、すでにタイトルで4大要素を語っています。元は同じタイトルの本が原作で、その著者であるサミン・ノストラットが要素ごとに様々な国を通して紹介し、学び、料理し、食べます。イタリアの広大な自然からトルティーヤ職人のおばあちゃん、日本の田舎町まで登場します。

この番組のポイントとしては、シェフが出てこないという点です。料理番組、フードドキュメンタリーというとどうしてもどこかにシェフが登場し、解説します。それが悪いわけでもないんですが、視聴者からしてみるとプロだらけのハイレベルな料理を見せられているばかりでは、どの番組でも正直あまり変わりません。そりゃ美味しくて当たり前でしょっていう。プロが出てくれば、作れば、高い金を出せば美味しいごはんは食べられる保証はあります。しかし、わたしたちが普段の食生活でいつも口にする料理たちはそのようなものばかりではないし、高い食材ばかりを使って作るわけでもありません。

番組では要素となる食材・料理のために各国を巡りますが、主に登場するのは農家や職人、屋台が並ぶ街中の人々、サミン・ノストラットの友達などです。彼らと一緒に要素にまつわる料理を作ります。餅は餅屋という言葉があるように、この要素ならこの食材、この食材といえばこの国とチョイスするフードライターの彼女ならではのセンスに脱帽。ただ美味しい料理を食べるだけだけでなく、食への学びと普段の何気ない料理に対しての意識が得られる作品です。これを観れば日々の自炊のクオリティが少しだけアップする…気がします。

アグリー・デリシャス 極上の"食"物語

2018年 / 1シーズン / 全8話/ 1話約50分程度

一方こちらの作品は、ニューヨークのヌードルレストランMomofukuを経営する韓国系アメリカ人のシェフ、デヴィット・チャンがホストを務めるフードドキュメンタリー番組。今期の朝ドラは安藤百福が題材となっていますが、そんな彼からインスピレーションを受けているだとか。ちなみに日清食品とは関係ありません。

シェフである彼と彼の友人を巻き込み、ピザやタコスなど庶民的で身近なメニューについて各国のレストランやシェフを巡ります。ジャンクな料理への思いや食文化を掘り下げ、ときにはジョーク、ときにはチェーン店までアタックします。ピザについてのエピソードでは、ブルックリンから本場のナポリ、そしてピザチェーン界の大物ドミノ・ピザまで登場します。食べる・作るだけでなくピザの配達体験に密着するシーンは見どころです。この回にはちょくちょく日本のピザが登場するのですが、そのシーンを見た際、高校生の時に「ピザにマヨネーズやコーンを使うのは世界で日本人だけだ」と、英語の先生が言っていたのを思い出させられました。

特に注目してほしいのが、デヴィット・チャン自身が韓国系アメリカ人ということもあり、ヨーロッパでタコス店を営むアメリカ育ちのメキシカンガールや移民など、様々な人種が登場する点です。誰もが自分のルーツに誇りを持っていながらも、料理の発祥地への歴史も尊重しつつ、今自分がいる地域の声を反映させ料理を作っています。同じメニューでも、その場所でしか生まれないものがあるのがフードトラベルの面白みだと思います。食文化を掘り下げていく傍ら、その様子を収めたインスタストーリーがちょくちょく番組に挟まれているのも現代らしい、Netflixオリジナル番組らしく感じました。紹介した中で1番カロリーが高い作品です。

腹ぺこフィルのグルメ旅

2018年 / 2シーズン / 全6話 /1話約60分程度

上記2作品は食材や料理ごとに各国を巡りましたが、こちらの番組では各国を旅しながら、食文化はもちろんその国の文化に触れていきます。ホストを務めるのは、エミー賞を受賞したコメディ番組『HEY!レイモンド (Everybody Loves Raymond)』の製作者であるフィリップ・ローゼンダール。なんとホストだけでなく番組の製作自体も彼が務めています。彼の友人である著名人らも登場することから人気を博し、今年の夏に2シーズンが配信されました。日本語では1品目、2品目と表記されているのもポイント。

食で有名な国といえばフランスやイタリア、中国などが挙げられますが、彼はサイゴン、テルアビブ、ダブリン…とニッチな国の都市も訪れます。それらの都市や国の文化、バックグラウンドを食を通し人と触れ合うことで探求していきます。食だけでなく街中や歴史的建造物、自然の美しい映像も見どころであり、まるで自分自身がその国に訪れているようです。旅行前に見ておけば、現地の食が思いっきり楽しめそう。お腹が空くのはもちろん、それより旅に出たくなります。

番組製作者が実際に出演し手がける番組ということもあり、何よりもテンポがいいです。実際の取材時の映像とは別撮りで、彼のコメントやナレーションがちょいちょい挟まれていたり、食や市場の様子だけでなく、国や都市を象徴するような風景の映像も多く使用されていたりと飽きのこない展開。急に街中でおばあちゃんたちの井戸端会議に飛び入り参加し始めたときは、高田純次の『じゅん散歩』を思い出しました。また、オープニング曲がこれまた癖になるのですが、この記事を書いていたら『孤独のグルメ』のEDを思い出しました。次のシーズンが一番楽しみな作品です。

おわりに

他にもNetflixには多くのフードドキュメンタリー番組がありますが、この辺の作品が観やすくて美味しいと思います。フード対決のような争いもなく、堅苦しくもうるさくもなく、料理をする人もしない人も、旅行が好きな人も行ったことがない人も楽しめるそんな作品たちを選びました。またなにかいいのがあれば備忘録としてまとめてみます。

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