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#094: 政府の統計データを無料で使える e-Stat (その2) - 国勢調査の結果をダウンロードして今の日本の問題を知る

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前回に引き続き、総務省統計局が公開している e-Stat を使ってみたいと思います。

政府統計の総合窓口
https://www.e-stat.go.jp/

つい最近、令和2年の国勢調査が行われましたが、今回はその国勢調査のデータを引き出してみたいと思います。
令和2年のデータはまだ集計・登録されていないので、現在見ることができるのは、前回の平成27年(2015年)の国勢調査のデータになります。

国勢調査のデータをダウンロードする

では、早速国勢調査のデータをサイトからダウンロードしてみましょう。超簡単です。

まずは e-Stat のホームページにアクセス。以下のようなページが開きます。

トップページ

いちばん左の「すべて」のリンクを選ぶと、以下のページに飛びます。

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上のページで、検索窓に「国勢調査」と入力し、右の虫眼鏡ボタンで検索すると、以下のページが開きます。

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ここでは、国勢調査の市町村別の統計表をダウンロードしてみましょう。上の赤い矢印のところを選択。
すろと、以下のページに、国勢調査の簡単な説明とともに、4件のデータへのリンクが出てきます。

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上の赤矢印を選択すると、以下のように平成27年、平成22年、平成17年、平成12年、計4回分の国勢調査の結果がダウンロードできるページに遷移します。

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ここでは上の赤矢印から最新の平成27年のエクセルファイルをダウンロードしましょう。

これで、国勢調査の結果がまとめられているエクセルファイルがダウンロードできます。
2.6MBくらいある、かなり詳細なデータが含まれたファイルです。

エクセルを開いて分析 - 静岡県の市町村の家族構成を見てみる

では早速ダウンロードしたエクセルファイルを開いてみましょう。

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シートは2枚あり、
1枚目(第1面事項)には、市区町村ごとの人口や人口増減率、男女・年齢別の割合、日本人・外国人の比率、家族構成、等がまとめられています。
また、2枚目(第2面事項)には、業種別(農業とか製造業とか小売業とか)の就業者数や、職業分類別(管理職とか生産工程とか事務職とか)の就業者数、昼夜間の人口比率、などがまとめられています。

前回も書きましたが、こうしたデータは、会社の経営計画を立てたり、補助金申請の書類を書いたりする際、現在の市場規模や今後の市場の伸びを客観的に知るのに非常に役立ちます。

以下は、私の地元の静岡県浜松市の人口のデータ。
(もし以下の画像が小さいようでしたら、是非エクセルファイルをダウンロードしてそちらでご覧下さい。)

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2015年当時の浜松市の人口は80万人弱のようです。
以下は、その浜松市のデータを家族構成別に見たものになります。

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「夫婦と子供から成る世帯」が88,409世帯なのに対し、「女親と子供から成る世帯」は21,773世帯
私はこの結果をみて、シングルマザーの世帯って思ったより多いなぁと感じました。
下の方に目を移すと、熱海市は他の地域と比べて高齢の単身世帯が多い、といったこともわかります。

エクセルを開いて分析 - 全国の市町村の人口増減を見てみる

次に、全国の市区町村の人口推移を見てみましょう。
ダウンロードしたエクセルファイルには親切なことにデータをソートするボタンが付けられていますので、「平成22年〜27年の人口増減率」でソートしてみましょう。

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上の方に、人口増減率 -100% 、すなわち、平成22年から27年の5年で住民が全員いなくなってしまった町村が並んでいます。
福島県の富岡町大熊町双葉町浪江町
また、同じく福島県の飯舘村(-99.3%)、葛尾(かつらお)村(-98.8%)、楢葉(ならは)町(-87.3%)も大幅な人口減。
はい、これらは東日本大震災の原発事故の影響を受けた町村です。

ニュースなどで知ってはいることなのですが、こうしてデータで見ると改めてその被害の大きさがわかります。
少しずつ復興が進んでいるようではありますが、何か継続して支援できるといいなと思います。

2021年春の一大事
https://www.momoclo.net/haruichidaiji2021/

逆に、人口が増えているところも見ておきましょう。
人口増減率を逆にソートすれば結果を見ることができます。

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東京とか大阪の都市部にはさまれて、福岡県の新宮町が目立ちます。
調べてみると、2010年に新宮中央駅という新駅が開業したこともあり、福岡で働く人のベッドタウンとして人口流入がおきているようです。
(新宮中央駅から博多駅までは電車で30分くらいとのこと)

新宮町 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%AE%AE%E7%94%BA

このように、データから色々な角度で見ることでその土地の特性がわかってきます
中小企業さんからなにか支援の依頼をうけたら、まずこのようなデータをあたってみることでその土地にはどのようなお客さんが多いのか調べてみるのも良いと思いますし、
新宮町のような場所ではどのようなビジネスが成功しそうか、などと考えてみるのもおもしろいと思います。

次回に向けて: より詳細な商圏データを取得してみる

今回は市区町村がデータ取得の最小単位でしたが、実際の中小企業支援においてはもっと細かい商圏データが必要になることがあります。
次回は、そのようなより狭い範囲でのデータを e-Stat を使って取得してみたいと思います。

まとめ。

(1) e-Stat を使うと、過去の国勢調査のデータを無料でダウンロードすることができます。

(2) 国勢調査のデータをみることで、市区町村の人口増減や、年代別の人口比率、家族構成、などを調べることができます。

(3) 中小企業の経営支援や補助金申請を行う場合、まずその会社が商売を行っている市区町村の様子をこうしたデータから眺めてみて、どのような特性をもっているのか調べてみるのが良いと思います。

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(ここに書かれている内容はいずれも筆者の経験に基づくものではありますが、特定の会社・組織・個人を指しているものではありません。)

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