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#027 本日、「中小企業診断士登録申請書」を提出しました

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こんにちは。中小企業診断士見習いの多田と申します。

本日(2019年9月2日)、第3回目の実務補習を無事に終了し、経済産業大臣宛に「中小企業診断士登録申請書」を提出させていただきました。
順調にいけば、1ヶ月以内には診断士として登録され、官報に登録の事実が掲載されるはずです。

思い返せば、この資格を目指そうと思ったのがちょうど2年ほど前、2017年の夏ごろでした。
その年の春、それまで取り組んでいたプロジェクトが消滅し、東京から浜松に転勤になり、会社での目標を見失いかけていた頃、「本当に自分がやりたいことは何なのか」を考えて出した答えが、この資格の取得と、社外での新しいチャレンジでした。

その後自分なりに必死に勉強し、運良く試験にストレートで合格、その後多くの方々からいただいたご指導や励ましに支えられて現在があります。
志を同じくする仲間(と勝手に呼ばせていただきます)との多くの出会いもありました。

今回は、この記念の日に、あらためてこの2年間の振り返りと、今後やりたいことについて記録しておきたいと思います。

中小企業診断士になろうと思ったきっかけ

2014年から3年ほど、東京(渋谷)にオフィスを構え、自社の未来のビジネスを考えるというミッションで仕事をさせて頂きました。
その間、多くのスタートアップの方々と会話させて頂いたり、一緒に何かを作り上げる経験をさせて頂いたりしたのですが、
当時ご一緒させて頂いた方々がお持ちだった、明確なビジョン、意志決定のスピード、世の中に価値を生み出す事への強烈なコミットメントに、とても刺激を受け、またとてもうらやましく思いました。
自社・他社問わず、大企業からそうしたスタートアップに転職していった方々にも多く出会いました。

一方で、私個人としては、そういった世界に飛び込む勇気も能力も無いことを実感しました。

今後、世の中に新しい価値を提供していく、すなわち、イノベーション(特に破壊的イノベーション)を起こすことができるのは、やはり中小企業が中心になっていくだろうと思います。
それは、意志決定のプロセス一つをとってみても明らかです。

#002 シリコンバレーに学ぶ、中小企業の優位性|多田幸生(中小企業診断士H30合格)|note
https://note.mu/yukio_tada/n/n72d53542c490

浜松に転勤した後、こうした状況や自分の将来に想いをめぐらせているうちに、この「中小企業診断士」という資格の存在を知ります。
今となっては正確なきっかけは忘れてしまいましたが、最初は Facebook のターゲティング広告あたりの些細な入口だったと思います。

この資格について調べていくうちに、ゆっくりと、しかし強烈に興味を惹かれていきました。この資格を目指すことで、その頃自分が抱えていた悩みがすべて解決しそうに思えるくらいに感じました。

・中小企業やスタートアップには、想いはあっても経営に関する知識・経験が無く苦労している人が多い。こういう人たちの力になりたい。
・大企業に勤めるサラリーマンには、自分の能力を活かして社外で活躍したいという想いがあるのに、起業の仕方がわからずにくすぶっている人が多い。こういう人たちの力になりたい。
・とても難しい試験である、というところが、逆にとても魅力的に思える。この試験に勝ち抜くことで、もう一度自分の力を試してみたい。
・現在の会社ではもうこれ以上の評価は期待できず、収入が増えることもないだろう。定年後の自分の居場所を見つけるためにも、今のうちに社外でどれくらい活躍できるか確認しておきたい。

こうした想いがあって、中小企業診断士の資格取得に向けて動き始めました。

資格取得までの2年間

診断士の試験は、1次試験・2次試験、の2つの試験からなります。
それぞれ年に1度、1次試験は8月上旬、2次試験は10月下旬に行われます。

中小企業診断士資格取得を目指す方に中小企業診断士試験のご案内です
https://www.j-smeca.jp/contents/007_shiken.html

それぞれ合格率は20%程度、単純計算で両方の試験を突破して診断士になれるのは、20% x 20% = 4% 程度と言われています。
実際、私が受験した平成30年の診断士試験は、申込者数20,116人、合格者数905人、合格率にすると4.5%くらいになる計算です。

中小企業診断士試験 申込者数・合格率等の推移
https://www.j-smeca.jp/attach/test/suii_moushikomisha.pdf

1次試験は、全7科目(「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」)のマークシート方式。幅広い知識が要求されます。

「企業経営理論」「運営管理」「経営情報システム」あたりは、これまでの実務や社内研修で得てきた知識が役に立ちました。
「経営法務」は、この年は特に難化したようでしたが、この年初めて出題された英文の契約書を読み解く問題などは、割と得意な分野で得点源にすることができたのはラッキーでした。
「財務・会計」は全くの素人で、仕訳などの基本的なところから勉強しました。また、「中小企業経営・政策」は数値の暗記などが必要で、暗記が苦手な身としてはとてもきつかったです。

2次試験は実際のコンサル業務のシミュレーションです。事例企業を読んで、その会社の問題と課題を明確にし、施策を提言します。
2次試験の直前期には、朝出社前に1時間かけて過去問を解き、帰宅後に4時間くらいかけて自分の回答を見直す、というのを20事例ほどやりました。

この時期の勉強は、大変でしたが同時にすごく楽しかったです。自分の回答を模範解答や他の受験生の回答と見比べることで、自分以外のコンサルの方々の考え方を擬似的に知ることができました。
この時に身につけた、客観的・多面的な物の見方、フレームワークをどのように実際の業務にあてはめるのか、は、今でもとても役に立っています。

ちなみに、これら過去問題は以下のページにありますので、もしご興味のある方は覗いてみて下さい。

中小企業診断士試験問題
https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

1次試験・2次試験に合格したあとは、「実務補習」への参加が待っています。
5人ほどの実務補習生(2次試験合格者)でチームを組み、診断先の企業を実際に訪問して社長さんに経営課題のヒアリングを行った後、1週間ほどかけて報告書を作成、再び診断先を訪問して社長さんに提言を行います。
ここでは、実際の中小企業の状況や現実を知ると共に、診断にあたっての心構えや考え方など、診断士として大切なことを指導の先生から教わることができました。
また、同じチームになったメンバーとの横の繋がりができたことも非常に大きかったです。メンバーの中には実際に中小企業を経営していらっしゃる方や、政策系金融機関で働いていらっしゃる方もいて、そうした普段お付き合いの薄い方々とのつながりもとても貴重だと思います。

受験勉強を始めたときは、本当に自分がこの資格を取れるのか半信半疑ではありましたが、今振り返ってみればあっという間の2年間でした。

今後やっていきたいこと

当面は無料の案件をお手伝いするなどから初めて、徐々に経験を積んでいこうかと思っていますが、いずれは以下のような事をやっていきたいと思っています。

(1) 中小企業のイノベーション支援

上にも書いたとおり、これから世の中に新しい価値を提供していくのは、スタートアップを中心とした中小企業がメインになってくると思います。
自分自身、これまで世の中に無かったモノやコトを創り出すことが大好きですので、そうした企業をサポートするような活動を行って行きたいと思っています。

(2) 創業支援

日本の大企業には、自分のやりたいことがあり、それを社会に実装していく技術も持っているにもかかわらず、どうやって事業にしたら良いかがわからずに悶々としている方が多くいらっしゃいます。
こうした方々をサポートするのは、日本をもっと元気にするためにも非常に重要だと思っています。大企業のエンジニアが、本業をやりながら副業として起業するのを支援していきたいです。

また、実際にスタートアップを起業した方でも、実際に事業を進めていく上での課題やリスクをきちんと認識できておらず、上手くローンチできていない場合もあるようです。
(以下はちょっと極端な例かもしれませんが…)

「従業員は全員やめ私一人になりました」猫さん用のIoTトイレを開発するスタートアップのプレゼンがハードすぎた - Togetter
https://togetter.com/li/1290992

こうした方々のお力にもなれるのでは、と思っています。

(3) 日本の伝統を守る

私は、いわゆる「職人さん」と呼ばれる方々に憧れがあります。
たとえば私も日常的に使用しているメガネ。鯖江で丁寧に手作業で作られているセルロイドのフレームなどは、すごくかっこいいと思います。

眼鏡職人群像 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=jMJrZjyJa8c

また、私が今暮らしている浜松にも、素晴らしい職人の技術が活かされた製品が作られていたりします。

浜松注染そめ職人|二橋染工場 | ニッポン手仕事図鑑
https://nippon-teshigoto.jp/local/shizuoka/nihashi

こうした技術や製品は、効率やコストパフォーマンスだけを追い求めると、どうしても後世に残していくのは難しいかもしれません。
しかし、事業ドメインを適切に設定し、戦略を工夫することで、独自のポジションで成長することは十分可能なのでは無いかと思っています。

また、中小企業においては、事業自体は黒字なのに承継の問題で廃業するところも増えています。
後継者探しも取り組むべき重要な課題だと思います。

後継者不足を打開する「ベンチャー型事業承継」が誕生—— freee、マクアケが支援 | BUSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-170065

(4) 地方を守る

今後、日本の人口は急激に減少していくことが予想されているのは周知の通りです。
消滅可能性都市、という言葉も最近よく聞かれるようになってきました。

消滅可能性都市(ショウメツカノウセイトシ)とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E6%B6%88%E6%BB%85%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E9%83%BD%E5%B8%82-1813101

上の職人さんの話にも関係しますが、地方にはまだまだ面白いところがたくさんあります。地方にしかできない工夫・挑戦をすることで、新しい価値を産めるのではないかと思っています。
例えば、以下の「ドローン特区」などの取組はとても面白そうです。

ドローン特区とは?国家戦略で全国に広がるドローン技術の活用を解説 - ミツモ
https://meetsmore.com/services/drone-aerial-photographers/media/18867

中小企業によるイノベーションの可能性

現在、国のレベルで、中小企業のイノベーションや新規事業創出をサポートするような施策が多く打ち出されています。

新事業創出|中小機構 https://www.smrj.go.jp/sme/new_business/index.html
販路開拓|中小機構 https://www.smrj.go.jp/sme/market/index.html
融資制度一覧から探す|日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/index.html#sme

自分はこれまで、いわゆる大企業の中で新規事業・新規ビジネスに関わってきました。
運良く年間数百億円の規模まで行ったもの、粘りに粘って年間数十億円を継続して稼げるようになったもの、全然うまくいかなくて市場にすら出なかったもの、いろいろありますが、最近に限っては、ここ10年程まったく何も出せていないのが現状です。

理由はいろいろあるのですが、一番大きいのは、これまで新規事業に携わったことのない方々が新規事業への投資に対して意志決定するようになってきた、という事があるように思います。
大企業の場合は資金を外部から調達することはあり得ないため、社内の意志決定者の裁量がそのまま新規事業の成否に繋がってしまいます。最近は100万円の開発経費すら稟議を通すのが厳しい状況です。
他社の新規事業担当者の方々とも会話することが多いですが、こうした傾向は、日本の大企業に共通する課題のように感じています。

一方、中小企業に限ってみると、政府からの補助金だったり、融資制度だったり、ベンチャー投資だったり、販路開拓支援だったり、大きな金額では無い場合も含めて様々な資金調達方法が用意されています。
例えば「小規模事業者持続化補助金」。小規模事業者限定ですが、Web サイトを立ち上げたり Web 広告を出すのにとても使いやすい補助金のように感じます。

中小企業庁:平成30年度第二次補正予算「小規模事業者持続化補助金事業」(商工会議所地区分)の公募が開始されました
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/2019/190425jizoku.htm

そして、何より、こうした諸々の補助金申請のプロセスが、オープンな環境で行われているところが大切だと思います。
大企業だと予算配分の理由が公開されていないことが多いため、成功・失敗にかかわらず、組織内に過去のノウハウがたまらない状況になりがちです。

これからは、オープンな環境の中で競争している中小企業が日本のイノベーションを支えていくと思います。

世の中に新しい価値を生み出したい、そのために頑張っている人のお手伝いをしたい

最後に、私が診断士を目指していく中で、最も心に刺さった文章をご紹介したいと思います。
まだお会いしたことはないのですが、名古屋でコンサルティング事務所を開設しておられる方のブログからの引用になります。

なぜこの仕事をしているのか
https://raymac.jp/business/why/


もともと涙腺が弱いボクだが、必ず涙を浮かべてしまう瞬間がある。それは、「頑張っている人」を見た時だ。老若男女問わず、今、現場で頑張っている人を見ると、何故か涙が出る。サラリーマン時代から、頑張りたいけど、頑張る方法が分からず、悶々としていた自分と重ね合わせているのかもしれない。


たぶん、ボクは、頑張っている人が好きなんだと思う。だから頑張っている人、頑張りたいけど頑張り方が分からない人に、アドバイスをするコンサルティングの仕事に惹かれるのだと思う。

まとめ。

(1) 本日「中小企業診断士登録申請書」を提出しました。
(2) これから、世の中に新しい価値を提供するのは、中小企業が中心になっていくと予想しています。
(3) 想いをもって日々一生懸命頑張っている方々をサポートしたり、背中を押してあげられるような診断士になりたいと思います。

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(ここに書かれている内容はいずれも筆者の経験に基づくものではありますが、特定の会社・組織・個人を指しているものではありません。)

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