【準備編第2話】ボヘミアン・ラプソディにみる実存的不安

年末年始の長期休暇をどのように過ごされましたか?

我が家では,この8年間の間に6回目となる年越しスキー合宿へ行ってきました。

行く直前まで雪はなく,そして,次男の右足首骨折の治りが遅い。

地元のかかりつけの医者からは,「もうあと一週間は,安静に」という慎重な診断。普通の感覚であれば,「無理かなぁ。やめておこうか」と,絶望視するところです。

それでも,妻は,知人の紹介を手繰り寄せ,石川遼も通ったというスポーツ整体へ息子を連れていき,逆境を覆したのでした。

最後の最後まで粘りきった妻の望みが叶い,寒波も訪れ,十分な量と良質の雪に恵まれたのでした。

では,話題の映画「ボヘミアン・ラプソディ」からの気づきを綴ります。

■パッキー

出っ歯,移民の子,そして,仕事は空港での荷物仕分け”パッキー”というあだな

出っ歯×パキスタン×パッカー

と,容姿,出生,仕事の3つのさげすみをかけ合わせたかのようです。

■デコッパチ

額の傷跡から,”デコッパチ”とあだなされた幼少の頃の自分が思い出されました。

そして,出っ歯ですきっ歯をやゆされて,


”デッパー”

とでも呼ばれていたらどんな気持ちだったろうかと。

デコッパチ×出っ歯×すきっ歯

容姿の蔑み三連発は,きついだろうな…

■ダイバーシティ

ボヘミアン・ラプソディは,クイーンのボーカル,フレディ・マーキュリーの生涯を描いた作品です。

実際にはペルシャ系インド人(パーシー)なのですが,パッキー(パキスタン人の蔑称)と呼ばれ罵られて過ごします。

・出っ歯のインド人という外見と自らの美意識とのズレ
・パーシーとしての伝統を護ろうとする父親との対立
・インテリで安定した家庭を営む他のバンド・メンバーとの意識差
・セクシャリティの問題
そして,
・AIDS

容姿,価値観,人種,性的嗜好,そして,不治の病
四半世紀が過ぎた今,ダイバーシティの文脈のなかっで語られる,おおよそすべての要素が満載です。

■実存的不安

社会が標準とする型からも,伝統や慣習を重んじる父親の期待からも,自分の理想からも,大きくかけ離れている自分。

(現代社会は)これまでどの文化も直面したことのないほど大きな実存的不安に苛まれている

と,ハラリが 著書 「ホモ・デウス」 の中で主張した【実存的不安】です。

「私はなにものなのか?」
「死が 不可避である」ことに対する不安
「自分の人生には意味がない」 という経験に関連する不安
そして,
「人間は所詮一人である」という根本的な孤独感

主人公フレディだけの問題ではなく,全人類が問われているからこそ,これだけのヒット,世代も国も超えた共感につながっているのではないかと思えてなりません。

■どうすれば救われるのか?

実存的不安にさいなまれたマーキュリーは,酒やドラックに溺れます。
これは,いわば,生化学的に幸福をコントロールするアプローチ(図)

図.幸福に対するアプローチ

出典: 「ホモ・デウス」ユヴァル・ノア・ハラリ

一回快楽を経験してもすぐにまたそれを渇望してしまうのが人間だ。
ならば,薬物投与や,脳の適切な箇所に電気的な刺激を直接与えたり,胃炎情報を遺伝子工学で操作することで生化学的に幸福をコントロールすればよいではないか。
というアプローチ

果たして,酒やドラックといった薬物投与によってフレディは救済されるのでしょうか?

■ラーニングコミュニティの可能性

ラーニングコミュニティがめざすのは,この実存的不安から脱し,先の見えないVUCAの時代を生き抜く力をつけることです。

アドラー心理学が提唱する「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」を満たす場を提供し,メンバーひとりひとりが実践でチャレンジした経験を振り返り,学び,お互いに勇気づけ合いながら,トライ&ラーニングを繰り返すことで,自己変容を遂げてゆきます。

まとめ
・映画「ボヘミアン・ラプソディ」で描かれているのは,ダイバシティが進んだ現代社会における実存的不安
・酒やドラックといった生化学的な幸福へのアプローチでは解決できない問題
ラーニングコミュニティに,解決の可能性を見出す

編集後記

・ダイバシティ(マイノリティ)×音楽 という掛け合わせとしてみると,この「ボヘミアン・ラプソディ」は「グレイテスト・ショーマン」と類似しています。
 実験的な曲の作り方や観衆を演者に見立てたライブでの演出など,イノベーションの要素も多分に含んでいるというところも,ダイバーシティこそイノベーションの源泉となることと重ね合わせると,とても興味深いところです。

・2018年の「年間映画興行収入ランキング」(末尾)を見てみると,11月と年の後半に公開されたにもかかわらず,「ボヘミアン・ラプソディ」はすでに5位のボジションを占めており,人気のほどが見と取れます。

・このマガジンでは,【実存的不安】【孤立不安】が最大の社会課題であると想定し,【ラーニングコミュニティ】の可能性を仮説として,実験・検証の場として,自らの経験,本や記事で収集した情報から,感じたこと,考えたことを綴っていきたいと思います。
 私の頭の中でモヤっと湧いた構想を,ひとつひとつ言語化することで具体化させ,実現させていく軌跡です。

■2018年「年間映画興行収入ランキング」
1位(92億円) 劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-2018/07/27公開
2位(91億円) 名探偵コナン ゼロの執行人 2018/04/13
3位(80億円) ジュラシック・ワールド 炎の王国 2018/07/13
4位(75億円) スター・ウォーズ 最後のジェダイ 2017/12/15
5位(64億円) ボヘミアン・ラプソディ 2018/11/09
6位(53億円) 映画ドラえもん のび太の宝島 2018/03/03
7位(52億円) グレイテスト・ショーマン 2018/02/16
8位(49億円) リメンバー・ミー 2018/03/16
9位(48億円) インクレディブル・ファミリー 2018/08/01
10位(46億円) ミッション:インポッシブル フォールアウト 2018/08/03

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藤原幸生

ラーニング・コミュニティーの軌跡

積年の思いを実行すべく,今年こそは,【キャリア自律】をテーマとしたワークショップを開催したい❤ 背景にあるのは,VUCAと呼ばれる先の読めない時代にあって,【孤立不安】と【実存的不安】が社会問題としてますます深刻になるであろうこと。 そのための【ラーニング・コミュニティ...
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