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映画ほど素敵な世界はない

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映画がなかったら、生活はどんなに味気ないものになるだろう。家にいたまま夢の世界を見せてくれる情報技術に乾杯!
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#アンドレイタルコフスキイ

映画は終わりが肝心(2)「惑星ソラリス」

「惑星ソラリス」は、私が最初に見たタルコフスキイの映画だ。  1970年代の末だったか、80年代の初めだったか、夏を過ごしていた札幌で、小さな映画館で見た(制作は72年。日本公開は77年)。  駅に映画のポスターが貼ってあったので、興味をひかれて、見に行った。タルコフスキイが誰なのかまったく知らず、SF映画らしいというだけの理由で見た。  途中から入ったので、最初から4分の1くらいは見ていない。タルコフスキイの映画は日本ではめったに上映されないので、全編を何度も見られるように

タルコフスキイの「鏡」の謎に挑戦する

 アンドレイ・タルコフスキーの作品はどれも難解で、そのため彼は「人を眠らせる天才」と言われる。とりわけ難解なのが、1975年の作品「鏡」だ。  私も、何度も見たが、意味がさっぱり分からない。いまに至るまで分からない。  しかし、何回か見るうちに、分からなくてもよいことに気がついた。彼が描く幻想的な世界に浸りきればよいのだ。  「鏡」には、ストーリーらしきものが、ないわけではない。主人公アレクセイは、生き甲斐のある生活を送っているようには見えない男だ。現実の出来事との関連で、少