見出し画像

電車が止まるは仕方がないが、せめて知りたや運行情報(その2)

新幹線が大混乱した日
 悪天候で新幹線が大幅に遅れるのは、時々あることだ。幸いなことに、私はこれまで、そうした事態に出逢うことはなかった。ところが、先日、そうした事態に巻き込まれた。
 すでに午前中から遅れが発生していたので、予定より早い電車に変更しようとして、早めに出かけた。
 発車時刻の1時間以上前に東京駅についたのだが、予約したのより前の電車の指定席は、すでに一杯で、変更はできず。

 そこで、予約の電車で行くことにした。しかし、発車まではまだ大分時間がある。そこで時間をつぶしてから、改札を入ろうとしたら、掲示板に表示がない
 他の電車は予定通りの発車になっているのだが、私が予約していた便は見当たらないのだ。
 不思議に思って駅員に尋ねたところ、平然と「運休です」との答え。
 私はうかつにも、運転取りやめは、ある時間帯の全便について行われるものだと思っていた。1部の便だけが間引き的に運休になるということを知らなかった。
 掲示板には運休になった列車を表示した上で、その便が運休である旨を明示すべきだろう。それなら気が付く。ところが、そうではなく、ただ表示から落としてあるだけなのだ。これではわからない。
 駅のアナウンスでは注意があったのかもしれないが、私には聞こえなかった。

 指定席が既に満席になっていることから考えても、自由席車両は恐ろしい混雑だろう。
 そこで、予約を取り直そうと、急いでみどりの窓口に戻ったところ、大変な行列。30分以上並んで、やっと窓口に辿りつき、結局、元の予約の30分後の電車がとれた。

 駅のアナウンスを今度は注意して聞いていると、「列車が渋滞している。 途中で運休となるかもしれない
 要するに、現在の運行状況はよく分からないというのだ。
 知りたいのは、どれほど遅れるかという見積もりだ。駅員に聞こうとしたのだが、アナウンス以上にはっきりした答えが返ってくるとは思えない。そこで、運を天に任せて乗車。

持っている情報をなぜ知らせてくれないのか
 発車後に品川を過ぎてから車内アナウンスがあった。「名古屋まではいく。しかし、その後はわからない」。
 なんと!これでは用事に間に合わない。このまま乗って行っても無駄になる。
 大幅な遅れが分かっているなら、なぜ乗る前に教えてくれないのか?教えてくれれば、行っても無駄と分かるから乗車しない。
 用事は、もちろんキャンセルしたくない。しかし、間に合わないことが明らかなら、諦めざるをえない。
 いったん乗ってしまってからでは、用事に間に合わないだけでなく、さらにつぎの2つの問題が生じる。
 まず、目的地までたどり着くのが大変だ。動かない新幹線に閉じ込められてしまうのは悪夢だ。
 さらに、仮に途中で降りられて戻るとしても、上り電車は大混雑に違いない。指定席の予約は取れないから、すしずめの自由席車輛で立ったまま帰ることになる。

 悪天候のために運行できないというのは、止むをえないことだ。しかし、その事態に乗客が対応するための情報を、出来るだけ詳しく伝えてくれないものだろうか?情報があれば、対策が取れる。事態が分からずに放り出されるのが一番困る。
 要するに利用者の視点がないのだ。ついでに言えば、英語の案内は皆無だった。英語のアナウンスは定型的なものしかなく、遅れのような緊急事態への対応はできないのだ。しかし、これで観光立国ができるだろうか?

「サイバーステーション」の実力
 暫くしてから分かったことだが、「新幹線運行状況」というウエブサイトがあり、そこにはお知らせが掲示されている。スマートフォンで見ると、運休と運行状況に関する情報がのっている。
 ただし、個別の電車についての情報はない、東海道新幹線全般について、「走行中の列車 50分~160分程度の遅れ」とあるだけだ。
 これでは状況がつかめない。だから、役に立たない。車内アナウンスではもっと詳しい情報を言っているのに、なぜそれが掲載されないのだろう?

 そう思っていたら、ページの下の方に、「JRサイバーステーション(新幹線運転状況等)をご覧ください」と書いてあるのを見つけた。
 「サイバーとはすばらしい!」 
 これなら個別列車の細かい状況が分かるだろう。
 しかし、「新幹線運行状況」のページからはリンクしていない。しかも、URLをコピーすることもできない。たいへん不便だ。
 苦労してやっとアクセスすると、 繋がらない。混んでいるからだろう。しかし、混んでいるのは、皆が知りたがっているからだ。こうした時に繋がらないのでは、役に立たない。
 何度かやった後にやっと繋がったら、「ご希望の列車は情報をご案内できません」と出た!

ツイッターの方がよく分かるのでは、おかしいのでは?
 そのあとになって分かったのは、ツイッターを見るのが、一番状況がよくつかめるということだ。「駅の直前でとまった」とか、「1時間動かない」とかいったことが書いてある。
 多くの人は、「サイバーステーション」などは見ずに、最初からツイッターを見ているに違いない。私が知らなかっただけのことだ。

 そこで思ったのだが、それなら、いっそのこと、乗務員がツイートしてくれれば、もっと良いのではないだろうか?

 いやいや、そんなことはない。その前に思い出すべきことがある。新幹線は、世界最先端の走行管理システムを持っているのではなかったか?電車の運行状況は、極めて正確に、中央の指令室で把握し、集中管理しているのではなかったか?
 なぜその情報がJRの内部のみで使われ、利用者に伝わらないのだろう?


小言幸兵衛の日記(目次)

ホーム

メタ・ナビゲーション(野口悠紀雄のnoteの総目次)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?