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「超」AI整理法 無限にためて瞬時に引き出す(第1章の2)

2.人間の処理能力を超える情報量

◇なぜ情報が爆発的に増えているのか?
1で見たように、人間とコンピュータの距離が縮まり、その結果、コンピュータを誰でも簡単に使えるようになりました。
その結果、個人が持つ情報の爆発的増大という事態が生じています。
まず第1は、音声入力で作成したテキストデータです。
音声入力によって、従来よりは10倍くらいのスピードで書くことができるようになりました。しかも、いつでもどこでも入力することができます。そしてそれを、クラウドにいくらでも保存しておくことができます。こうして、メモを始めとして、文章の量が飛躍的に増大します。これまでのような文書管理を続けていると、データがたまりすぎて、手に負えなくなります。
画像データも増えています。写真を撮って保存するコストが急速に低下しているので、メモのために大量の写真を撮るようになったからです。
フィルム写真の時代には、いつでもカメラを持ち歩いているわけではありませんでした。そして、フィルム代や、現像代やプリント代がかかりました。そのうえ、保存するのに場所の制限がありました。したがって、写真を撮るのは、運動会、遠足、旅行などの特別な場合に限られていたのです。
ところが、いまでは、写真を撮ることが著しく容易になりました。重くてかさばるカメラを持ち歩くのでなく、いつも携帯しているスマートフォンで簡単に写真を撮れるようになりました。
このため、新聞記事も名刺も駅の時刻表も写真に撮る、紙に書いたメモも写真に撮る、といったことになりました。記録に残しておきたいことは何でも、その場で写真に撮るようになったのです。
しかし、つい最近までは、撮った写真を無制限に保存できるわけではなかったので、写真をいくらでも撮るということはありませんでした。ところが、グーグルが提供するグーグルフォトというサービスが、無料で事実上無限量の写真を保存してくれるようになりました。これによって、保存容量の制約が事実上なくなりました。このため、コストや容量を意識することなしに写真を撮れるようになったのです。これは、写真に関してこれまでわれわれが持っていた考えを、根底から覆すものです。
こうして、写真の整理システムを構築することが、重要な課題になりました。写真を撮ること自体は誰にもできる簡単な作業ですが、問題は、「大量の写真をどのようにして管理したらよいか」というシステム作りのノウハウになったのです。

◇大量の情報に呑み込まれて有効利用できない
われわれは、あまりに大量の写真を抱えるようになったために、見たい写真を見いだすのが困難になってきています。
写真は、テキストデータとは、つぎの点で違います。
第1に、自分が作成するテキストは、それほど量が多いわけではありません。ところが、写真はシャッターを押すだけで撮れるので、あっという間に量が増えてしまいます。
第2に、多くのテキスト資料は、時間が経つと内容が陳腐化して価値が落ちます。そこで、時間順に置けば、陳腐化したものが押し出されていきます(第2章の1で述べる「押し出しファイリング」)。ところが、写真について面倒なのは、古い写真に価値がないわけでなく、記念写真の類いは、むしろ古いものの価値が高いことです。
第3に、テキストの場合は、一度編集したものは、自動的にトップに送られます。これによって、ある種の秩序を自動的に作ることができます。ところが、写真ではこれができません。
第4に、テキストでは、検索を使えます。キーワード検索をすれば、そして、文書が検索可能な状態になっていれば、保存した文書の中から目的のものを見いだすことは、比較的容易です。ところが、写真については、こうした方法が使えません。
グーグルフォトでは、画像認識機能を用いて人間の顔などを判別し、似た人をアルバムにまとめるというサービスを提供していますが、現状での機能は、とても満足できるものではありません。
写真にしてもテキストデータにしても、情報の整理ばかりやっているわけにはいきません。他にやるべきことが山ほどあります。
いまや人間は、自分で管理できないほど大量の情報を抱えるようになりました。大量の情報を生産したものの、それを有効に利用できないという皮肉な結果に陥っています。結局のところ、われわれは、自分が作り出した情報に呑み込まれようとしています。豊穣の中の貧困です。
こうした状態にどのように対処したらよいでしょうか?
第3章で、そのための具体的な提案を行います。それに先立ち、基本的な考え方について述べておきましょう。



・「超」AI整理法(note版)目次



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動画説明は書籍版と別のものです。写真は、書籍版にないものも掲載しています。書籍版への追加は、随時、更新する予定です。

『「超」AI整理法』(KADOKAWA、2019年6月)のnote版です。本文は基本的に書籍版と同一ですが、「超」メモ帳とアイディア製造工…

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