ペロー、「眠りの森の美女」(その2)

 これは、ギュスターヴ・ドレ(フランスの画家。1832年~1883年)の挿絵入りの『ペロー童話集』です。この本で、「眠りの森の美女」を見ることにしましょう。

「眠りの森の美女」は、最初に出てきます。「昔々あるところに・・・」というお馴染みの出だしで。

 王女が100年の眠りにつき、城の人々がすべて眠ってしまったにもかかわらず、誰もそこに入れなかったのは、上の絵のように城が山奥にあり、しかも深い森に覆われてしまったからです。

森を通り抜け、城に近づく王子。

 さらに城に近づくと、すべての人が眠っています。

  王女の寝室。100年も経ったので、蜘蛛が巣をはっています。

 ついに眠れる美女を発見!

 1960年代、当時のソ連が国力をあげて作ったバレエ映画「眠りの森の美女」。オーロラを演じるのは、アーラ・シゾーワ。

 こちらは、現代のマリンスキー劇場による「眠りの森の美女」。クリスチーナ・シャプランがリラの精を踊っています。

 ペローの童話の最後には、必ずMoral(教訓)というものがあります。この物語の末尾にも「教訓」があるのですが、妙な教訓です。
 「女の子が100年もの間待っていたというのですが、私はそんな女性に会ったことがありません。いらいらすることもなく、恐れることもなく、100年の間待つなんて、そんなことができるでしょうか?」と、のっけから、物語の筋そのものを否定してしまいます。そして、
 「お伽話によれば、遅れたほうがよくなるというのですが、本当でしょうか?」と言い、
 「偉い先生方は『待つのが賢いのだ』と言いますが、信じられませんね」
 「若い人には、とても我慢できないでしょう」
と言う始末。

 率直というか、投げやりというか・・・。
 物語の筋(女王が人食い女で、孫を食べようとした)も随分滅茶苦茶ですが、教訓も滅茶苦茶です。

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野口悠紀雄

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