本__2_

ついにたどり着いた名刺の「超」整理法

2019年1月5日重要な追記事項があります。このnoteの最後をご覧ください。
 ここで述べている方法は、極めて簡単に実行できるため、一見すると手抜きのずさんな方法に思われるかもしれませんが、実はそうではなく、名刺情報の特殊性を考慮すれば、平均的に見て最も効率的な方法であることを説明しています。

                ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 「名刺のデータ化機能は使えるか? において、名刺情報の整理には難しい問題があると指摘しました。現在のグーグルレンズのデータ抽出能力が完全でないこと(成功率は50%未満)がまず問題なのですが、仮にそれが解決されたとしても問題が残ります。
 「名刺のデータ化機能は使えるか?」 で指摘したのは、名簿が大きくなると、必要な人を見いだしにくくなることと、誤発信の問題です。 名簿に多くの人が含まれていることは、必ずしも良いことではないのです。重要な人が見いだしやすい形で 入っているようなシステムが望ましいのです。
 実は、問題はそれだけではありません

名刺情報は急速に陳腐化する
 『「超」整理法』(1993年、中公新書)において、私は、次の問題を指摘しました。
 第1は、名刺情報は急速に陳腐化するということです。
 『「超」整理法』では、これについて、つぎのように言っています(「パソコン通信」とか「NTTエンジェルライン」などという懐かしい名前が登場します)。

 ”名刺に書かれている情報は急速に陳腐化 するため、古い名刺は役に立たないのである。 なぜ、陳腐化するか。それは、所属や肩書が変わるからである。
 日本の企業では、三年程度た てば、たいてい異動がある(官庁ではもっと短い)。名刺をもらった時点は異動直後とは限らない から、平均すれば一年半程度で名刺の情報は使えなくなってしまう(自宅住所はもっと有効期間が 長いが、普通、名刺には勤務先の情報しか書かれていない)。
  時間順方式で保存すると、古い名刺は検索しにくくなるが、それでよいのである。検索できても 役に立たないことが多いからだ。
 これは、考えてみれば当然のことだ。しかし、これも、「考えて初めて当然と分かること」で ある。実際、私自身も、ことを従来からうすうすと気づいてはいたが、明確に意識して、理由を理解したのは、比較的最近だ
 そもそも、「名刺をデータとして活用する」という考えがまちがいなのだと、私は思う。
 名刺 は、手頃な大きさに統一され、しかもカードという格納しやすい形態になっている。だから、誰しも、「これを使ってデータバンクを構築しよう」という誘惑にかられる。実際、整理法の本を 読むと、「名刺は人情報の基礎」などと書いてある。しかし、そのための努力は、ほとんど無駄 なのである。
 苦労して名刺を整理しても、一年半程度しか有効に使えないのだ。ギリシア神話に 出てくるシジフォスは、神の刑罰によって岩を山の上まで運び上げるのだが、頂上に達したとたんに岩はころげ落ち、彼は無限に同じ労苦を繰り返す。名刺整理のための努力も、これ と同じである。
 最近は名刺読み取り機が開発され、入力が 半自動的に行えるようになった。しかし、私はまったく興味がない。最初の入力時にはこれで良いかもしれないが、更新作業は 手作業で行わなければならず、そして、これはほとんど不可能だからである。
 それに、名刺は検索できなくとも致命的なことにはならない。電話番号などは、既製の名簿や 番号案内で分かるからだ(パソコン通信が使える人には、「NTTエンジェルライン」という通信ソフト が便利である)。 名刺の最大の効用は、 初対面のとき、 口頭では分かりにくい相手の名前を文字として確認でき ることにある。外国人相手の場合には、ことにそうだ。このような割切りが必要と思う。”

50音順や組織別は機能しない
 名刺情報についての第2の困難は、名簿を五十音順にしても、名前がわからない人は検索できないということです。
 そもそも名簿が必要なのは、名前がわからなくなった人を検索したい場合が多いからです。「どこの会社の人だったかは覚えているが、氏名は忘れた」という場合 が多いのです。こうした場合には、五十音の名簿を作っても、全く役に立ちません

 では、勤務先別分類を行えば検索jできるでしょうか?しかし、勤務先別分類にも、分類に伴うさまざまな問題が生じるのです。
 これについて、「超」整理法は、つぎのように言っています。

 ”特定 の官庁や企業のみが増えると、細分化が必要になる。すると、 分店に伴う在庫引継ぎ問題が生じる。逆にあまり多くないときは、産業別 などであらくくくる必要がある。ここでは、こうもり問題が発生する。 「金融機関の系列シンクタンクは、金融機関かシンクタンクか」と言った 問題だ。これらについて恣意的に分類すると、あとで検索できなくなる。
 会社名の五十音順で並べることが考えられるが、これにも問題がある。 まず、「日本」とつく社名、組織名が非常に多い
 では、「日本」を省略べきか? すると、日本銀行はどうなる? 日本生命、日本信託、日本筑空は? といった問題 が生しる。また、日本放送協会かNHKか、英国大使館かイギリス大使館か、それとも British .? Embassy、か、という問題もある。五十音順なら確実に分類できるかというと、必ずし もそうはいかないのである。 ”

名刺の管理は難しい
 「超」整理法では、”名刺整理に関しても、私は失敗の歴史を続けた。さまざまな方法を試み たが、すべて『賽の河原の石積み』であり、『シジフォスの戦い』であっ た”として、つぎのように言っています。

 ”整理法の本 には、「定期的に点検して古い名刺を処分せよ」と書いてある。しかし、勤務先別にせよ五十音 順にせよ、分類してあると、古い名刺を選別するには、いちいち点検せね ばならず、膨大な労力が必要になる。
 分類に伴う問題を解決するには、電子的なファイルにして、コンピュータで検索すればよい。 私は、パソコンを使うようになってから、アシスタントを頼み、大変な労力を使って、名刺データベースの構築を試みた。しかし、これは、みごとに失敗し、パソコンによる名刺処理は、結局 のところ、断念した。
 私の友人のある大学教授は、名刺整理を75万円の人件費をかけて 行なったが、検索したのはわずか3件で、結局1件あたり25万円 かかったことになる、と述懐していた。私の場合も似たような状況 であった。”

 では、これらの全てを解決できる「究極の名刺整理法」というのはあるのでしょうか? 最新の技術を用いて、それが可能になったと考えます。その方法を以下に提案します。

続きをみるには

残り 3,831字 / 2画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?