グーグルレンズ以外の画像認識アプリ
グーグルレンズは、識別能力も高いし、データベースも充実しているので、スマートフォン用の画像認識アプリの中で、最強のものだと言えるでしょう。
ただし、これ以外にも画像認識アプリはあります。以下では、スマートフォン用の画像認識アプリとして、グーグルレンズ以外にどんなものがあるかを紹介します。
◇文字認識
現在の段階の画像認識技術では、仕事に画像認識が使えるのは、文字認識が中心になるでしょう。
これについては、つぎのようなアプリがあります。
・Office Lens
これは、Microsoftが提供する文字認識のアプリです(無料)。Androidおよび、iOS 11.0以降に対応しています。
ドキュメントの輪郭を認識して傾き・歪みを補正したり、不要部分をトリミングしたりしてくれます。書類だけでなく、ホワイトボードなどの文字についても可能。手書きの文字も可能。
撮影された文字はOCRによって自動認識されてテキスト化されるので、検索したり、編集したりできます。このため、重要な文書や名刺をすぐに見つけることができます。
PDF、Word、PowerPoint ファイルに変換することができます。これらは、自動的に OneDrive に保存されます。
・Adobe Scan
これは、iOSでもAndroidでも利用可能なPDF スキャナです(無料)。対応OSはiOS 10.0以降、またはAndroid 5.0以降。
画面をタップしなくても、自動でトリミングしてスキャンしてくれます。
データは画面右下のサムネイルに表示されるので、これをタップして、編集画面に進みます。スキャンした画像が表示されるので、右上の「PDFを保存」をタップすると、Adobe Document Cloudに保存されます。
PDFは、共有ボタンで、icloudやグーグルドライブに格納できます。グーグルドライブなら自動的にグーグルフォトに格納されるので、「ポケット一つ原則」に従った保存が可能になります。
ただし、Adobe Scan上では、文字認識はできません。
AcrobatというPDFリーダアプリ(無料)をインストールすれば、スキャンしたPDF内のテキストが検索できます。名刺のサムネイルから「Acrobatで開く」を選ぶと、「Acrobat Reader」で表示され、名前などでキーワード検索できます。
ただし、OCR機能を使うためには、Acrobat Proを購入する必要があります。これは、かなり高価です。
どのアプリで何が可能かは、https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/3610.htmlを参照。
新機能「文書のみを表示する」は、Adobe Senseiの分析によって画像データの中から文書が写っているものだけをピックアップします。
・どれを選んだらよいかは、目的次第
以上の他にも、CamScannerやClipOCRなどのOCRアプリがあります。
どれを選んだらよいかは、目的や用途によります。
印刷物などのデータをデジタルデータにして保存するのが目的であれば、PDFで保存するのが最も便利でしょう。したがって、Adobe Scanでスキャンしていけばよいでしょう。
この目的のためには、グーグルレンズよりAdobe Scanの方が便利だと思うこともあります。グーグルレンズだと、対象の書物が曲がったり歪んだりしている場合に正確に読み取れない場合があります。こうした場合、Adobe Scanの方が正確です。グーグルレンズはいわば万能選手であり、どんなこともそつなくこなすが、特定の用途の場合には、別のアプリの方が便利な場合もあるということです。
Adobe Scanだと、今までPDFスキャナでPDFを作っていたものをスマートフォンでできるし、はるかに高速でできます。カメラが多少傾いていても、きちんとした形のPDFになります。また、1冊のファイルにまとめられるし、検索もできます。もうスキャナには戻れない感じがします。
前述のように、Acrobat Proは高価ですが、文書を扱うことを仕事としている人は、PDFを自在に扱えることが必要なので、購入する価値があるといえるでしょう。
もう一つの注意点は、テキスト化したデータを共有できるか否かです。撮影した端末に置いておくだけでは、利用価値が限られます。
音声認識ソフトの場合もそうだったのですが、グーグルが強いのは、グーグル検索、gメール、Googleドキュメントなど、自社のアプリが多数あって、シームレスなやりとりが可能なことです。特定の単語だけを認識させて検索したり、メールアドレスを認識させてメール送信画面を開く、といったシーンでは、グーグルレンズの便利さに敵うアプリはありません。
◇映像の認識
花、魚、商品、俳優などの画像認識アプリもあります。
これらは、利用できるデータベースがどの程度のものかが重要です。使ってみないと、それがよく分かりません。
ただし、最も大きなデータベースを利用できると考えられるグーグルレンズでさえ、映像についての画像認識は、不満足な状態です。例えば、バラの花を「バラ」と認識はできますが、どんな種類のバラかまでは認識できません。また、顔認識も、映画俳優の顔は認識できますが、政治家の顔でさえ十分には認識できません。
こうした状況を考えると、スマートフォン用の映像認識機能を仕事に使えるような段階には、まだなっていないと言わざるをえません。
この分野には、つぎのようなアプリがあります。なお、これらの他に、業務用の顔認識のサービスを、マイクロソフトが提供しています。
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