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途中過程を公開することは意味があるか?

◇途中過程を公開することは意味があるか
 ただし、作家ノートとの違いもあります。最大の違いは、途中過程を外に出して公開していることです。
 では、公表は意味があることでしょうか?

 ある程度まとまった段階になったアイディアは、noteの下書きのままにしておく方がよいと思われるでしょう。なぜなら、公開するにはまだ不完全であるように思われるからです。

 しかし、ノートの下書きを系統だって分類するのはかなり難しいことです。それに対して、公表してしまえば、マガジンに組み立てることもできる。
 したがってある程度不完全であっても公表する方が良いでしょう。下のスレ立てます。
 noteの優れている点は、リンクを入れられることです。これによって複雑な論理関係になっている論述をうまく構造付けることができます。

 非公開の個人メモに比べて優れている点がいくつかあります。
 第1は、アイディアを紛失しないことです。これは、明白なメリットです。
 紙にメモを書く場合は、どうしてもある程度まとまってから書こうとするため、書かないでいるうちにアイディアを忘れてしまうケースが頻発します。思いついたことをすぐに音声でテキスト化しておけば、これを防げます。
 また、紙のメモの場合には、書いたとしても散逸してしまう危険があります。ツイッターに残して置けば、探しにくくなることはあっても、紛失することは絶対にありません。

 途中段階を公表することのもう一つのメリットは、公開することによって、ある程度の強制力が働くということです。壮大なプロジェクトを持っていても、壮大であるが故に、実際の作業がなかなか進まないことがあります。途中過程を公開していれば、「進行しているところを見せなければ」という心理が働きます。

 さらに重要なのは。自分自身とのコミニュケーションです。個人的なノートやメモの場合には、それを改善、改定することはありますが、「いつか行なこう」「最終的にまとめる際にきちんとしよう」という程度のことが多いのです。
 ところが、ノートで公開したものは誰の目にもつくようになっているので、改良すべきところが見つかれば、すぐに改良し、改善したいと考えます。つまり、最終版を常に最良のものにしたいという心理的圧力が働くのです。これは、自分がコメントを加え、自分がそれに対応する過程であると見ることができるでしょう。

 あらかじめ書籍として出版することが予定されている場合には、編集者の方々との間で、公表されたものを通じてディスカッションを継続的に行なうことが可能です。
 なおnoteには、下書き共有という機能があります。これを用いれば、公表するまでに熟していない段階のアイディアをグループで共有できるため、うまく使えば、大いに可能性のある道具です。
 実は、「AIの目を駆使する超仕事法」の作成にあたっては、このようなディスカッションを頻繁に行ないました。

◇SNSは利用するものであって、振り回されものではない
 以上のようなSNSの使い方は、普通の人のSNSの使い方とは大きく違います。
 SNSは、一般には人と人とのつながりを作るためのものだと考えられています。しかし、上で述べたのは、相互のコミニケーションと言うよりは、むしろ私の一方的な都合で利用している面の方が強いのです。
 SNSの使い方にはさまざまなものがあってよいでしょう。相互のコミニケーションを目的としない使い方もありうると思います。
 SNSとは、利用するものであって、振り回されものではないと、私は考えています。

 反応が見られることがSNSの大きな意味だというのが 普通の考えでしょう。ただし、これにはプラスマイナス両方の意味があります。

 まず、「いいね」の数によって、書いたテーマがどの程度の関心を集めるものかが分かります。
 ゲーテでさえ読者を意識したというのですから、ましてや、私が意識しないはずはありません。私の場合もSNSに出せば反応がありますから、それに影響されることは事実です。しかし、迎合はしたくない。「いいね」が多いようなテーマをだけを追求しようとは思いませんし、「いいね」の数が少なくとも、自分が主張したいことを主張したいと思います。
 もう一つはコメントです。これは大変難しい問題を含んでいます。大変有益なコメントがある反面で、誹謗中傷の類のコメントがあることを否定できません。誤解に基づくコメントもあります。
 SNSの場合は匿名のコメントがほとんどであるため、抑制がきかないという面もあるのでしょう。このようなコメントを見たときには、本当に打ちのめされてしまいます。そのテーマについて書くのが嫌になってしまうこともあります。このように振り回されるのがよくないのは明らかですが、人間の感情としてやむを得ません。こうしたコメントにどのように向き合っていくかは、未だに解決できていない問題です。

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