AIを駆使する「アイディア製造工場プロジェクト」
◇本を作る過程を自動化する
本を作る過程を自動化できないものでしょうか?以下に述べるのは、それを目的として始めつつあるプロジェクトです 。
これは試行錯誤的に行なっている段階であり、まだ完全に稼働しているわけではありません。ただ、大きな可能性を秘めたプロジェクトであると考えています。
まず、思いついたことをツイートします。これは思考の断片でしかありません。しかし、保存しておきたい思考の断片です。「うまく説明はできていないのだけれども、重要なアイディアだ」というものです。
文章として公表するためには、ある程度まとまったものでなければなりませんが、そうした段階に至らないものです。文章のかけらといってもよいでしょう。
同じ内容のことを何度もツイートしてしまうこともありますが、あまり気にしないことにします。
なお、ツイッターには、同じようなツイートをまとめる機能もあります。ただこれは面倒な作業なので、なかなか実行できていません。簡単に実行できることが重要です。
なお、この段階では、AIの助けを借りています。とくに、 メモを書く際の音声認識の役割には、刮目すべきものがあります。とにかく、思考のスピードで書いていくことができるのですから。
そして、一定期間(1月ぐらい)ごとに、これらをいくつかのカテゴリごとにまとめて分類します。それを、noteの「アイディア農場プロジェクト」にまとめています。ここまでの段階は、すでに実際に稼働させています。
「アイディア農場プロジェクト」に書いてあることには、重複がありうるし、矛盾する表現や、論理がうまくつながっていない場合もあります。そのような段階のものです。
また、全体の構図にうまくはまらないオーファン(孤児)もあります。
◇アイディア農場からアイディア製造工場へ
「アイディア農場プロジェクト」にあるのは、アイディアの種です。そこで作物が生長したら、収穫し、脱穀し、工場に運んで製品にする必要があります。
実際の過程としては、アイディア農場プロジェクトに整理したものを、もう一度Googleドキュメントに戻し、再び音声入力で修正したり、編集したり、削除したりするという作業を行っていきます。
そしてある程度まとまったものをnoteに公開します。これは、本でいえば章の下の段階である節に相当する程度の分量のものです。あるいは雑誌に掲載する文章に相当するといってもよいでしょう。
雑誌掲載文との違いは、noteの場合は、公表した後においても、内容を変えたり、構成を変えたりできるということです。noteは、そのような柔軟性を持っています。
以上の過程全体が、「アイディア製造工場プロジェクト」です。
このプロセスの目的は、アイディアの製造をある程度自動化しようということです。
「さあ本を書こうと」意気込んで腕まくりをし、おもむろに机に向かってPCのキーを叩き始めるといいうのではなく、日常生活の中でルーチン的な断片作業を繰り返しているうちに、それらが自然にまとまっていって本にならないだろうか、ということです。つまり、生活の流れの中に本を作るプロセスを組み込んでいけないか、ということです。
「始めれば完成する」「出発すれば目的地にたどり着く」というのは、私が昔から信奉している考えですが、それを、抽象的な方法論としてでなく、具体的な仕組みとして作ろうというが、「アイディア製造工場プロジェクト」です。
◇時間が経つと、別人になってしまう
これまでも多くの作家が、「創作ノート」という形で、これと同じような作業を行なっていました。中でも、ドストエフスキイの「創作ノート」が有名です。
ドストエフスキイの場合も、途中で考えが大きく変わったりしているところがあります。例えば『罪と罰』は、当初は3回の殺人があるというプロットになっていたが、それが変ったというようなことです。
上で述べたプロセスは、作家ノートと基本的に同じものだということができます。それを最近のITの道具を駆使して行おうということです。
なぜこうしたことが必要なのでしょうか?
それは、人間の短期記憶は極めて弱いので、考えていたことをすぐ忘れてしまうからです。
5分前に考えていたことですら、完全に覚えているとは限りません。5分すれば、別人のようになってしまうのです。
人間の記憶には長期記憶と短期記憶があります。長期記憶は忘れることがないので、それを成長させることができます。逆も真で、「成長させることができるのは長期記憶だけであり、短期記憶を成長させることはできない」ということになるでしょう。
私自身が「アイディア農場プロジェクト」の整理をしているときに、「こんなこと考えていたのか!私自身が考えをしていたとは思えないほど素晴らしいアイディアだ!」と感心することがあります。
これまでは、そうしたアイディアが成長させられずに忘れ去られていたわけで、何ともったいないことであったかと思われます。
完全に体系だった論述になっているわけではないが、しかし他の人に見せられる程度の段階になっているものを残す、というのは大変重要なことです。なぜなら、他の人というのは、時間が経った後の自分自身でもあるからです。
人間はアイディアをすぐに忘れてしまうので、このような方法によって自分自身の中でのアイディアの成長を実現することが出来ます。
◇「別人になった数人の私」が協力して仕事をする
アイディア農場プロジェクトとは、アイディアの種が腐らずに、成長できるようにするための仕組みです。
それによって、時間を隔てた自分との間で伝達をすることができます。つまり、1人の人間が2人分3人分の仕事をできるようになるわけです。これは極めて大きな効果です。
人間は、文字を発明したことによって、記憶の伝達と伝承を可能にし、それによって文化を発達させたと言われます。このことは、しばしば強調されます。ただしこで言われるのは、他の人に対する伝承や継承です。
もちろんそれは重要なことなのですが、それだけではなく、文字は、時間を隔てて別人になってしまった自分自身との間の、伝承や継承をも可能にするのです。
自分の中での伝承は、記憶していればできることですから、これまであまり重視されてきませんでした。
日記をつけることは多くの人が行なってきましたが、あるアイデアを継続して成長させるための道具としては使ってきませんでした。
これは、「作家の創作ノート」だけが行ってきたことです。アイディア製造工場プロジェクトは、それを新しいITの道具を用いて意識的に効率化しようという試みなのです。
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AIの眼を駆使する「超」仕事法(目次)
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