消費税増税前の駆け込み需要は生じていないようだ

 前回の消費税増税時には、消費の大きな変動が起きた。
 住宅や自動車などの耐久消費財については、消費税は原理的には変動をもたらしうる。

 GDP統計における実質個人消費は、増税直前の2014年1~3月期に前期比2%増の大幅な伸びとなった。ところが、4~6月期には4・7%減と大きく落ち込んだ。
 増税前に自動車や家電などの前倒し購入が急増し、増税後の大きな反動減となったのだ。
 新車販売台数は、13年12月には18.7%増加していた。
 住宅投資でも、増税前に3%台の増加が見られた。

 今回はどうか?
 駆け込み需要と言えるような増加は起きていない。
 日本自動車販売協会連合会によると、2019年6月の新車販売台数は、前年同月比0.7%減となった。
 住宅投資も、2018年後半から1%前後の増加傾向が続いているが、3%台の増加がみられた前回と比べれば限定的だ。

 住宅減税やキャッシュレス支払いのプレミアム商品券を発行など、政府による反動減対策が効果を発揮しているとの見方もある。
 しかし、キャッシュレス支払いは主として少額の商品にかかわるもので、買いだめや買い急ぎとは関係がない。

 買い急ぎが発生していないことの基本にあるのは、長期的な消費の停滞といえるのではないだろうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?