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どうでもいい話(2022年 11月分)


ッシャー!!!
キタ━━d(。>∀<。)b━━!!!
2222!にににに!!にゃにゃにゃにゃ!!!
にゃんにゃんにゃんにゃ~ん✨!!!

Twitter始めて半年…30万文字いったか!?
流石に25万文字ぐらいか。

ゾロ目の日に、幸先よーし♪
ヨ-(*>∀・)ゞ-ソロ-☆

あ、流石に微妙に調整したのは、内緒の方向で。
https://twitter.com/yukipochi_2022/status/1587209243035566080/photo/1

未だにフリック入力出来んw
トグル入力オンリー。
ガラケーヘビーユーザーのジレンマw

ホラーハウス④

父親の納骨は私の都合で、翌年の春まで待ってもらうことにした。

うん、疲れちゃったの。

叔母から引き継いだ父方祖父母の墓地は、桜並木が綺麗らしい。

叔母も微妙に桜の時期には お墓参りした時無いらしいし、お花見がてらってことで。

約一年、父親の骨と のんびり生活してた。
枕元に設置してもらったダンボール製の簡易祭壇に骨壷 乗せて、毎日 朝晩 半水あげて、線香 焚いて、手を合わせた。

とはいえ、宗派なんか知らん。

朝「おはよう♪」夜「おやすみ♪」くらいしか、祈らんかったけど。

もし、普通に生きた父親と生活してたら 朝晩の挨拶なんて 、そんなもんだろうな。
もうひとつ、線香を焚く時のマイルールを設けた。

映画鑑賞だ。

映画を観る時は、父親と一緒に観る。
そういう、私の親孝行。

DVDで持ってるお気に入りの作品は もちろん、毎週末の映画TV放送、Amaz○nさんのプ○イム配信されてたやつ等、かなり観た。

『レ・ミ○ラブル』は、何度 号泣したかな。
f○reスティック買ってテレビに挿して、父親と並んで映画鑑賞 出来るようにした。

そうそう、早速観たのは『S○W』全シリーズ。

いきなり猟奇ものチョイスとか「何でだ…」て、今でも思う(遠い目)

なんかね、そういう気分だったんだ。

続けて観たのが『バ○オハザード』…ミラ様が好きなんだもん。

そんな感じで、一人で観るにはチョイスしないような映画に手を出していた、ある日。

う~ん、観たいもの無いな…

配信されてた観たい映画は、あらかた観てしまった。
一日2本は観てたから、まあ、無くなりますよね。

…猟奇にゾンビしか出てこん。

おすすめ表示の映画をポチポチ捲っていた時の事。
表示されたサムネイルの画像には、木に吊った人影。

──ホラーだ(震)!

もちろん、即 送って 通り過ぎ…たんだけど、戻って来た。

…父ちゃん居るから、怖くないかな。

そう、私の意味分からんスキル “怖いもの見たさ” が発動したのだ。

映画の詳細画面で あらすじ読んで、評価を見れば星4つ。
──面白いんだ。

しばらく悩んで、ポチッと再生ボタンを押し、PIN入力。

それがさ、面白かったんだよね~…意表突かれまくってさ。
Amaz○nさんのレビュー評価はダテじゃなかった。

タイトルどうしても思い出せない…もっかい観たいんだけど…何だっけな。

引越し先の屋根裏で8ミリ発見するやつ。
感想は…意外と観てられる。

一番最初に面白い作品に当たっちゃったのも有り、今まで観て来なかった“ホラー”に手を出した。

それも、次々と。

線香焚いては「今から『○○』を観まーす」て父親に報告しては「これで止める」て言いつつも「もう一本」「もう一本」…

なんか、観始めると止まらない。
一日4~5本 観る、というホラー漬けの日々が始まった。

洋画邦画 無境に、最終的には おすすめ表示を端から順に観る、というホラー駅伝。

それこそ、取り憑かれているかの如く、起きてから寝るまでホラー三昧。

アレ 何だったんだろう…本当にドン引く程のホラーハイ。ランナーズハイ的な?違うか。

確かにね、怖くはあったんだけど。

父ちゃんが居るから、平気。

むしろ、祟られる怖い思いをする主人公達を、羨ましく思った。

どんなに怖い思いをしても、呪われても祟られても殺されても良いから──

もう一度、私の前に姿を現してくれないかな。
ね、父ちゃん。

…怖がるけど。

⑤に続く──

涙腺、激弱い

いや もう、お気付きですよね。

今更 特筆する話でもないんだけど、なんとな~く、映画繋がりで。

映画で初めて涙腺が崩壊したのは、中学 上がりたての頃。

久々に録画ビデオを再生して、観ていたは懐かしの名作。

『ジ○イアントベイビー』

コメディじゃん。

思うよね(遠い目)
簡単に あらすじると、前作『ミク○キッズ』では発明家の父親が作ったスモーライト的な装置で、息子達が蟻んこみたく小っちゃくなっちゃったドタバタコメディ。

息子達を元に戻すためにスモールライト的装置の設置を反転させてビッグライト的にした。

数年後 新たに増えた家族にヒットしちゃう訳だ。
歩きたてのベイビーは、怪獣映画的に街を破壊しまくる。

ここ『シ○レック2』でもオマージュされてるシーン。

突然 街に出現した怪獣に、出撃したは軍隊。ドンパチ始まる。

我が子に銃火器が向けられるのを見ていられず、立ち上がったはお母上。

ミサイル積んだ戦闘機が、ベイビーに射程を定めた。
お母上は戻れないかもしれない危険を犯し、巨大化する。

むんずと掴んだ戦闘機に、決めゼリフ。

「私のベイビーに、なにすんの」

ここで私、ボロッと涙が零れた。

──ぇぇええ!?

一番テンパったのは、自分。
次から次へと流れる涙の理由が分からない。

映画で泣いた時は無い。
それも、何十回も

観た時の有る映画だ。

画面を見ていられない程、泣いた。

それからというもの、ファミリー系の映画には すっかり弱くなってしまった。
とにかくね、気が狂れた勢いでボロ泣くんですよ。

中学時代、母親に映画に誘われた。

映画館まで観に行ったは『A○』。
家族ロスに造られた、ロボット少年の話。
もう、たまらんよね。

母親の隣で 自分の腕にすがって、嗚咽しながら号泣。
スクリーンを観てられない程だけど、字幕だったもんで意地で顔を上げた。

上映中、ずうっと泣いてた。

エンドロールが切れ、館内照明が点灯しても、泣き止まず。

「○○、どうした」

「分かんない」

としか言えません。
この時、痴態をさらした私は一つ、決心した。

──もう二度と、ファミリー系 映画は誰かと観るもんか。

でも これね~…結構 難しいんよ。

最初っから“ファミリー”をうたってる作品は避けれるんだけど、私“親子”だけで泣くんだよね。

お分かり頂けるかしら。

ほんの ひとコマ、親子ってだけでね…
高校ひとコマ

公立校時代、二年生の時だったかな。

視聴覚室で映画上映が有った。

当時、わりと放映されたばかりの映画『デ○ープ・インパクト』

隕石が落ちてくる中、複数の主人公の視点を描いた、オムニバスSF作品。

もちろん私は、映画館でも観たし 家でレンタルでも観た、何度も観てる映画。

──嫌だな。

ちょっとは思った。

まあ、ウルッときたシーンは有ったけど観た時有るし、平気かな…

てな感じで、2クラス編成かな、他クラスと合同で視聴覚室にギチっと座った。

オムニバスの中に、ジャーナリストの女性と 疎遠な父親の話が有る。

私にとっては、鬼門だ。

ちょうど中盤頃かな。
大津波を前に、海岸で父娘が抱き合ったまま、波に呑まれるシーン。

ここ、ヤバい。

グッと、力を込めて覚悟した。
「絶対、泣くもんか」て、グッとね。

結果──

号泣。

も~、無理。
映画終わるまで小一時間、泣き続け。

恥ずかしくて恥ずかしくて。

さっさと廊下に飛び出してもまだ泣いてた。
「○ちゃん!?どうした!?」

追ってきた親友らは心配そうに私を取り囲み、背中をさすってくれたり 肩をギュッとしてくれたり。

暖かさが余計に涙をそそる。

「分かんない、分かんないんだけど~(泣)」

もうね、教室戻る廊下の間も ずっと泣いてたし、次の授業中もグスグス。

思春期には酷でしたよ。

先日、血液検査で「貧血がある」て、初めて言われた。

確かに元々、白血球は多めだし コレステロール引っかかったりはしてたんだけど。

未だに見方の分からん一覧表には、5行位「L」表記。

──おおお✨

感動しちゃったのは、内緒だ。

自覚症状は無いんだがな。
とりまサプリ飲み始めました。

涙腺、激弱い・続

親子ものに極端に弱いと気付いた十代。

そこから数年後の二十代の話。

私だってね、人並みに…いや、人並み以上に“恋愛感情”抱く事が多々ありましてね。

そう、いつの間やら“恋愛系映画”でも泣くようになってまった。

これね~…
地味に困る。

映画だけじゃないんよ、泣くの。
鬼門は “結婚式” である。

姉らや いとこ の結婚式でも、ボロ泣き。

荘厳な教会でのバージンロードを白無垢で歩く新婦の姿を見た瞬間から、誓の言葉まで。

タオルハンカチがビッダビダになる勢い。

そこから披露宴。
何度も見てる筈なのに、初めての共同作業からキャンドルサービス…

泣き過ぎ。
自分でも引く程なんだから、主役である新郎新婦のドン引き様は想像だに出来ん(遠い目)

これ、まだ親族なら良いんだよ。
一応 自分も関係者だから、多少 涙しようとも。

マジで困ったのが──

部下の結婚式に、お呼ばれした時。

これがまた、私と同じ日に入籍した、仲良くしてた子だったのよ。
私 結婚式 挙げなかったから、式典から呼んでくれてね。
お店のスタッフ一人と一緒に参列したんだけど…

も~、駄目。

崩壊した涙腺は制御出来ん。

新郎新婦に親御さん、そっちのけで号泣。

「うえっ…うえっ…」

て、ずっとだよ。
ずうっと、披露宴の間も(遠い目)

なんとなくはね、お向こうの
席から白い目が刺さるのは、気付いてるんだけど。

だって、自分では止められないんだもん(泣)

極めつけは“新婦から両親への手紙”

「うえッうえぇーん!」

声上げちゃった、隅っこの席から。

あーもう、感動のシーンぶち壊し。

こういう泣きはさ、手紙を貰ったご両親や読み上げる新婦の役目だろ。

日が高いうちに終了した結婚式の後、二次会にも行ったんだっけな?

まだグスグスしつつ、ケロッとしてる新婦とスタッフと会話。

「うん、泣き過ぎ(笑)」

デスヨネー…

外野で あんまり号泣されると、当事者の方が冷めちゃうじゃない。

私、自分の事を「結婚式クラッシャー」だと、思ってますよ…

祖父母の葬儀で泣いた理由

ただ、羨ましかった。
それに尽きる。

別に、長く生きた、だとか、息子夫婦と生活出来た、だとか、そういう事じゃあない。

祖母・祖父 各々、棺の周りを取り囲む大勢の親族達を、泣きながら会場の隅っこから眺めていた。

「最後の、お別れを」

アナウンスに集まる人達。
私も椅子から立ち上がったが、それ以上 棺に近寄れなかった。

視線が高くなり 蓋の開いた棺の中に見えるのは、仰臥し化粧を施された、綺麗な ご遺体。

目尻をハンケチで拭いつつ、両親の頬をさする、母親の姿。

──羨ましい。

恨めしい、にすら近い感情だったかもしれない。

「お近くへ どうぞ」
葬祭屋さんに結構なこと促されたが、私は一歩も前に進めなかった。

その場で立ち尽くして、ただ、泣いていた。

私の父親には無かった、沢山の人達からの暖かな御見送りが、ただただ、羨ましくて──

父ちゃんには、こんな大勢に取り囲まれる穏やかなお別れが訪れなかった事が、ただ、悔やまれて。

母親は、アレ⑩

くうぅ…我慢してたけど、やっぱ無理!
毎度の愚痴大会、始まるよー!

世の中には「暗黙の了解」というものがある。

お互い気付き合い、察し、了承した上で敢えて言及はしない、アレだ。

もし言えば 琴線に触れると言うか、時には地雷原にも なりうる、ナイーブな心情でもある。

簡単に言えば「お前にだけは言われたくねぇよ」て、話。

そのくらい知ってるか、普通の人はw

私の母親は…ていうか、コレ、母姉私一家全員そうなんだけど、会話の途中で何の脈絡も無い事を突然 喋りだしたり、数話題 前に巻き戻った受け答えをしたりする。

一家揃うと、全員 別の話題を進めてるの。
ぶっちゃけ、カオス。

それでもね、話は聞いてるし繋がってたりするから、凄いと思う。

半年くらい前だったかな。
突然、母親に言われた。

「アンタもさ、父ちゃんの事 悲しんでばかりいないで元気にならなきゃ。父ちゃんも天国で浮かばれないよ」

──はい???

その時、特に会話してなかった。
晩飯後に寝っ転がって観ていたのはバラエティ。
それも、グルメ系の。

母親も湯呑みを握って笑いながら座ってた。

親子なんて画面にも話題にもなってない。

本っ当に、突然。
テレビ画面から目を離さない母親に、ポツっと言われたんだ。

はい???だよね。
はい???

寝耳に水、だったんだよ。
私、別に悲しんでませんが。

どちらかと言えば、気持ち上向き色々とやる気が出ていた頃の事。

思わず言っちゃったよね。

「その話、止めて」

母親は何か言いかけたけど、押し黙らせた。

そんな話、したくない。
する気も無い。

折角 楽しくテレビ観ながら晩御飯食べて、満足してたのに、台無し。

これだけじゃない。

更に一年ほど前、別の日の事。
何の脈絡も無く、言われた。

「コ○ナでさ、死に顔も見れずに別れた人達や、津波で戻って来なかった人達も居るんだから、アンタは幸せだよ」

──はい???

一瞬、何言われたか分かんなかった。

私、別に“隣の芝生は青い”とも思ってませんが。
「私、自分が 世界で一番 不幸だとか思ってないから。泣くけど、泣いてるだけだから。その話、止めて」

まだ祖父母は存命の頃である。

アンタにだけは言われたくねぇよ、そんな月並みな台詞。
何っ…のタメにも勉強にも支えにもならん。

両親も健在で、自身も再婚して、しょっちゅう旅行 行ってて。
仕事は大変そうだけど、プライベートが充実してる人に言われたかない。

私は私で楽しく幸せにやってるから、放っておいてくれ。

てね、思う訳ですよ。

後ね、極めつけ。
絶っっっ対、私の母親が言ってはならん台詞。

「父ちゃんの生きた60年ちょっとの人生の、想い出を胸に大切にして生きなきゃ」
私に父親の想い出なんか、数える程しか有りません。

誰の所為だよ。
誰の所為で“父親との想い出”が無いと思ってんだよ。

アンタにだけは言われたくない。

私から一筋違えば 紡がれたかもしれない“父親の想い出”を奪ったのは、どこの誰ですか!!

もうね、会議机をバシバシ叩きながら発言したい勢い。
親権を傘に、子供に親を選ばせなかったのは、どこの誰でしょうね。

もし、一言でも「父ちゃんと母ちゃん、どっちが良い?」て言ってくれてたら…

私は迷わず父親を選んだ。

姉二人は母親に付くだろう。
僕一人でも、父ちゃんに付いていてあげないと。

てね。小学五年生の私は思ったでしょうね。

もし父親に付いたなら、今とは全く違う人生を歩むだろう。

父親が独り淋しく孤独に死ぬ事は避けられたはず。

まあ、年波に父親に対して反抗期が有り、親友らに出逢えなく、今迄の恋愛も全部無くって、シロ達 愛猫5匹を飼うことも無かったかと思うと…

今の人生で良いや。

とはね、なるんだけどね。
やり直したいとも思わんし。

「離婚しても、アンタ達の父ちゃんは父ちゃんだから。電話するのも会うのも、アンタ達の自由だよ」

これ、母親が父親と離婚した時に きょうだいに言ったこと。

母親のせめてもの情状酌量だけれど…

私にとっては“生殺し”だった。

白黒付かない、中途半端な状態な訳。
確かにね、父親に会えれば嬉しいし楽しいし、想い出も少しは増えたんだけど。

特に思春期の頃は、辛かったなぁ…

いっそ「金輪際、縁を切る。二度と会うな」て言われた方が、私には良かったんじゃないか。

いっそ、父親が死んでくれてたら、こんなに想い悩む事も無いのに。

てね。最低だよね、私。
あー…
いかんいかん。また暗黒面が広がってるよ。

私はさ、基本お脳が天気な状態が良いんだ。
悩むだなんて、ガラじゃない。
恨み辛み妬み、はい!全部母親に~丸投げ!

要はさ、私の母親への反抗心、根底に有るのは“嫉妬”なんだ。

父親と恋愛し結婚した、母親への嫉妬。
いやらしい話だよ、全く。
貴女は苦労もしたでしょうけど、父親の いいとこ全て持ってったんだから、私のことまで持っていこうだなんて、欲張りだよ。

そういうのはさ、私が何考えてんのか分かった上で やってよね。

私の行動心理、全然 理解出来てないじゃない。

私はもう、押し付けられなきゃ動けない 子供じゃないんだよ。

ぶっちゃけ、私が禿げたの、母親の所為だと思ってる。
まあ、色々と重なってた時期だから分からんけど。

先日、母姉4人 揃って お茶会をした。

姉と会うのも半年ぶりで、私こんなに自分を取り戻したよ!てのを お披露目するのが楽しみで楽しみで…

当日、寝坊した。

時計見て、びっくりした。
ここ最近の生活リズムじゃ、寝坊なんて有り得ない。
だって、日が昇る前には起きてるんだよ。無いよ。

うかうか過信して目覚まし掛けずに、二度寝 三度寝 四度寝した自分がいけないんだけど。

集合駅への経路検索すれば、軽く2時間は遅刻。

──ヤベェ!

慌てライン。
『今起きた、先に始めてて』
母親からの会場の場所案内。

『駅を出たら左、ビルに突き当たったら左へ左へ』

…そんなに左へ曲がったら、駅へ戻ってしまいませんか?

会場は○○ホテルが目印だと言う。

…会場の名前を教えてくれ。検索出来ん。

てね、色々とツッコミどころ満載でしたよ(遠い目)

結局ホテルに着いて電話した。
お茶セットが広がるテーブルに「ごめん、おまたせ」て着いた途端。

母親と姉からのマシンガントーク。
二人とも全く違うことを言ってた。

「あ、待って待って!質問は一人ずつ!」

久々のカオストークに頭が付いて行かん。
ていうか、まず、座らせてくれ。

こんな感じでね、楽しくお喋り始まった。
近況報告に花咲いて、テンション上がったところで、言ってみた。

「誕生日に老眼鏡が欲しい!」

「いいよ~♪」

やったあ!言ってみるもんだ。

「ありがとう!ありがとう!」

て、めっちゃ姉らに お礼する私へ、母親の一言。

「私、アンタに“ありがとう”だなんて言われた時無い」

──はい????

私、コンビニ会計でもバス降車でも、必ず「ありがとうございます」て、言う人間だよ?
多分 普通の人より多いよ「ありがとうございます」て、言うの。
言ってないはずがない。

「言ってますけど」

「いい~や、言ってないね!」

いや、何で喧嘩腰よ。

あの時もこの時もその時も…
言ってるし、私。
「買い物してきたよ」
「ありがとう」

「洗濯物しまったよ」
「ありがとう」

「晩御飯○○だよ」
「ありがとう」

そりゃあ確かに相槌的に「ん、あんがと」みたいな日常のもんで、「ありがとう!」みたいな感情のこもった言い方ではないけれど。

「言ってるよ。母ちゃん覚えてないだけだよ」
「アンタはさ、言ってるつもりでも母ちゃんには聞こえてないんだ。
アンタは昔からそう、十代の頃なんか目も合わさずに喋ってて、全然聞こえてないんだからね!」

始まった。私、話 大嫌い。
昔は昔、今は今なんだよ!

「母ちゃんが台所で喋ってんの、全然聞こえてないから。お互い様ですよ!」
もうね、売り言葉に買い言葉。
あの人、人を怒らせる天才だよ。
マジでブチ切れそうだった。

──いかん。ここでカッとなったら、楽しい お茶会がおじゃんだ。

「…タバコ吸ってくる」

話の途中だったけど、私は離席した。

ヒートアップしそうな時は、時間を置く。
クレーム対応の基本である。
母親と二人きりだと、一服してきても同じ話に戻っちゃったりするけど…

姉らに、託す。

案の定、喫煙室から戻れば、違う話しに変わってた。

ありがとう、姉ちゃん、マジありがとう!

「母ちゃんね、私達が何でも『要らない』言うのが悲しいんだって」

「だあって要らないもんは要らないんだもん」

「まあねw」て、要らない発言筆頭の姉は、笑ってましたがね。

あの人は元々、耳がザルなんスよ。
子供の言うことなんか「あ~、はいはい」て聞き流してきた人なんだから。

そこに年齢的な記憶力の衰えが重なってて、近年は酷いもんなんですよ(遠い目)

逆に私は覚え過ぎな部分が有るから、モメるの。
困ったもんですよ。

去年の誕生日の枕とか、冷蔵庫壊れた時とか、めっちゃ喜んでんのに、忘れてんだから。

おねだり通り 今年、ミ○ブルシャワーヘッドのバッタもん買ってくれたら、飛び上がって喜びますよ。

「アンタ使わないでしょ」て言いきられてるから、貰えるか分からんけどw

⑪に続く──

思春期の、アレ

ふうぅ~…よし!
語る時がきた。

公立高校を二年で退学した時の、アレだ。
退学の理由、結論から言おう。

ただの、勘違いだ。

交友関係や いじめ なんかの学校的な話では無い。

一身上の都合。
家庭の、事情だ。

思春期の心情に、持ち前の妄想力が重なった、ただの勘違いの話。
私の きょうだい は、全員似てない。

現在も似てはないけど、なんとなくは寄ってきてるから、年齢が解決してくれはしたんだけど。

私が十代の頃は、それが顕著だった。
自分でも「似てないな」と思っていた。

実家の今に中学の頃、飴屋の暖簾先で父親が撮影した、きょうだいの写真が飾られていた。

親友らが遊びに来た時。

「誰?お友達?」

て、聞かれた程だ。

家族以外の他人から見ても、全く似てなかった。

それでも姉二人はなんとなく父親に似ていた。

私だけ、誰にも似てなかった。

幼少期から、母親に散々言われていた事が有る。

「アンタは、○○川の橋の下で拾ったんだよ。恩に着ろ」

言うこと聞かない悪ガキに対する、昭和な脅し文句に他ならないけど。

あ、私 拾われっ子なんだ。

てね。ストレートに受け止めちゃうんだよ、私。

母親の橋の下で拾った時ストーリーも、ちゃんと創られてて。
きょうだい 似てないから余計に信ぴょう性が有って。

お世話になってる恩返ししなきゃ。
て、信じ込んでた時期も有る。

時が経ち思春期には、忘れてしまっている程度の、軽い嘘だったんだけれど。

ある時、誰だか忘れたけれど
「父ちゃんに隠し子が居る」
て、言い出した。

だんらん中のほんの冗談だったんだと思う。
若しくは 私と同じく、姉らも抱えた不安を解き放ちたかったんだろう。
その話、信じちゃった。

父親の世のお姉ちゃん大好きな性格的に「居てもおかしくない」て、思っちゃったんだよね。

私に、まだ見ぬ弟か妹が居るのかあ…

ぶっちゃけ、嬉しかった。

私は末っ子で、下の きょうだい の面倒を見たり、一緒になって遊んだり、という事が無いもんだから、やりたかった。
そのうち、父方の遠縁親族が事故で他界して、残された子供を叔父叔母が引き取った、と聞かされた。

父方親族とは疎遠で、私は いとこ までしか知らないから…

その子、ひょっとして父親の隠し子なのでは。

てね。繋げちゃったんだよ、私の妄想力が。

疎遠だから、会う事も無く、確認仕様が無い。
父親の血を引いた子供が現れたかもしれない妄想で、私に疑念が生まれた。

──血の繋がりの無い 私は、どうなるんだろう。

確認したいけど、真実を知るのが、怖くて出来ない。

自分を押し隠し、本音を晒さない事で、私は“自分”を守ろうとし始めた。

地面ばかり見て、誰とも目を合わさなくなった。

そうやって自分の妄想で首を絞めていって、最終的には身動き取れなくなってしまった。

当時、親友らと遊んでいる間は全てを忘れては、しゃいでいるつもりだったんだけど…

卒業アルバムは無いが、修学旅行に行った時のフォト冊子が残っている。

どの写真の私も、全部 能面みたいにのっぺり無表情。
どう見ても楽しそうじゃない 完全な、真顔。

自分ではね、かなり はしゃいで楽しんでいた つもりだったんだけどね。

別の時、学校の先輩に
「目の焦点が合ってない」
て ズバリ指摘された時すら有る。

自分ではね、ちゃんと人の目を見て会話してるつもりだったんだけどね。

プリクラも全部同じ顔。
文化祭の準備中、私も楽しくしていたけれど、皆が和気あいあいとする最中、突然独り 体育館裏で水風船膨らませて投げ割りはじめたり、おかしな行動をとる事も有った。

自分でも、何であんな事してたのか、分かりません。

親友らは私の愚行に気付いていたけれど、何も言わないでくれた。
ごめんね。
そのうち 誰かと一緒に居ると隠したいのに“自分”が出てしまいそうで…

学校へ行かなくなった。

自分の部屋に引きこもり…と言うか、日中 実家には誰もおらんから、実家に引きこもってた。

母親と顔を合わすのは、私が作った晩飯を一緒に食う時だけ。

会話もしなかった。
母親が一方的に喋るだけ。
親友以外にも交友の有った悪友と言うのは居るもので、悪友と大型ショッピングモールへ遊びに行った時、二人でピアッサーを買った。

カラオケ屋だったかな、大騒ぎしながら 左耳にピアスを開けた。

あ、これねぇ結構前の分の誤記だけど「右耳 ✕ → 左耳 ○」でした。
左右の、アレですよ(遠い目)

右も左も分からない阿呆なんだから、血迷うことだって有らぁな。

開けたばかりで軋み痛むピアスを いじると、安心する。

──自分は、ここに存在している。自分は自分。ここに、居る。

てね。今じゃ痛いのなんて日常だけどね。

自分の存在を確立出来た お陰で、自分の “やるべき事” を考えた。
以前、初めてバイトして得た初任給から5万円、封筒に入れて母親に渡した。

母親は、目を潤ませて喜んでくれた。

私の“やるべき事”、それは、育てて貰った恩義に報いること。

掛け持ちせねば家計をやりくり出来ないような状態から、抜け出したかった。

母親に、少しでも楽をさせてりたかった。
働こう。

高校辞めて、バイトして、せめて母子二人の食費位は自分で稼ごう。

そう、決めたんだ。

全ては世間知らずからなる、浅はかな思惑で、母親が望んでいた未来では無かった。

梅が咲く時期だったかな。

久々に行った学校のホームルームが終わった時、教壇に立つ担任の先生と対峙した。
担任の女教師に「学校、辞めます」と伝えた。

「学校辞めて、どうするの?」

女教師の質問に、私は胸を張り答えた。

「バイトして、お金持ちに成ります!」

間髪入れない女教師の反応。

「バイトじゃ お金持ちには成れない!!!」

──ええーっ(汗)!!?

うん。今思い出しても阿呆な やりとりだよ。

実際問題ね、バイトだけで稼いで成功するって、かなりキツいと思う。
世に言う“お金持ち”の基準て べらぼうに高いんだ。

ただね、世間知らずな私の“お金持ち”の基準て、恐ろしい程に底辺なのだよ。

月に一度くらい美味しいもの食べたり、三千円くらいの安い お洋服買ったり。

本当に、僅かな贅沢。

そんな日々のプチ幸せを迷わず財布から出せる、それが私には“お金持ち”。
これは、今も変わらんな。

カルチャーショックでしたよ。
バイトじゃあ、お金持ちに成れないんですって。

…ぇええ??

混乱しつつ、廊下で私の決意を聴いていた親友らと合流した。

その時 貰った言葉は、私の礎にもなった。

「約束して。全ての職種を網羅して」

親友から掛けてもらった、この言葉。
今では決行するには厳しいけれど、当時の私には何よりの励ましだった。

──色んな仕事、してみよう。

元々、好奇心そそられ易い性格もあいまり、しっくりきたんだ「全ての職種を網羅する」て。

ありがとう!Yちゃん!
こうして退学の意思は学校に伝えたものの、学校も母親も許すはずない。

うるさいこと言われるのが嫌で、理由を話すのも理解されるまで説得するのが面倒臭くて、散々 学校から招集掛かったけど、私は決して呼び出しに応じなかった。

母親が代わりに行ってた。

今思えば何話してたんだか怖過ぎる(震)
私はバイトを始めたけれど、まだ学校には籍が残った状態だった。

二年の冬休みまでは普通に登校していたから、出席日数も成績も足りてて、二年生分の単位が取れてる、と言われた。

不足しているのはサボりがちだった、体育の授業のみ。

体育の補習を受ければ、三年に進級出来る、と言われた。
一応、母親に聞きましたよ「どんな補習?」て。

「学校周りを、マラソン」

えー…嫌だ。

「一時間を7日間くらい」

絶っっっ対に、嫌だ!

独り体操服着て、学友達が帰宅に歩む 学校周りを走るとか、恥ずかし過ぎる。
公開処刑ですか?

てな、話が有りまして、マジで学校行きたく無くなったのよ。

運痴な上に運動嫌いだもんで余計に、ゴネてゴネてゴネまくり…

どういう裏技発動したか定かでないが、補習受けなくても良いって話になり、学校行かないまま三年に進級しちゃった。

えー…もう、行かないのに。

と 思ってたのは、内緒だ。

進級に在籍、早々に退学せねば学費が勿体ない事に。
だけど、自分自身は学校に赴きたくない。

間に立つ、母親を説得せねば…

母親と面と向かって、話をする事にした。
この時、どんな説得したかは覚えとらんのだが、少なくとも「学校は辞める。学費が勿体無い」は、伝わったと思う

以来「学校行け行け」言ってた母親が、それは言わなくなった。
私の意志の硬さに ようやく気づいたか、退学の手続きを進めるに落ち着いた。

こうして、私は三年生の5月、学校を退学した。

母親とも話すようになり、進学用の学資保険が掛けてあるから、それで「世界一周してきな」て言われた。

名前忘れたけど、居酒屋のトイレとかにポスター貼ってある、アレだ。
船で海を渡り各国でボランティア活動するやつ。

──良いな。

て、思った。

学資保険が丁度その費用くらい。
以上にオプション料払うと各国の観光的なツアーも有るらしい。

その費用は自分で払え、て話だったので、私は学資保険の下りる翌年までバイトで貯金をするに決めた。

海原に夢が広がる。
私は学校には行かないもんだから、ロッカーに入っていた私物は親友らに持ってきてもらう等、散々 迷惑を掛けた。
ありがとう。

他にも運転免許証は欲しかったから、その辺もクリアしつつ「何で高校行ってないの?」な おばちゃま方に辟易としながら働いていた、ある時。

出会ってしまったのだよ。

当時、私みたいな学校行かない奴向けに発刊されていた、問題児を受け入れる高校紹介の全国版冊子。

退学決まってから、母親が食卓に置いていた冊子を開いた。

その中に、自動車整備学校が在った。

紹介写真に映るのは高校とは似ても似つかない、町工場のような実習場に、ツナギ姿の少年達…

へえ。

詳細読めば、面白そうな整備実習内容にスクーリング。
所在地も聞いた事有る、同県内。

──学資保険を入学金に当てて、不足分は育英会に借りれば、何とか行けるかも。

てな、世界一周は止め、『セカンドハイスクールライフ①』に繋がるんだな。

私は「この高校 行きたい」て、母親に冊子を見せた。
母親は飛び上がって喜んでた。
船旅への申し込みギリギリの直前、進路変更した。

入試に筆記は無く、面接のみ。
だが、入学願書は入り用だ。

私は中学にアポ取り、担任だった英語教師に添付用の調査書を依頼した。

書類を受け取りに、数年振りに母校の門を潜った。

──ヤベえ…職員室、どこだ。

ほんの三年弱なのに、迷子。
校舎二棟しかないのにね(遠い目)

丁度歩いていたJK二人組に聞いたよ「職員室、どこですか?」てな。

教えて貰って進めば、背後に黄色い声が上がってて、むずがゆい。

そりゃあね、ぶっといピアスした完全ヤンキーな部外者に、突然 丁寧に道を尋ねられたらな。なるわな。
久方ぶりに会った英語教師に、整備学校の話をした。

もの凄く驚かれた。

「てっきり、漫画とかアニメの高校行くのかと思ってた。
え?…自動車系なの?」

てな。意外だったらしい。

こうして、私は人並みに進学すれば専門・短大・大学生の年齢に、高校一年生に逆戻り。

うん、完全に勘違いな話。

誤記
JK ✕ → JC ○

因みに恐らくだが、私の母親は学校辞めた理由を「学校の所為」だと、今だに思っている。

そういうところがね、アレなんよね(遠い目)
遺伝子

「母ちゃんに似てきちゃったんだよー(汗)」

「そぉんな嫌そうに言わないでよー(泣)」

これ、祖父母の葬儀の時、移動中のタクシー内での姉らと私と母親の会話。

そう。なんかね、年齢と共に似てきちゃったのよね私、母親に。

だあって、嫌なんだもーん。

二十代後半かな、気付いちゃった。
“母親に似た”て事で「あ、私 血が繋がってた」て、ようやく分かったんだ。

まあ、前々から「アンタの肩幅は父ちゃん」て言われてたから、血は繋がってるんだって思ってはいた。

ド近眼も父親譲りだし。

だけど──

肩幅だとか視力だとか、表面に現れないところしか、父親に似てないんだ、私。
以外に無い。

先日、姉一号と二人で愚痴大会した時、その話になった。

私は姉らと歳が離れている事も有り「父親の実の子供なのかなあ?」て、思ってる。なんとなくだけどね。

険悪だったであろう夫婦関係を考えても「いや、出来るか?」てね。

全く同じ事を、姉も疑念に抱いていた。
特に姉は
険悪な両親を見てきていて、かつ「そんな時間無かった」て 思うらしい。

だけど姉から見て、父親は私を べらぼうに甘やかして、きょうだい の中で一番可愛がっていたから
「自分の子供で無い子を、あんなに可愛がれる筈が無い」て、結論付けたらしい。

…赤の他人の子供でも可愛がるんだよね、父親。

疑ってますよね、今だに。

父親の訃報を一番に受け、最初に警察に行ったのが姉で良かったとすら思う。

もし、DNA鑑定で子供から提供した遺伝子が違ってたら、色々と問題起きるじゃない。

これは誰の遺体なんだー!?
とか、
私 誰の子なんだー!?
とかさ。

こればかりは真実を知らなくても良いかな。
いやー…でも気になるなぁ…
今度それとなーく冗談めかして母親に聞いてみようかな…

そんなこと聞いちゃったら、母親の豹変ぶりの方が怖いんだけど。
泣いたり、喚いたり、ヒス起こしそうで。

若しくは、しれっと「そんな事、無いよ」て、嘘吐くか。

うう~ん、あの人の嘘、私じゃ見破れんしなぁ…
実際、今更 私が父親の実の子か、分かったところで どうでもいいんだけどね。

実の子なら「血が繋がってた、良かった~」て、なるし。

違っていても「私が抱いた父親への恋愛感情は間違ってなかった、良かった~」て、なるし。

いや、後者の方が寧ろ良いな。私の精神衛生上。

確認しよ…そのうち。
鏡を見る度「母親に似てきたなぁ…」と、思う日々。

凄く嫌。マジで。

そんな中、ひとつだけ、誰でもないパーツが在る。

眼だ。

私の眼、母親でも父親でも姉でも無い。
眼だけは、誰に似たのか分からない。

この二つの眼、一体全体、誰の眼なんでしょうね──

あ、視力じゃなくて、形がね。
生前 父親は姉に「○○と一緒には暮らせない」て、話してたらしい。

私は「一緒に暮らそう」て、言えずに終わってたから、別の話の流れだけれど。

どういう意図だったんだろう…

暗に床生活だから椅子が無いと無理、て話?

──私が母親に似ちゃったから?
実の子じゃ無いから?

分かりませんね。

魚群戦隊フィッシュマン①

※ヒーローの話ではありません。
勿論いつも通り、私事である。

高校を中退し、始めたフルタイムのバイト。
近所のスーパーの、魚屋だ。

本当はね、レジ打やってみたかったんだけど、配属先は生鮮部門だった。

あれやりたーい!という程の希望も無かったので不服は無い。
白い作業服に白いビニールエプロン、白いネットの付いたキャップに白いゴム長。

支給された制服を、他にも採用された別部門の方々と一緒に受け取ったんだが…

なんか、私のだけ可愛くない…

衣料品部門やレジ打ちに従事する女の子達の制服は、まあ、スーパーには良くあるデザインなんだけど。

紺色のタイトスカートにベスト、ブラウスにエンジ色のリボン…

うらやましく思ったものだ。

これが、この制服のデザイン性の差が、バックヤードで働く者の烙印なのか…

だってさ、私まだ十代だよ。
工場作業オンリーのバイトでは何とも思わんが、スーパーのアパレルと魚屋の、きらびやかさが如実。
ちょっとしたモヤモヤを抱えつつ、生鮮部門 鮮魚担当の部門長と初対面した。

「○○や。よろしゅうな」

──関西弁喋る、ジ○ッキー・チェン。

これが、バリバリな大阪人の部門長に抱いた、率直な第一印象。

公の場で、ここまでガチな関西弁喋る人、初めて出会った。

部門長に引き連れられ、
スーパーのバックヤードを おのぼりさん状態で階下に下りた。

はわわ✨はわわわ✨

だって、蛍光灯の明かり薄暗い廊下は、コンクリート打ちっぱなしで表とは打って変わり飾り気は全く無く、よくわかんない備品が沢山スチールラックに置かれていて、もの珍しかったんだもの。

魚屋は地下の一角。

観音開きのスイングドアを潜り、入った生鮮部門。

──生臭い。

電気止まった時の、冷凍庫の臭いがした。
率直にね、率直に。思っちゃったんだもの。

魚屋チーフの男性社員と、パートリーダーの女性と挨拶した。

「この おばはん昔から おばはんなん、ここで一番 長いんや。なんでも聞いたって」
えッ!?オープン当時から いらっしゃるって、一体おいくつ!?

これは流石にねぇ…怖くて聞けませんでしたよ。相手は女性ですし。

他にも常駐パートに女性数人、男性一人。
皆、リーダーと同じような年齢に見える。

なんか、若造一人ポツンと浮いてた。

入りたての新人に与えられたのは、大型の機械。
紡績工場にでも在りそうな大きなマシン。

えー、何コレ✨!?何コレ✨!?

魚屋には似つかぬ大きな機械。
ラベルマシン。正式名称は知らん。

見た時無い機械との出逢いに、私のテンション爆上がり。

何と発砲トレーを自動でラップしてラベル貼ってくれる、素敵マシン。

手前の小さなベルトコンベアに
発砲トレーを置くだけで、パリッと綺麗なラップをし、品名とバーコードのシールを貼ってくれる優れもの。

またねぇ、トレー設置位置に立つと、まるで特撮ヒーローのロボットのコックピットの様でね。

夢見がちな私の中二脳が存分に刺激される訳なんだな。

事前に登録された四桁の数字を入力すれば、
お魚の種類・産地・価格なんかが、パッと画面に表示される。

数字の一覧は眼上の譜面台に重ねられた、B4用紙に びっちり4枚。

oh…

他にも手巻き用ラップの機器やら、シャワーヘッドの付いた まな板シンクやら、洗剤・アルコール等の備品の位置やら洗濯機やら。

説明だけで、初日は終わった。

魚屋の、いや、スーパーの午前中は戦場。

特に生鮮食品では、昨日売れた空の冷蔵ワゴンを満たす事から始まる。

オープン前に品出しを完了させる為、3~4時間のパートタイム人員強化。

私が働いていたスーパーでは「バーゲン会場か!?」程な人数のパートさん達が一堂に会し、フロアにひしめいていた。
フルタイムの私は開始が他の方より1~2時間遅い。

これ、回すの上手いな~と思う。

私が出勤する時間には、ラベルマシンの片側に品出し台車、柱だけのプラスチックの骨組みに30×100程のアルミトレーのタワー。

上から下まて満タンな台車が10台以上、並んだ状態から始まる。

宙ぶらりんな時間無し。
ヤベェ(汗)と思った、二日目。

アルミトレー毎に商品の種類は分け、経木に赤マジックで魚名・産地のメモが刺さってるんだけど…

台車が10、お頭・切り身・乾物、単純計算で ざっと100種類の お魚が既に在る状態。

それを一つ一つ間違わないよう千種類は在るB4の一覧表から探して、無ければ作って…
台車が5台以上在ると、ラップ済みの発泡トレーを空の台車に埋めるヘルプが一人付くんだけど。

どんどんラップ待ちの台車が増えてく(震)!

うん。私がモタモタしてる間にも、ガンガン台車は増えてって、倍以上に(遠い目)

──完敗だ…

何とか落ち着いたのは昼過ぎ、オープンしてから2~3時間後。
しかも午前中のパートさん方は上がってしまうから、自分で品出し やらにゃあかん。

全然 片付かないうちにリーダーに誘われ、昼休憩。

いやもう、ぐったりですよ。

──コレ、私の作業速度が上がらないと、足引っ張ってるだけだ(泣)

お給金を貰う以上、学生時代のような遊び感覚では いられない。

おそらく一番、時間が掛かっているのは、番号を4枚の用紙をペラペラめくって探す作業。

だって他は機械がやってくれるんだもの。

早入りのリーダーが上がった夕刻、私は遅入りな分、時間が空いた。

特に指示の無い その時間、私は一覧表をじいっと見詰めた。

歴史の年表覚えるのは苦手なんだけど…
そうなんだ、社会科は苦手。
年と事象がセットで覚えられないんだ。

ううん、メインどころだけ語呂合わせで覚えるのが手っ取り早いんだけど…

それが出来なかったのが、学生の私。
つまり、語呂合わせしても私には意味が無い。

──覚えよ。

私は最初から最後まで、丸っと頭に入れてみる事にした。
4桁の数字と魚種・産地をストレートに。
妙な語呂合わせはしない。

まずは、その日ラップしたイワシ・アジ・鮭なんかのメインどころを頭に入れ、帰宅した。

家で呆然と、ラベルマシンのモニターとテンキーに入力する自分を思い浮かべ、頭の中でリピートする。

ここで、私の能力が一つ開花した。
翌日、軒並む台車とラベルマシンと格闘。

なんと、覚えてたんだよね。苦手系と思ってた数字を。

お陰で結構、まだモタつく場面は多かったけど、前日程は時間が掛からなかった。

──いける!

私は残りの時間で一覧表とにらめっこ。二枚ずつ、二日に分け頭に叩き込んだ。

以降一覧表は見なかった。
三日でおよそ千種類の商品を覚えた私。

── 一週間後。

「○○さ~ん!『赤魚の粕漬け』何番だっけ~!?」

「○○○○でーす!」

誰かに聞かれた魚の番号も即答出来るに至った。
これ、地味に自慢なんだ。えっへん!

…まあ、今では ひとっつ も、数字は思い出せないんですがね(笑)

②に続く──

ミクシ

「ダイナマイトはダイナマイトさんが発明した」

これ、私の質問に対する母親の答え。
勿論、適当ぶっこかれた誤情報である。

結構 大人になるまで信じていた。

正答は皆様ご存知の通り“アルフレッド・ノーベル”、ノーベル賞の創始者だ。

こういう間違い記憶が多数在った。いや、今も在る。
私は幼少期、何かにつけて「なんで?なんで?」と母親を質問攻めにした。

母親は全てに答えていたけれど、決して「分からない、調べる」等は無く、その場しのぎの適当ぶっこく事が まま有った。

例を上げれば、それこそ「キャベツ」。

「赤ちゃんは どうして産まれてくるの?」

私の質問に対して、
「コウノトリさんが運んでくる」「チューリップの蕾の中に入っている」等々、答えた挙句 数日後に また同じ質問をされ、最終的に「キャベツから産まれてくる」と答えた。

最初は信じるんだが考えると納得出来ず。
質問する度、答えが違うもんだから、最後のキャベツ説を信じて聞くのを止めた。

ごく最近 覚えた言葉に“ギフテッド”という、児童期に発現する個性が在る。

これ、あんまり説明すると自画自賛ぽくなるので止めておく。

昔から付き合った人や配偶者に「自閉症だ、自閉症だ」言われていた。

はしゃいでいたかと思えば突然 思考に囚われ黙り込んだり、他人に自分のテリトリー・持ち物
を片付けられたり 勝手に使われる事を極端に嫌がるもんで、そう言われてきた。

自分でも「自閉症かも」と思いつつ、何か違う気がしていた。

“ギフテッド2E” この言葉を知った時、初めて しっくり来た。

あ、私“ギフテッド”だったのかも。

私は自力で記憶力を開花させたから、今更、分からんけど。

真面と真面目

読めるだろうか、“真面”。
“まとも”と、読む。

先日、私の母親に聞いたら、読めていなかった。

私は小学校6年生の時には、既に使っていた。
漢字を覚えられない、私が、だよ。漢字テストはカンニング常習犯だよ。

だが 真面、実は学校で習ったものでは無い。

辞書に載ってたんだ。
私は漢字に言葉、国語系も覚えられなかった訳なんだが、母親に訊いてもロクな答えは返って来ない。

物語は欲していたので、姉らの お下がりの本や図書館は良く活用した。

漫画を読むにも、ルビが無い作品は多い。

だから、小三の頃には勉強はしないくせに、漢字辞典・国語辞典は多用していた。
小学校高学年には実家の古い『広辞苑』を開いては、漢字辞典で読めない漢字を引き引き、言葉を調べていた。

古い辞書は新しい言葉が見つからないものだから、小六の誕生日に「新しい広辞苑が欲しい」と母親にねだった。

これは流石に「姉二人は辞書なんか欲しがらなかった」て、母親の記憶にも在る。
小学校の卒業文集で、何書いたかは覚えとらんのだが、作文を書いた。

文集編集員に、学級一の才女の友達が選ばれた。

その子が赤ペン校正した原稿を、各々 書き直すんだ。

「○○ちゃんの作文、ほかの人と違ってて面白い。だけど、ここね…」

一言褒められながら返ってきた原稿に、赤ペン一箇所。
“真面”の漢字表記に線が引かれていた。

「“目”が抜けてる」

──んん???

「いやココ、“まじめ”じゃないよ、“まとも”だよ」

て、ちゃんと私の言い分 伝えたんだが、理解されない。

「漢字が違う!」
「漢字はあってる!」

たかが一つの熟語で大喧嘩。
二人してぷんぷんしながら職員室に行った。

“真面”の漢字表記に線が引かれていた。

「“目”が抜けてる」

──んん???

「いやココ、“まじめ”じゃないよ、“まとも”だよ」

て、ちゃんと私の言い分 伝えたんだが、理解されない。

「漢字が違う!」
「漢字はあってる!」

たかが一つの熟語で大喧嘩。
二人してぷんぷんしながら職員室に行った。

先生なら知ってるでしょ、この漢字!
くらいの勢いで、担任の先生に まくし立てた。

結果──

「○○、“まとも”に漢字は無い!まじめに書き直せ!」

ええー!!?

言い切られちゃったんだよね、先生にも(遠い目)

学級一の才女に先生、二人に違うって言われちゃったもんだから、私の自信は喪失した。
間違ってたか、漢字。

てね。私、勉強出来ん お馬鹿なもんで。

「じゃあ“真面目”に書き直してね」

と 落ち着いたんだけど、“まとも”と“まじめ”では意味が違う。
真面目にしちゃったら、前後の文章、変わっちゃうじゃない。

えぇー…

真面目、にだけは直したくなかった。真面目、にだけは。
考えた末、平仮名表記で“まとも”に直して再提出した。

これね、ずうっと頭に在ってさ、去年買った国語辞典で引いてみたんだよね“まとも”。

答えは──“真面”

△印が付いていたから、常用か小学校で習う表記では無かった、だけの話。

「辞書に載ってた!」て主張出来てれば、モメずに済んだのにね。

母親は、アレ⑪

先日の親不知抜歯に伴い、三日ほど我が家に滞在した母親。

いつも通り、掃除やら洗濯やら買い物なんかやってくれて、前回の やり取りも有り、やや大袈裟なくらい「ありがとう!」を言いまくったんだが。
あ、感謝はしてますよ!

それは置いといて、かなり阿呆な会話したので備忘用。
母「お昼買ってくるけど、何か買ってくるもの有る?」

私「うーん、特に無…あ!アレ食べたい!アレ、アレ!アイス!…何だっけ?」

スーパーのアイスコーナーを三面の何処に在るかを説明。

私「あ!そうそう、アレ!ゴ○ィバのアイス!食べてみたかったんだ!」

母「ゴ○ィバ!そんなのあるんだ」

母「で?ゴ○ィバの何味が良いの?」

私「えっ…?」

あの味しか。

私「チョコ味じゃない?」

両者沈黙。

母「──あ!そうか!ゴ○ィバね!アレと勘違いしてた、アレと!」

私「──あ、アレな!ダ○ツな!」

ていう、アレなやり取り。
もう二人共歳だからさ、言葉が出ないんよw

⑫に続く──

※お知らせ※

こちら『(4)どうでもいい話』数日休止致します。
来週には再開してるかと思います。

代わりに『(3)ニャンコの話』にて、愛猫シロに起きている事・シロとの出逢い、をポチポチ語ります。

お暇な方は、どうか そちらも よしなに(・ω・)_ _)ペコリ
https://x.com/yukipochi_2022/status/1528181566815760384?s=20

父親も、アレ④

小さい頃、大好きな おもちゃ が在った。

電池で動く、仔犬の お人形。

「キャンキャンキャン」
と、鳴いてトコトコ歩って、びよっとバック宙するやつ。

いつも床に伏せて「にひひ♪」と笑いながら、眺めていた。

ある日のこと、スイッチを入れても動かなくなった。

電池切れ?
新しい電池を貰って、お腹の蓋を開けて入れ替えてみたけど、全然 動かない。

「どうした、○○」

「父ちゃん、ワンワン動かない」

「どれ、かしてごらん」

私は父親に仔犬の人形を渡した。

父親も電池を入れ直してみたり、色々と試したけれど、動かない。

「壊れちゃったか。直してやろう」

良かった、直るんだ(ホッ)

父親は器用で何でも出来る、という期待値で、もの凄く安心して じっと見守った。

父親は鉄製のマイ工具箱を片側に据え、ハサミを手にした。

──ジャキンッ!

ひえええええ!!?

父親は ちゅうちょなく、人形の お腹を切り裂いた。

子供にはショッキング映像。マジで。
ベロンッ!

ひいいいいい!!!

父親は容赦なく、人形の ふわふわした生皮を剥がしていく。

生皮の中から出てきた、プラスチックのボディ。

こうなってんだ…

可愛い仔犬の中身が無機質な、ていう事実がね。
なかなかに衝撃だった。

父親の所業をハラハラと見守っていたんだが、ご飯の時間か
作業は中断された。

──時が経ち、父母が離婚後、父親の大きな仕事机を処分する事になった。

足元に雑多にジャンク類の入ったダンボール箱が在った。

中に入っていたのは…

生皮を剥がされたまんまの仔犬。

試しに電池を入れスイッチを入れてみたが、微動だにしない。

父ちゃん…

⑤に続く──

魚群戦隊フィッシュマン②

魚屋の部門長は信念が有った。

お店に並べる お魚は
“自分で市場に赴いて仕入れる”
という、強いこだわり。

だから、部門長は市場が休みの日にしか休んでいなかった。

とはいえ、魚屋の総括で有る部門長は、たまにしか作業場に居なかった。

ていうか、いつも行方不明。
私の定位置は基本ラベルマシンのコクピット。

品出しし易いように通路のスイングドアに一番近い場所。

左手には小型冷蔵庫付きシンクのブースが5棟ほど、背後には横長の窓の下にもシンクと まな板。

スーパーの魚屋の壁際に有る、冷蔵ワゴン上の窓、アレだ。

日中は必ず一人、誰かしら立っていた。

スイングドアの横に内線電話が付いていた。

魚屋になんか別フロアから掛かって来ないかと思いきや、意外と鳴る。

何故なら、部門長の行方が知れないからだ。

基本、作業中のリーダーが背後からビニール手袋を外しつつ応対していたんだが、ある時。

「○○さーん、電話出てー」

え、私でも良いの??

ぶっちゃけ、わざわざ魚の血まみれ手袋を外さねばいかんリーダーは、面倒臭そうだと思っていたから、基本 手袋してない私が出れるもんなら出たかった。

とはいえ、初めて受話器を持った時には緊張したな。

まず、何て応対したら良いもんか…

内線なんだから「魚屋です」でも充分通じる訳なんだが。
ぱっとドアの上方に掛かっていた白いプラスチックの表札が目に入った。

「はい、生鮮食品部門、鮮魚です」

苗字が“鮮魚”さんみたいな台詞になっちゃった(汗)

最初に始めたこの応答、私の決まり応答となったんだが、とっても評判が良かったと後から知った。

『部門長、居る?』

「おりません」
『そか。じゃあ、あっちかな』

事務所・寿司・お店etc
皆、部門長の行方の心当たりが有りそうだった。
このやりとりが鉄板だったな。

時たま、背後から声が掛かる。

「おるでー!」

あれー!? つい さっきまでリーダーが立ってなかった!?

リーダーと気配無く入れ替わって魚さばいてたりもする。
いつも通り内線で、部門長は「おりません」と応えた数分後。

シンク棟の一番 奥に造ってある冷凍室に、商品を取りに行き台車に詰んで運び出した瞬間。

いつもはベテランおじさま の定位置である一番奥のまな板で、部門長が魚さばいてた。

「あれー!? 居たんですか!? 居ないっつっちゃった(汗)!」

「ずっと おったで(笑) 誰からやった?」

こういう時、部門長は叱らない。
目尻にシワを寄り、笑ってくれる。

正直「居ない」と言って 実は居た、事件も まま多発したんだが。

全部 笑って ゆるしてくれた。

ラベルマシンのラップ済みトレーを置く 腰の高さの台の下に、引き出しが付いている。
中に入っているのは、金縁の“活”“鮮”丸いシールを はじめとする、ブランド魚の説明書きシールやなんや。

お魚のラップの上に貼ってあるアイキャッチ用の、アレだ。
これを貼るか貼らないかで、かなり見た目の印象が変わる。

引き出しの手前にロール常の お値引シールも入っていた。

夕方、早入り
フルタイムパートさん方が上がると、部門長はシール片手に売り場に出て、見切り品にぺたぺた貼り始める。

私がバイト始めて ひと月ぐらいの頃だったかな。

「○○、シール貼り」

──えええ!!?

部門長は何を血迷ったか、まだ右も左も分からん新人の私に、見切り品シールを手渡した。

「教える」

言うて、目を瞬かせ続ける私を引き連れ、スイングドアを出た。

「え、自分なんかが貼っていいもんなんスか??」

「かまわんで?」

質問に きょとん とされてしまった。

最初に向かったのは売り場ではなく、生鮮食品部門の事務所。

うわー、こうなってんだ!
部門長、ここ座ってんだ!

感動した。

お魚さばき専門だったなら、恐らく一生 足を踏み入る時 無かっただろう。
貴重な体験だった。

見切り品シールの予備は事務所の一角のスチール引き出しに入っていた。

「これな、一番使うやつ。これは、まず使わん」

2000円引きなんて、何に貼るんだろ…

部門長は一種類ずつ全部、説明してくれた。

先入れ先出しは徹底して品出し整頓しているつもりでも、地味に入れ替わっているから全商品を見ないといけない。

これを私が上がるまでの一時間でやる。

「鮮魚は尾頭以外全部、干物は前日、冷凍と瓶缶は早めにな」

…突然、雑。

「まあ感覚で」

その感覚を教えて下さい。

こんな感じやったな~。

「シールはどれ貼れば良いんスか?」

「勘で」

嘘やん…

ほぼほぼ丸投げされた感じで始まった見切りシール貼り。

任されたからには、全うせねば。

とは、思うんだが。
自信が無いので最初は少額の“100円引き”とか“1割引”しか貼れなかった。

翌日、鮮魚・乾物なんかは残っていないけど、日持ち
する瓶缶物をチェックしてみた。

oh…

私が貼った1割引シールの上から、2割引シールが貼られてた。

思い切りか、もっと思い切りが要るのだな。

次の別商品は2割引にしてみた、翌日。

oh…(涙)

半額シールが上貼りされてた。

私の思い切りが足りないばかりに、二度手間をお掛けしている(泣)

こうして実地で磨かれて行った商品見切り。
上貼りされることも減っていった、ある日。

とうとう、出会って…というか、気付かれてしまった。

「あれ?○○ちゃん、バイト?」

小中の友達の、お母様だ。
地元なんだから、この店使っているのは知ってた…んだが。

高校中退したのモロバレやん(号泣)
もうね、学校行ってないの言い逃れ出来ない時間帯に、バッタリとね。

しかも結構おじゃまして遊んでいた子のお母様だから、私も結構、喋ってたんだよね…

今更、無視出来ないよね(遠い目)

多分、引きつった笑顔になっちゃってたと思う。

その日以来、お母様は毎日、毎にーち、夕方お見えになった。

目的は勿論、見切り品。

貼られたやつを見て下されば良いのに、毎日、わくわくと作業中の私を覗き込む。

「○○ちゃん、コレ、下がる?」

「それは下がりません。こっちなら下がります」

友達のお母様とて、容赦しなかった。
だって決まりだもの。

…私の勘、だとか薄らぼんやりとしてるけど。
他のお客様と差別しちゃいかん。

代替品を伝えれば、ちゃんと、そっちに変更して、商品も元の場所に戻して下さるし。

いや、地味に苦行でしたよ。思春期に世間話とか。しかも、アレやコレやし。

あ、今だったらね、全然平気というか楽しんじゃう状況ですがね、如何せん思春期だったもんで(汗)

楽しみだったのは昼休憩。

基本的にリーダーやらに誘われて、誰かしら同席させてもらってた。

おばちゃま方には不思議な輪が有る。
いや、学校の女子らの派閥を思えば不思議でもないか。

なんかね、どうやって知り合うんだかね。
生肉や野菜の方々は勿論、他階の衣料品だとかの制服さんともお喋り。
私は貯金目的で働いていたから基本、お昼は100円と決めていた。
しかも当時、もずくスープにハマってて、それオンリー。

取り囲む おばちゃま方は美味しそうな香り立つ、A定B定、社食のトレー。

ヨダレ垂らして見ていた訳なんだか。

「唐揚げ食べ」
「おにぎり食べ」
「プリン食べ」

やったー✨!
有難いことに毎日、施しを頂戴するのだよ。

至福の時だった~✨
特に、プリン。

ごちそうさまでした~♪

世間話も慣れちゃえば、私には楽しかったし♪

特にね私、時代劇やら映画やら、ちと年配的な好みだもんで同世代より話弾むんだ。
不思議なことにw

スポーツの話は困ったけど。

③に続く──

─おまけ─

内線で地味に多数 受けた問い合わせ。

『今日、○○魚 入荷してますか?』

というもの。

同フロアの食品売り場で、尋ねられた お客様がいらしたんだろう。
私は基本、その日出した全ての魚類を知っている立場だったので、有り無し即答出来た。

階上の衣料品売り場から内線が入った。
衣料品売り場だなんて、アレしかないので、即答した。

「部門長なら留守してます」

『あ、違くて、そのう…』

部門長違うんだ。早とちりしちゃった(汗)

歯切れ悪く、電話の向こうは慌てた様子なのに、なかなか用件が続かない。

『あー、ええっとぉ…鯛!』

タイ??

いや、何で鯛よ。聞き違い?
『ああ~、名前ど忘れしちゃった(汗)!何とか鯛!』

鯛にも色々有る。ので、適当に知ってる種類の鯛を上げた。

「マダイ?イシダイ?クロダイ?」

『あ~違う違う…あ、今の惜しかった!イシダイ!そんな感じの!』

「エボダイ?」

『あ!それそれ!エボダイ!』

…いや、何クイズよ、コレ。
『今日、エボダイ、入荷してる?』

──え?

「あー…はい、生じゃないけど乾いたのなら」

『乾いたのって、干物みたいな?』

「そです、そです、干物。尾頭の付いた鮮魚じゃないけど、頭落としてアジフライみたいな状態の、干物。…」

私、何の話してんだろう…

熱くエボダイの説明をしてた。

『良かった~!馴染みのない名前だから、受話器上げたら飛んじゃってさ!』

何だろか、晩御飯の献立でも考えてたんだろか。

『お客様にも そう 伝えとく!ありがとね~!』

え?お客様???

「あ、はい。おつかれさまでーす」

受話器を置き、私は静止した。

今の電話、何だったんだろう…

“内線” “エボダイ” “お客様”、このワードから推察するに、お客様から聞かれたのかな。

「今日、エボダイ売ってる?」

って。

──何で衣料品コーナーで???

リーダーが背後から声を掛けてきた。

「長かったけど、なんの電話?」

「いや、よく分かんないんスけど…」

私は電話内容を伝える。
振り向いたまま包丁片手に静止したリーダー。

「──なんでやねん」

やはり私と同じ見解に たどり着き、二人で大爆笑した。

もうね、その日は一日中 頭の中が “何を思い お客様は衣料品コーナーでエボダイを聞かれたか” についてで、いっぱい。

だってさ、衣料品、二階だよ?
魚屋、地下なんだよ。

性別

母親から聞いた話。
私が まだ母親の お腹に入っていた頃の事。

母親は私を “男の子” だと、確信していたらしい。

理由として 先に生まれた姉二人とは、妊娠中の兆候が全く異なったらしい。

まず、とにかく動き回っていた。
蹴飛ばす・もんどりうつ は常時。
時にはグルンッと でんぐり返し。
他にも民間伝承的な“男の子”に全て当てはまっていた、との事。

そして、妊娠状態を話した ほぼ全ての方に

「男の子だね」

と、言いきられていたそう。

ただ一人、別の意見の方が居た。
母親の叔母だったかな。

その方は占い、というか、簡単な まじない のようなもので、妊婦の子の性別を当てる。
広げた手の指を片手でなぞり、言葉順に指の股の往来で性別を見極める、手遊びの様な本当に簡単なもの。

百発百中で、今まで外れた事が無いんですって。

その方は占い、指の股で片手を止め、首を傾げた。

「ん?…う~ん…どっちだ?」

どんなにやっても性別が視えない。
こんな事、初めてだそう。

結果、

「この子に関しては、本当に“どっち”か分からない」

と落ち着いたんだそう。

──あながち間違ってない。

「占い結果、地味に当たってんじゃね(笑)?」

もう他界されてしまっているらしいが、凄いよね、百発百中の占い。
無いよ、そんなの。
凄い手腕。

その方の経歴に、傷は付いてない。

──さて。

ここで皆様に問題です。

「私(三波東)は、男女どっちの性別で産まれたでしょ~か?」

せっかくだから、聞いてみたいなwkwk

ボタン押した事は、他ユーザーにバレないので、ポチっと、思うままに押してみて下さい(礼)♪
最終結果 [男 50%] [女 50%] 2票
https://x.com/yukipochi_2022/status/1594514765476679682?s=20

oh…

投票して下すった方、ありがとうございます✨

「分からない」という項目、あえて作らなかったんですが、有った方が良かったかな…(遠い目)

ま、いいか。反響知るための設問でも無いし。
こんなもん、こんなもん。

押して下すった方がいらっしゃったのが奇跡✨

お時間なので、お話続けます♪

─産声─

母親は私を出産するのに病院ではなく、お産婆さんを選択した。

お産婆さん、分かるかな…
民家で赤子を取り上げてくれる方、で説明合ってるかな。

病院を使っていないので、生まれ出るまで、性別は分からなかった。

だけど“男の子”と確信していた母親は、産着や布団を全て青で用意した。
「おんぎゃああぁ!!!」

それはそれは、元気な爆音の産声だったそう。

(やったー♪男の子だ!)

思い初めて私を抱いた母親に、お産婆さんからの激励。

「おめでとうございます♪
元気な “女の子” ですね」

「──ええーッ(汗)!!?」

そう、私、女の子の体で生まれてきたんだ。
不思議だよね。

─羽化─

Twitterで『どうでもいい話』始めた当初は、

「私の生き方って男性寄りだし、男子がBL書いてた方が女子ウケするんじゃね?」

という、女子にモテたい想いで「男女どっちか分からない」あざとい書き方をした。

男子にも、こういう世界を知って欲しいし、同性の方が共感 得られるかなって。

だけど、初めて数週間もしないうちに壁に ぶち当たった。

このまま性別伏せてたら、私の本当の生き様は語れない。

てね。

ノンフィクション・プチ自伝を完結させる為には、どうしても性別公表は必須である。

色々度重なった時期だが、決して捨て鉢になったからでは無い。
当初から予定してたんだ。

なんだけど…

すっかり公表するタイミングを見失ってしまってね(遠い目)

新年早々するような話でも無いし、また一つ歳を取ったので丁度いいかなって思い。

私、ちんこ生えてません。
毎月、生理が来ます。
PMS、もう嫌です。

そんなところをね、叫びたい。

あ、基本馬鹿なんで重くないよ。多分。

クエスチョニング

現在、私はLGBTQ+に分類すれば

T(トランスジェンダー)
B(バイセクシャル)
Q(クエスチョニング)

この三方面に属する。

他にも色々在るけど、よう分からん程 細分化されるので、これに留める。

今私は、イケオジになりたいのか、美魔女になりたいのか、自分でも分からない。

十年後、性転換 出来るかなんて、今からでは分からない。

なんせ、私が過去たてた『十年計画』ことごとく、外れてますからね(遠い目)

ま、その時パートナーが居るか居ないか、に尽きる。

このまま独り身だったら、計画進めるし。

先の事など分からない。
だから、性別も決めずに生きようと思う。

とはいえ、アンケートなんかにある「男・女」の性別○付ける項目、地味に困る。

答えなかったり、真ん中の「・」に○付けてみるんだが、絶対に「女」に○付けねばいかん問いが存在する。

役所と病院と警察だ。

この三箇所は たばかること あたわず。

うう~ん…?

「女」に○付ける度、悩むんだ。
戸籍上も 生物学的にも、私は「女」として扱われる。

なんかね、モヤッとすんのよね。

「私は女だー!」て、自己主張してるみたいでさ。

仕方のない事なんだけどね、女に生まれちゃったからさぁ。

慣れるしかないな、て思いつつ、この歳ですよ(遠い目)

すごく小っさな事なんだけどね。引っかかる。

先駆者ならざる者①

一時、思っていた事が有る。

「産まれて来る時代 間違えたな」

早過ぎた とも思うし、遅すぎた とも思ってた(過去形)。

どうしても会話なんかは自分より数十年先を生きている方の方が弾むし、今の世は私みたいな輩に ようやく追いついて来たところだ。

中途半端な時代だった。

私に合うのは 江戸時代、若しくは、二十年生まれるのが早かったと思ってた。

(過去形)なのは、そう考えてた時期も有ったな~程度のもんなので、今は現在の自分の人生で構わん。

今からおよそ三十年前、性的マイノリティの方々にも先駆者として活動されていた方も居るけど、色物扱いされていた時代。
言い方悪いが、メディアに突出するのは“女性を持った男性”ばかりで、逆は居なかったと思う。

他には男性社会で活躍する女性、工事現場で汗水流して男性と同じ作業をする女性や、ドキュメンタリーで女の体に産まれた事を思い悩む女性は観たけれど。

そんな時代を生きた、私の思春期を、語っていこう。

─ 一人称 ─

私が自分の事を “私” と言えるようになるまで、段階を踏んできた。

練習したから、自分を“私”と言えてるんだ。その、経緯と時代背景。

物心付いた頃、私は自分を名前で呼んでいた。

「○○ねぇ、○○ねぇ」

みたいな甘ったれた喋り方。

十歳くらいの頃だったかな、ふっと気付いた。

──あれ?誰も自分を名前で呼んでない。

周りを見渡せ全員、“あたし” “ぼく” “オレ”。
自分を名前で呼んでる奴なんか居やしない。

気づいたら自分が凄く幼稚に思えてきて、恥ずかしかった。

だから私は自分の事を

「僕」

と言うようにした。

何で“私”でなく“僕”を選択したかって、分からん。

「女の子なのに“僕”なんて、おかしいよ」

同年の子達には そんな事 言われなかったけれど、大人は口々にそう言った。

これねぇ、母親が井戸端会議で他所の奥様方に愚痴るから、飛び火して来るんだよね(遠い目)

私の母親は、体裁というか、とにかく“普通”を強いてきた。

将来的に困るのは私だから。
そんな大人達の中で唯一、父親だけは味方だった。

「女の子が“僕”って言うの、可愛いじゃん」

言われて、もの凄く嬉しかった。

父親はオタク気質だから、何かの漫画かアニメで一人称が “僕” の女の子キャラを観たから、なんだけど。

“僕”って言っていいんだ!

私の自信に繋がったのは間違いない。
小学校高学年にもなれば、友達の男の子連中は“俺”を使い始める。

“俺” 呼び、カッケェ✨

羨望していただけだったんだが、中学校に上がったのを境に、私も自分を

「俺」

と呼ぶようにした。

だってさぁ、カッケェじゃん?俺様。

理由なんてなぁショボいぜ。
年波にイキりたかっただけッスわ。

高校に上がると、周囲の様相は変化する。

これまで男子の友達が多かった私だが、進学すると仲の良かった男子は皆、別の学校。

私は第二志望の学校を、親友に誘われるまま決めたので。

だって あの学校、プール無いんだもん。
泳げないんだもん、私。

共学で男女半々くらいの学校だったかな。
思春期 真っ只中で、アレ?ってなった。

友達って、どうやってつくるんだ?

友達の作り方が分からない。
女子連中はなんとなく誰かと一緒に居ると、輪が形成されて仲良くなるんだけど。

年頃の男子とは、ほぼほぼ接触しない。

みんな “私” “あたし” “あたい” 言う中で、自分一人“俺”は言いづらい。
そんな中、親友の1人が自分の事を “自分” と呼んでいた。

自衛隊みたいだな。

思ったけど、“俺”から“私”に直で言い替えられるほど素直に行かなくて困っていたので、丁度いいや。

私は親友の真似開始。

「自分」

メインで、“俺” 呼びから徐々に切り替えて行った。
少しして、高校ドロップアウト。
“自分”時々“俺”が混在する中『セカンドハイスクールライフ』を謳歌した。

社会に出ると、再び疑問に思う。

女性で“私”以外を使っている方が居ない…

不思議だ。
何で女性には一人称に“私”しか使う人がおらんのだろか。

“あたし” “アタイ”etc…無い訳じゃないのに、私の周りの女性は全員“私”呼び。
自分一人 浮いているのを痛感した。

なので、私は自分を“私”と呼ぶように訓練した。

世の殿方の中には丁寧に自分を指す時、“私” を使う方がいらっしゃるんだから。

“私”を使うのも、悪くない。

そうね、自分に言い聞かせながら、徐々に時間を掛けて“自分”から“私”呼びできるように言い換えて来た。

協調性皆無な私がだよ、人目を一番気にしてたんだ。

今じゃあ“私”って無意識にも使える程、定着しちゃった。

時々 文面上 変化させてるけど「あッ、この時期私別の呼び方じゃん!」て、ツイート直後になってる。
誤記多し。

つい、ねー、“私” つっちゃうのよね~。

私は、私だから。
意味不かな。

─創作─

主題とは異なるんだが、タイトル的に当てはまるから含めちゃおっかな、て。

何故、漫画家を目指さないのか。

結論から言えば、簡単な事。

漫画家は既に諦めた夢、だからだ。

小中高と漫画もどきを描いてきて、なりたいものの筆頭に“漫画家”が在った。

卒業文集にも、そう断言してる。

私が漫画らしい漫画を描いていた時代は、まだ「真新しい」話が求められていた。

それは今でも残っているかと思うけど、昔ほどは言われてないんじゃないかな。知らんけど。

既に出尽くしてる感が在った当時。真新しい話、なんて、私の頭じゃ浮かばない。

それに合わせて「十代中にデビュー」しないと的な風潮が残っていて、信じてた訳だ。
実際は、そんな事無いんだけど。

色々起こって、バイトしながら高校通って、気付けば19。

──ヤバい!

カウントダウンが終わりそうだった。

描かなきゃ!

焦り、十代最後の夏休みで三本ネームを切った。

ギャグファンタジー・ホラーラブコメ・学園もの。
後者二つは自分では面白いと思ったんだが、学園ものは直後に同じようなドラマをモ○娘が特番でやってしまってね(遠い目)

もう一つは、リアルが舞台で かつ、デコトラが出て来るんだが…

描けないorz…

ネットも画質低い写真しか出てこない。アナログで描くには資料を集める時間が無かったのだよ。

消去法で残った、ギャグファンタジー。
魔王の息子が わちゃわちゃ やる不条理な話なんだけど…

うぅ~ん?面白いか?コレ…

ぶっちゃけ、今読んでも面白くない。
自分でクスりは おろか、ニヤリともしない、愚作だ。

特にファンタジーは長く描いてきた世界だから、世界観が広過ぎて意味分からん。
そんな全く自信の無い話をね、持ち込む勇気も無かったし、清書して出版社に送った。

結果──

箸にもかからんかった。

あ、やっぱ自分には才能無いんだな。

てね、スパッと諦めたんですよ、漫画家 目指すの。

学校卒業したら即 学費返済が始まるというのに、収入に直結しない夢なんか見てられん。
評価されなかった分、踏ん切りもついた、というか。

趣味の範囲で、楽しもうっと。

漫画の原稿類は処分したけど、ネームやネタ帳なんかは一箱残っている状態。

数年前、活動してる知人にネームを読んでもらったところ、ホラーラブコメだけ「面白い」と言われた。

選択、間違ったなw

②に続く──

魚群戦隊フィッシュマン③

「今週の~びっくりドッキリメカ~!」

これ、某テレビアニメの定番シーンやけど、毎日 思い出してニヤニヤしてた。

だって大好きだったんだもの、ヤ○ターマン!タ○ノコプロだよ!覚えてる!?
豚は おだてると木に登るんだよ!!

──おっといかん。熱くなっちゃった(照)

私の基本位置、ラベルマシンのコクピット。

風体量りスタートボタン押せば、手前の短いベルトコンベアに設置した お魚乗せた発泡トレーが機械の中に呑まれていく。

ガチャコンッ!

プレスされると、あら不思議。

右側コロのスロープを、シューッとラップ完了、ラベルシールも貼られて滑り下りる。
これがねぇ、ヤ○ターワンから排出される お助けメカの行列のようでねぇ。

おおおお✨

楽しくて楽しくて、朝っぱらからテンションアゲアゲ。

マジで楽しかった、マジで。

そんな夢見がちな私が魚屋で出会った便利マシンシリーズ、いってみよ~♪

あ、正式名称は分からんので、呼ばれてた名で(礼)

─ラベラー─

これは ご存知の方も多いんじゃないかな。

コンビニなんかでお馴染み、インク印字式のラベルシール貼りだ。

日付や価格なんかを小さいシール片に一律印字して貼って行けちゃう、すぐれもの。

小型で片手で持てる、ガンタイプ。

トリガーを引くと、印字されたシールが一片 出て来る。
裏紙はロールに巻かれるから、ペッと商品にくっつけるだけ。

バーコードシールじゃないの?

これがさぁ、結構 使ったのよ。

私の勤めてた魚屋では、主に冷凍食品に使ってた。

冷凍食品?

スーパー使わない方は思うかな。

実はねぇ、冷凍食品コーナーとは別に、魚屋にも冷凍売り場が在るのだよ。

代表的なのは 冷凍むきエビ・シーフードミックス・ロールイカ。

他にも 衣付きエビフライ やら カニクリームコロッケやら。

スーパーによっては小さい冷凍庫なんだけど、うちでは冷凍コンテナ一機 丸っと冷凍食品だった。

ここだけの話、魚屋の方が冷凍食品コーナーより ちょっぴり安かったりする。
作業場 奥の冷凍室から、代車で運び出した発泡スチロールに詰まった冷凍エビ。

こいつには、工場で貼られたバーコードしか無いので、価格を貼らねばいかん。

ここで出て来るんだ、ラベラーが。

ガチャッ!ペトッ!

…てね、行かないんだよ、冷凍エビ(遠い目)

「アレっ?…くっ!…このぉ!!」

とにかく、くっつかない。
現行は知らんけど。

冷凍エビには限らん。
全ての冷凍魚介類に、くっつかん。

理由は簡単だ。

袋の表面に出来る、結露の霜。アレだ。アレの所為だ。

セルフレジでアイス買ったりする時、バーコード読まないから表面の霜を指で拭ったりするでしょ?

あの状態なのだよ。

一度で貼れないから、余計なシールが出てきてしまったりね。
そういうのを一片だけにして貼り直すのに邪魔だから、素手で作業してた。

めっちゃ手が痛い(泣)!

三段くらい発泡箱空けたら、スパッと作業場に戻ってラベルマシンの前へ。

ラベルマシンのラップを熱着する白い土台に、両手を着くんだ。

──あったまる~✨

うん、いつもラベルマシンで暖を取ってた。

そういうのを、知った上で~。

並べた もずくスープの蓋にラベラーで値段貼ってごらん。

ペッペッペッペッ♪

たぁのしい~い✨♪!

軽快さが半端ない。
いや、マジ楽しいから。
有難みが ひとしお だから!

もずくスープの蓋の。

─寿司マシーン─

お魚に力を入れたスーパーで、肉屋の三倍は在った魚屋。

売り場の中には大きなガラス張りの公開作業場を取り囲むように、ぐるっと一周 寿司コーナー。

握りに丼物etc…
珍しいのは、一個一個 個包装の寿司を販売していた。

部門長が市場で直接仕入れた新鮮な魚類…

美味いのよ。

バックヤードにも こじんまりした寿司の作業場が在る。

ベテランおばちゃまが大抵一人で回してるんだけど、晩飯時間に向けて品出しが強化される。

魚屋の品出しが落ち着き、自分の まな板を持って無かった私は、手持ち無沙汰になりがちな時間帯。

「○○、寿司ヘルプ行って」

回すの上手いよなぁ。
寿司屋のスイングドアをくぐれば、小気味よい音。

ガチャコン、ガチャコン…

回転寿司で お馴染み、角張った俵型のシャリを生み出す 寿司マシーンがフル稼働。

作業台の上に置ける、半身程の ちょうど良いサイズ。

炊いて酢飯にした お米を、上部の投入口に入れると、自動でシャリが産まれるんだ。
このマシーン、シャリを産むだけが能じゃない。

ネタと わさび を乗せる以外は なんと、ラッピングまでがフルオート。

おおおお✨

産まれたシャリは小っちゃなベルトコンベアで運ばれて、中皿程度 一回転。

これまた小っちゃなアームが寿司を一個 つまみ上げ、パキパキのラップに包んで熱着する。

素晴らしい!

ただね、このラップに移動するアーム、ネタを引っ掛けて滑落させちゃうもんだから、結局 手作業でラップに置いてたんだけどね。

ほら、ラップの中でネタだけシャリからベロッて横になってワサビ見えてたら、ちょっと買いたくないじゃない。

現行は改良されてんのかな?知らんけど。

オート作業なら回転中皿を回るシャリに、ペッとネタを乗せだけ。

コロコロンと小っちゃなコロスロープを、個包装の寿司が転がり下りてくる。

面白~い✨♪!

うかうかしてると、シャリだけラップの シャリ寿司が産まれちゃうんだけど(笑)

結構ね、人気あったのよ。個包装寿司。
お好みちょい足し。

一回だけ、惣菜コーナーにヘルプに行った。

魚屋の冷蔵庫の作業場と打って代わり、コンロやフライヤーの熱気溢れる、暖か空間。

目的はアレだ、恵方巻き。

魚屋の寿司コーナーでは、巻物は手作業で巻き簾(す)で巻いてたんやけど…

こんなの在んの!?

なんと!細巻き寿司マシーンが存在した。
こちらも上部に酢飯を入れて、ポチッとスイッチひとつで、あら不思議。

コロコロコロンと、転がり落ちてくるのは海苔で巻かれた細巻き寿司。

…どういう仕組みなんだろう?

観察する間も無いほど てんやわんや してたから、残念な事に「巻き寿司が転がり産まれる」としか覚えとらんのよね…切ない。

─テープカッター─

他に たまにヘルプ行ってたのは、野菜コーナー。

あっこはね、不思議と同年代の若者が多かった。
普段、おじちゃま おばちゃま に囲まれて作業してる魚屋とは、これまた別次元。

だだっ広い空間に、野菜のダンボールが積まれ、かしこの作業台で外葉を むしったり 袋詰めしたり。
みかんの網袋詰め作業をした時のこと。

一見セロテープカッター台のテープ部分に束ねた網をグッと押し下げると…

カチッと、封がされるんだ。
あの、手だけで開けようとすると大変な、5ミリ幅の赤いシーリング。

内側の白テープまで、一発だよ!

──これ欲しい✨!

家庭には使い道無いんだけど。

見た目もフォルムも丁度、ミシンかな。

むき出しの金属ボディを初めて見た時は、

──何コレ???

と なった。

見ただけでは何に使う物なのか、さっぱり分からん不思議な形状。

「妻 足らな~い!」

嬉しい悲鳴を聞きつけたなら、野菜コーナーまで遠征して、大根を物色。

なるべく形の悪い物を…

ほら、良い形のは お客様用に残しておきたいじゃん。

大根一本頂戴して、しっぽと葉の付け根を包丁で落としたら準備完了。

妻機の上部、酒瓶くらいの円筒に大根を挿すと、あら不思議。

にゅにゅにゅにゅぅ…

ところてん式に産み出されるのは、刺身の妻。

ボウルに受け取りながら、じっと見守る。

──全く分からん。

皮付きの大根が次の瞬間には、刺身の妻になるんだよ!
不思議じゃないか!

どんなに見ても、大根の皮をむき、妻になる原理が分からなかった。

──分解したい。

いつも思ってた。

だって気になるじゃん。
中まで知りたいじゃん。

妻のボウルを悲鳴主にお届け、作業完了。

─ラップ台─

発泡トレーをラップ巻きからラベルシール貼りまで こなしてくれるラベルマシン。

以外に、完全手動のラップ台が設置されてた。

機械が全部やってくれるのに、使う?

思われるでしょ。

これが意外に使うだな。
一日一度は使ってた。

ハーフサイズの台車に乗ってスタンバってる、

尾頭付いたデッカイ活魚。

発泡トレーの端を落として2枚組み合わせた土台に乗っているんだが。

それでも頭と尻尾が はみ出してる。

そう、機械に入らぬ規格の お魚も、丸ごと販売してたりした。

トレーを組み合わせているから、機械に入れたら変な事になるしね。
尾っぽが折り込まれちゃったりも。

やったー♪!

品出し済んで作業場に戻り、ラップ台の前に台車がスタンバってると、テンション上がる。

だって得意なんだもの、ラップ巻き。

見た目は殆ど裁断機。
学校なんかで紙を まとめて断ち切る、アレだ。

作業台はラップ熱着用の熱を持った状態なので、手早く作業しないとお魚が痛んじゃう。
作業台の奥に設置されてる、巻かれたラップ。

こいつを引っ張り出し、トレーに巻き付けカット、左右を折りたたんで熱着するだけ、な簡単な器具なんだけど…

綺麗に巻くには技術が要る(らしい)。
うん、初心者や下手な人が掛けたラップは一目瞭然。

私は難なく出来ちゃったクチやけど(どやぁ)。
尾頭付いた活魚は、頭はピッ、尾っぽは ふんわり。

力んで作業すると、組み合わせたトレーが分解するから結構 気を使う。

うえーい!綺麗に張れたー(喜)!

納得いくラップ巻きが出来ると、嬉しい訳ですよ。

仕上げにラベルシールを貼り飾って、店頭に並べる時には いつもルンルン♪

④に続く──

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