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日本人が海外で働くために必要な手続き

私は今ベトナムで働いていますが、海外で働くための諸手続きがとても面倒でなかなか苦労しました。

やらなければいけない手続きが多岐に渡ってあるのですが、手続きする所定の管轄がそれぞれ違っていたり、それらがまとまっている情報源も少なく一つ一つを調べたり、就職する会社に聞いたりなどして全てを終えるのにかなりの時間がかかってしまいました。

今後ベトナムや海外で働かれる方のための知恵袋的な情報源になればと思い、私が行った手続きをシェアしたいと思います。

※ ちなみに日本法人に所属している方が現地に赴く駐在員と、現地法人に雇用される現地採用とでは必要な手続きが変わってきます。今回は現地採用で海外で働く際の手続きをシェアします。駐在員と現地採用の違いはこちら )

※ 私がベトナムで就業するために経た手続きの経験則をシェアするので、他の国や地域では違う手続きが必要だったり、また必要のない手続きをシェアしていることもあるかもしれません。予めご承知下さい。

働くために必要な手続き

海外で働くためには、渡航するその国に「住むこと」と「働くこと」の許可(権利)を得る必要があります。

住むためにはVISAの申請
働くためにはワークパーミット (Work Permit) の申請
がそれぞれ必要となります。

VISAを取るために必要な書類

就労VISAを取るためには、就職する会社が決まってその会社が国の公安部に対して労働する許可書を発行してもらい、それを受け取る必要があります。その後、日本にある渡航する国の領事館で「90日間のマルチプルVISA」を発行してもらい現地に渡航。就業を開始したら現地の社会福祉制度に則った健康診断やもろもろの手続きを済ませ、晴れて就労VISAの発行をされます。通常は1年ごとに更新する仕組みになっています。

90日のマルチプルVISA

Work Permitを取るために必要な書類

WorkPermitを取得するためには、以下の書類を用意する必要があります。

出身大学の卒業証明書
4年生大学を卒業したことを証明する英文の証明書を発行します。
手続き方法は自身の出身大学に問い合わせましょう。

日本での犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)
こちらは日本での住まい(本籍の置いてある住所)の管轄の警察署で発行してもらう必要があります。管轄によって手続きの期間が異なるので問い合わせが必要ですが、私の住む神奈川県では神奈川県警察本部での手続きで期間は1週間ほどでした。現地に行ってからの手続きも可能なそうですが、取得までに数ヶ月要するので日本で取得してから渡航するのが無難でしょう。
【必要書類:ビザの申請書、パスポート(コピー不可)、本人確認書類(住民票 or 運転免許証 or マイナンバーカード)】

前職の在職証明書
これが非常に厄介な手続きで、所定の証明書フォーマットがない上に何回も所定の管轄に赴かなければなりません。自分自身で証明書を作成をし、その後公証役場で公証人の認証を貰い、法務局・外務省、そして渡航する国の領事館での認証手続きを経て、晴れて証明書としての手続きが完了します。私の場合は「在職証明書」に加え、在職していたことを宣言する「宣言書」をインターネットから雛形をダウンロードして、自分で編集、それを公証役場に持っていきました。
公証役場では約5,000円(英文の証明書は約1万円)ほどでワンストップサービスというものが受けられ、公証役場での手続きだけで法務局と外務省の認証をセットでその場で手続きをしてくれるので、実施の来訪回数が合計で3回(公証役場 → 領事館での認証手続き → 数日後領事館で認証された証明書の受取)で済みます。それでも全てを終えるまでに数日を要するので早めに手続きをすることをオススメします。

個人でやる手続き

日本を出国する前に、個人で国への届け出・手続きをする必要があります。

海外転居届の提出

日本にある住民票を抜くという手続きが必要です。こちらは住まい(本籍のある住所)の市区町村の役所へ届出を出してください。私の場合は手続きに加え国民健康保険の解除もその場でやってくれました。また、日本に戻ってくる際、今度は日本に住民票を移す手続きが必要になります。
5年以内に渡航前と同じ市区町村に戻る場合はパスポート、5年以上経って戻る場合はパスポートと戸籍謄本の写しが必要です。別の市区町村に転居する場合は、別の手続きが必要なのでそれぞれ問い合わせしてみて下さい。
【必要書類:本人確認書類(免許証・パスポート等)、マイナンバーカード】

国民年金の資格喪失について

日本に住んでいる日本国籍を持つ人は国民年金への加入が義務付けられています。しかし「日本に住んでいること」が加入条件なので、海外に転居する際は加入義務がなくなり「資格を喪失する」という手続きが必要になります。ですが、海外に住みながらも年金を払いたいという方は任意での加入が可能です。支払い額とその年数に応じて支給額が決まるので「海外で住んでいるから払わなくてもいいや」と思って払わなければ、その分将来支給される額も減ります。将来のことを見越して判断を選択されるのがよいでしょう。(ちなみに国民年金を取得する年齢で海外に在住していたとしても年金を受給することは可能です。)
こちらは住まいの市区町村の役所の『保険年金課』や『国民年金担当』に問い合わせをしてみて下さい。

任意でやる手続き・その他

ここからは必須手続きではなく任意での手続きになります。
なので人によりけりですが、オプションの判断材料としてシェアします。

国外転出者の国政選挙権の申請

国外に住んでいながらも日本の国政選挙に投票することが手続きを踏めば可能です。その際は海外現地に居住する住所が予め決まっていれば出国前に手続きが可能で、居住する住所が予め決まっていない場合は現地での居住が決まったあとで日本領事館に行き手続きをすることができます。
詳しくはお近くの『選挙管理委員会事務局』に問い合わせてみて下さい。

国際免許の取得

発展途上国は電車がない国が多いので、現地での交通手段は基本車かバイクになります。必要に応じて取得しておくのがよいでしょう。住まいの管轄の運転免許センターで費用は約2,000円ほど、即日発行することが出来ます。 
ただし日本で発行してもらえる国外運転免許証は、ジュネーブ条約に加盟している国のみでの許可証なため、全世界で使える訳ではありません。
予め、自身が渡航する国が、加盟国一覧の中に入っているかを確認して下さい。
【持ち物:運転免許証(住所が神奈川県内の方に限ります)・国外運転免許証交付申請書(申請用紙は運転免許センター・警察署にあります)・申請用写真(タテ5.0cm×ヨコ4.0cm、大きさの違う写真では受付できません。申請前6ヶ月以内に撮影。無帽、正面、上三分身、無背景、枠なし)・手数料(2,350円)】

ワクチンの予防接種

これは完全なオプションですが、特に衛生面が整っていない国や発展途上国に行かれる際は、予めその国で流行している感染症の予防をすることをオススメします。長期滞在でなく旅行の際にも心配な方は処方してもらうとよいでしょう。
私の場合だと、ベトナム(東南アジア)では日本脳炎やA型肝炎が日本より危険性が高いこと、また過去に必要量の予防接種を打っていなかったこともあり、念の為渡航前にワクチンの予防注射を受けに行きました。あとはお腹が弱い方は下痢止めを処方して貰うのもよいでしょう。
【オススメ病院:品川イーストクリニック(トラベルクリニック)

以上になります。
住まいの市区町村によっても手続きに必要な書類や金額は異なる場合があるので各関係所管に問い合わせてみて下さい。

また今回は、最初にも書きましたが「ベトナム社会主義共和国で、ベトナム現地法人で働くための手続き」の経験を基に書いたので、行く国や法人(現地法人が海外法人か、個人だと役職や職種は何か)によっても異なると思います。

関係するステークホルダーに相談しながら、手続きを進めていきましょう。

ホーチミン・タンソンニャット国際空港より


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