「使命のために吸わせてください」
プーン、プーン、プーン
この音は人間にとって嫌いな音らしい。
プーン、プーン、プーン
わたしの寿命は7日。
プーン、プーン、プーン
誰かに教えてられた訳でもないのに何故か使命がある。
プーン、プーン、プーン
産卵のために血が必要です。
プーン。 。 。
わたしは生まれた時から誰に教えられた訳でもなく与えられた使命がある。
子供を作れという使命がある。
何故かわたしは子供を産むために命がけで血を吸う。
何故かはわからない。
7日しか生きられないのに。
人間界では7日しか生きられない生き物と言うとセミと多くの人は言う。
自由気ままに泣いているだけのセミよりもわたしの方が大変だと言うのに
理不尽だ。
ただ使命を全うするために血を吸うだけなのにセミよりも人間に嫌われている。
何故なのだ…
わたしは使命を全うしているだけなのに。
今日も命がけで人間の血を吸いに行く。
人間の血は犬や猫よりも栄養が高い。
子供の為には人間の血が必要だ。
わたしは今日も命がけで血を吸いに行く。
お腹いっぱい吸いたいけれど人間に気づかれないようにちょこっとずつ吸いに行く。
気配を消して吸いに行く。
血を吸うことに集中しすぎて叩かれないように全神経を研ぎ澄ませて血を吸い取る。
今日も命がけで血を吸い取った。
あぁ毎日が大変だ。
セミのように自由に泣きたい。
鳥のように自由に飛びたい。
生きているだけで人間に嫌われる人生から抜け出したい。
生まれ変わるなら自由に生きる生き物になりたいとは思うけど、、
でも、、、
わたしは使命のために血を吸いに行く。
いつかのわたしを産んでくれた人がそうだった様に今度はわたしが使命を全うするために。
明日も命がけで頑張る!
これがわたしの生き方。
〜完〜
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